大臣答弁!育休・産休1ヶ月以上100%目標!

1ヶ月以上を目途の育休や産休など育児に伴う休暇・休業の取得できる状況100%を目指すとは?!

人事院が発表した「仕事と家庭の両立支援関係制度の利用状況調査(平成30年度)の結果について」によると、2018年度に育児休業を取った男性一般職常勤の国家公務員は、取得可能職員の21.6%に当たる1350人であったとのことです。(女性 99.5%)

写真AC:編集部

また、内閣人事局が発表した「国家公務員の育児休業等の取得状況のフォローアップ」の資料によれば、人事院発表の一般職国家公務員から行政執行法人職員を除き、自衛隊員を含む防衛省の特別職国家公務員を含めた国家公務員の2018年度の育休取得率が12.4%(12651人中1567人)だったことを鑑みると今年も男性の取得率は低水準であると想定されます。

さらには育児休業を取った男性一般職常勤国家公務員の育児休暇取得期間は1か月以下が72%、1か月を超えて取得したのは28%に留まっています。

そうした中、男性の国家公務員の育児休業に関し、原則として1カ月以上の取得を促すという方針が報じられ、令和元年11月1日に武田良太国家公務員制度担当大臣が発表した談話の中には、「子どもが生まれた全ての男性職員が1ヶ月以上を目途に育児に伴う休暇・休業を取得できることを目指し」ということを述べられておりました。

そこで、私、中谷一馬が令和元年11月6日に行われた衆議院 内閣委員会の質疑において、

「これは子どもが生まれた全ての国家公務員の男性職員が希望をすれば、1ヶ月以上を目途に育休や産休など育児に伴う休暇・休業の取得できる状況を100%にすることを目指すという大目標・KGIを政府として示されたという認識でよいか。」

と武田大臣に問うたところ「結構だと思います」と同意を頂きました。

令和元年11月6日 衆議院 内閣委員会 インターネット審議中継

全ての希望する国民が産休・育休を取得できる社会を作る

隗より始めよ。

大臣がリーダーシップを持って、政府主導でこうした大目標を掲げることは大変意義のあることだと思いますので、率直に評価したいと思います。

国家公務員が産休・育休などの働き方改善を示すということは社会的に大きな意味があることであると思いますが、その一方で、男性の育児休業取得率は、平成30年度 国家公務員で12.4%。民間企業で6.16%。平成29年度 地方公務員で4.4%と大変低い水準にあります。

そうした中、少子化社会対策白書によると、夫が家事・育児に携わる時間が長い家庭ほど第2子以降の出生の割合が高くなります。

男性が家事・育児に充てる時間も米国は1日あたり3時間10分であるのに対し、日本は1時間23分にとどまっているとのことです。

少子化対策を行う観点からも、産休・育休が取得しやすい環境整備を地方公務員、民間企業でもしっかりと進めていく必要があります。

働く環境の改善が急務

働く環境によっても婚姻・出産・育児に関する環境は大きく変化します。

例えば、正社員と非正規社員別に、初めて就いた仕事での女性の結婚、出産に関する影響調査を見ると、正社員の方が結婚している割合が70.9%、子どもがいる割合が54.1%であるのに対して、非正規社員の方で結婚している割合は26.9%。

子どもがいる割合で言えば21.6%であり、2.5倍以上の差があります。

また、男性の結婚割合を正社員・非正規社員・パート・アルバイト別に見ると、35~39歳では正社員の72.4%が結婚しているのにも関わらず、非正規社員は29.9%、パートは23.8%、アルバイトは23.3%しか結婚しておりません。

労働人口5459万人の内、非正規社員は2036万人であり、4割近い方が非正規社員です。そして正規社員の平均年収約500万円程度であるのに対して、非正規社員の平均年収約175万円。2012年の民主党政権終了時から現在を比較すると非正規社員が220万人も増えており、年175万円で安心して出産・子育てをするのは簡単ではありませんから、結果として少子化に歯止めがかかりません。

その証左として、2017年に生まれた子どもの数は94万6060人、合計特殊出生率は1.43となり、過去最少を現政権下で更新しております。そして、少子化の影響は、経済、社会保障、国民生活に広範な悪影響を与えることは言うまでもありません。

このように働いている環境の違いが結婚や出産など、人生に大きな影響を及ぼす現状がありますが、こうした状況を放置したら、結果として国力は弱くなり、社会は不安定化します。だからこそ、労働者の働く環境は官民問わず大幅に改善していかなければなりません。

長時間労働の是正も喫緊の課題

近年「働き方改革」の必要性が叫ばれる中で、働き方改革関連法が施行され、民間における時間外労働の上限規制が設けられました。

この動きを踏まえ、国家公務員においても、超過勤務の上限等に関する措置について人事院規則が改正され、超過勤務命令の上限が、原則として1カ月45時間かつ1年360時間の範囲内、また国会対応など他律的な業務の比重の高い部署においては1カ月100時間未満、1年720時間の範囲内などとされました。

しかしながら中央省庁職員の74.7%が、月100時間未満、年720時間の範囲内の超過勤務を容認する他律的業務の比重が高い部署に勤務されており、長時間労働が是正されるのか疑問が残ります。

規則が改正され、半年以上経過しましたが、4月から現在までで、1カ月単位で上限を超えた事例はどのくらいあったのかなど中間的な検証などはなされているようには見えず、

現状の職場実態を考慮した改善措置の必要性についての考えも甘さを感じます。

また働き方改革関連法では、企業が上限規制に違反した場合の罰則規定が設けられていますが、人事院規則には罰則規定がないことから、その実効性を疑問視する声もあります。

国家公務員の中には、例えば妊婦の方であったり、子育てをされていたり、御家族の介護をされていたり、様々な事情を抱えながら働いている方がいらっしゃいます。

しかしながら例えば厚生労働省では、残業時間が長く、時に「強制労働省」と皮肉られることがあると報道されておりますが、ある課では、妊娠中の女性職員が午前3時を過ぎても働いていた事例があったと報じられております。

女性も、「妊娠しているため勤務を配慮してほしい」と訴え、上司も人事課に増員を求めていましたが「不祥事の対応などに人を割いているため増員はできない」として、改善はみられなかったと記載されており、女性を知る40代の職員は「少子化対策をしている厚生労働省で妊婦を守れないのはシャレにならない。もし体に影響があったら、どうやって責任を取るんだ」と憤りをあらわにしていたとも報じられております。

これに対して、本来は本人が希望すれば残業を行わずに休みが取れる制度があるとのことでありますが、制度があっても現実問題として活用されておらず、周囲から見てこれが問題だという懸念があるからこそ、こうした報道が出ているのだと思います。

こうした状況を踏まえ、妊娠中など配慮が必要な方々が長時間労働を強いられないような環境整備が必要不可欠であると考えますので、具体的に改善すべきだと人事院総裁に強く指摘を致しました。

産休・育休が取りやすい人事制度のあり方

育休を取得しても業務に支障が出ないような環境整備や、育休取得率を各省庁幹部の人事評価に結び付け、育児休暇取得者が不利にならない制度案を軸に政府が検討はじめたとのことでありますが、私は上から目線の制度設計ではなく、部下の声が組織にしっかり届く制度設計が必要だと考えます。

そうした中、人事評価制度を検討するにあたり、私は多面観察(俗にいう360度評価)を給与・賞与・昇進昇格などの処遇に直結する人事評価に盛り込んではいかがかと考えます。

多面観察は、上司、同僚、部下など、立場が異なる複数の評価者によって、対象者の人物像(実態)を多面的に浮き彫りにする評価手法です。

組織が継続的に成長していくためには、上意下達だけでは限界があります。

管理職が自らのミッションや成果を実現し、組織における自身の評価を高めていくためには、同僚や部下に支えてもらう事が不可欠であり、同僚や部下からの意見は非常に重要なものです。

また、人物評価の信頼性・妥当性を高められ、複数の評価者の意見を総合することで、対象者にとっての納得感を高められると考えますし、特に産休・育休など部下が上司や組織に上申しにくい事象についても相互理解と意識改革が進むと思いますので、給与・賞与・昇進昇格などの処遇に直結する多面評価を盛り込む検討は意義のあることだと思います。

そして地方公務員、民間企業でもそれぞれの業態の中で産休・育休が取りやすい人事制度が波及していくことを期待致します。

今後も、出産・子育てをしながら働く皆様の目線に立った環境整備、制度設計、業務改善、賃金のあり方などを検討し、より良く改善していけるように尽力致します。

中谷 一馬 衆議院議員 立憲民主党
1983年生まれ。横浜市出身。IT企業「gumi」(現在、東証1部上場)創業参画を経て、2011年神奈川県議選(横浜市港北区)で民主党から出馬し初当選。2度目の国政選挑戦となった2017年10月の衆院選は立憲民主党推薦で神奈川7区から出馬、比例復活で初当選した。公式サイト