NYの5ボローならぬ、知られざる5つの事実

カリフォルニア州経済が2017年に英国を抜き世界5位に浮上して、話題になりました。2007年、2012年との比較をみると、いかに著しい成長を遂げたかが分かりますよね。

でも、意外に知られていないのがマンハッタンを抱えるNY州経済の規模です。2017年のNY州経済は1.6兆ドルで、NY州を国と捉えればカナダ、ロシア、韓国に次いで13位となります。全米では3位で、余談ながら2位のテキサス州経済は1.65ドル兆規模となり、国であれば10位のカナダの次、11位にランクインします。

(カバー写真:Tomasz Baranowski/Flickr)

さてNY州の視点を落とすと、人口伸び悩みに直面するとはいえ順調に成長拡大する見通し。特にNY市の経済規模は、2018年の1.2兆ドルから2035年に2.5兆ドルと、東京(2018年:1.5兆ドル、2035年:1.9兆ドル)を上回るとの試算もございます。そんなNYの知られざる事実を、こちらを元に紹介していきましょう。

1.NY市のビリオネア人口は、世界最大

→NY市は1億ドルのペントハウスを抱える都市として知られますが、10億ドル以上の資産を有する超富裕層が103名を数え、文句なしで世界ナンバーワン。ちなみに香港は93人、サンフランシスコは74人、モスクワは69人、ロンドンは62人となります。

1億ドルのペントハウスからの眺望は、セントラル・パーク。

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(出所:One 57

2.リンゴの生産量、全米第2位

→NY市はビッグアップルと呼ばれますが、本来であればアップル・ステートと呼ばれるべきなのかもしれません。NY州のリンゴ生産量はワシントン州に次ぎ全米2位で3,100万ブッシェルと、12%を占めます。通りで、アップル・サイダーの種類が多いはずです。

3.乳製品生産、全米第1位

ヨーグルトやカッテージ・チーズ、サワークリームなどの生産量が全米1位を誇ります。ちなみに、ギリシャ・ヨーグルト大手チョバニの本社も、NY州ノーウィッチにございます。

4.でもNY州で1位の輸出品は…

→金額ベースで最大の輸出品は、47丁目(5 thアベニューと6thアベニューの間)の別名をご存知であれば、おのずと答えが出てきますよね。ダイヤモンド・ディストリクト十呼ばれる通り、ダイヤモンドで2018年での輸出額は133億ドルでした。とはいえ、鉱山が近くに並ぶわけではないので、輸入に依存しており、実に全米のダイヤモンド輸入の9割がここを通過するのだとか。個人的な話で恐縮ですが、筆者の夫もここで働いた経験から婚約指輪の購入は簡単だったと申しておりました。

ダイヤモンドだけでなく、NY州は輸出上位に贅沢品が並びます。2位は絵画・芸術(84億ドル)、3位は宝飾・貴金属(57億ドル)、4位は金・非貨幣用金(52億ドル)、5位はルビー・サファイア(15億ドル)など。NY市はダイヤモンド・ティストリクトを擁するほか、競売大手のサザビーズが本社を構え、クリスティーズも拠点を置くだけに、贅沢品が溢れているのでしょう。

5.NY市で最多店舗を誇るチェーン店と言えば…

→米国と言えばアメリカン・コーヒーというわけで、やっぱり1位はスターバックス…ではありません。朝食メニューの充実化とバーガーなどの配達に乗り出すマクドナルドでもなく、実はドーナツでおなじみのダンキン・ドーナツなんですね。そういえば、筆者が住んでいたマンハッタンからイーストリバーを渡ってすぐのロングアイランド・シティでは、2015年頃までスターバックスは見かけませんでしたが、ダンキンはございました。

2016年のデータを見て納得。確かにマンハッタンではスタバがトップながら、ブルックリンやクイーンズ、ブロンクス、スタッテン・アイランドの他4地域ではダンキンが首位でした。

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(作成:My Big Apple NY)

両社の違いは、価格にあります。スタバのコーヒー1杯が平均2.75ドルである一方、ダンキンは1.59ドル(スモール)~2.29ドル(Xラージ)と割安なんですよね。これは出店形態が異なるためで、スタバはライセンス制を取り出店にあたって新たな顧客を開拓できるか精査する半面、ダンキンは完全フランチャイズ制なので開店へのハードルがスタバより低いのです。

――いかがでしたか?こうしてみると、まだまだNY州・市ともに知らないことが盛りだくさんですよね?他にも気になるトピックがあれば、是非こちらをご覧下さい。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2019年11月15日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。