バロンズ誌:ダウ3万ドル突破の日は近いのか

2019年11月18日 06:00

バロンズ誌、今週のカバーは老後の生活に備える投資家にとって重要なす配当株を取り上げる。配当を再投資すればリターンを生み、引退後に資産を取り崩す段階ではインカム収入を与える。こうした背景から、一時は冬眠状態にあった配当銘柄は再び人気を集め始めた。S&P500の配当利回りは約1.9%で、老後の生活のための貯蓄する投資家のインカム源である米10年債利回りとほぼ変わらない。では、どんな配当銘柄に投資すべきなのか。詳細は、本誌をご笑覧下さい。

当サイトが定点観測する名物コラム、アップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週は米株高継続をテーマに掲げる。抄訳は、以下の通り。

(カバー写真:Mike Cohen/Flickr)

次の目標は、ダウ3万ドル超え―Next Stop: Dow 30,000? It Could Happen.

主要な米株指数は、米国内での政治的闘争と世界的な地政学的リスクの緊張をよそに、再び最高値を更新した。米株相場は、まるで別の世界で動いているようだ。バロンズ誌がトランプ大統領が就任した2017年1月にダウの20,000ドル突破を受けて次は30,000ドル超えと予想した当時、それは幻想に見えたが、ダウが28,000ドルを超えた15日の段階では現実的にさえ映る。

米下院で弾劾をめぐる公聴会が開催されながら、米株高は継続中だ。明確な説明としては、民主党が過半数を握る米下院で弾劾決議が可決されても、共和党が過半数を占める米上院でトランプ大統領が有罪と判断される公算は小さいためだろう。

1999年のクリントン大統領(当時)に対し弾劾調査が行われた1999年も、米株は強気相場にあり経済は10年間に及ぶ拡大期にあった。対照的にニクソン大統領(当時)に対するウォーターゲート事件への弾劾調査は、1973~74年の弱気相場にあり、原油高による高インフレとベトナム戦争の影で景気後退期に入っていたものだ。

むしろ、ウォール街の懸念材料はウクライナ疑惑というより、民主党有力候補であるエリザベス・ウォーレン上院議員やバーニー・サンダース上院議員など、急進左派(プログレッシブ)が大統領選に勝利し、富裕税の導入などの選挙公約を実現することにある。仮にどちらかが当選したとしても、共和党が米上院で過半数を維持できれば、その可能性は低下しそうだが。

何より民主党による弾劾の努力は、両氏の打撃にもなりうる。政治分析調査会社ルネッサンス・マクロのスティーブン・パブリック氏いわく、米下院で弾劾決議が採択されれば、米上院は議員にワシントンD.C. にとどまるよう要請する見通し。そうなれば、上院議員であるウォーレン氏やサンダース氏はアイオワ州やニューハンプシャー州など、党員集会・予備選の開幕に合わせそれぞれの州に駆け付ける時間が奪われてしまうためだ。

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(作成:My Big Apple NY)

もし政治が米株高の立役者でなければ、企業業績が背景にあると考えられるが、決してそうでもない。BCAリサーチのダグ・ピータ米国担当投資ストラテジストは、短期的なパフォーマンスについて「循環的な力が作用している」と指摘。「金融政策が将来の業績や株価収益率(PER)にポジティブな見通しを与えている」という。

FF先物市場では、2020年11月まで利下げを見込んでいない。トランプ氏にとってFF金利は十分に低いわけではなく、エコノミック・クラブ・NYでの演説で、日本やユーロ圏のようにマイナス金利を導入すべきと訴えた。しかし、低金利は衰弱した経済の象徴だ。1984年に米10年債利回りが14%に達し物価上昇率を10%上回っていたが、再選を目指すレーガン大統領(当時)は大統領選でキャンペーンCM「米国の朝(Morning In America)」を放映し、地滑り勝利を果たした。

世界で金利が低水準にあるなか、キャピタル・エコノミクスのマイケル・ピアース米国担当エコノミストは「世界経済は18ヵ月ぶりに改善しつつある」という。米中貿易協議をめぐる見通し好転より、景気後退リスクが低下したことが大きい。米国の10~12月期実質成長率は前期比年率1%程度となりそうだが、世界景気の底打ちもあって、景気後退リスクを回避しうる。

同時に、ゴールドマン・サックスのエコノミスト、デビッド・メリクル氏によれば、金融の過度な状態も緩和してきた。価格上昇率は鈍化し、家賃も落ち着きつつるように、商業不動産のリスクは低下した。企業債務は国内総生産(GDP)比で高水準にあるが、利益や総資産と比較すればそれほどでもなく「高利回り債を発行する企業でも警告すべき水準ではない」という。連邦債務も1兆ドル台を突破したが、ワシントンもウォール街も懸念しているようにはみえない、

UBSウェルス・マネジメントのマーク・ハフェル最高投資責任者(CIO)は、米株の同社推奨のポートフォリオに米株アンダーウエイトを支持しないと発言した。同氏は「割高であり下方リスクを残すとはいえ、上方リスクが高まった」と指摘する。市場は明らかに同調し、過去最高値更新への行進を続けている。


2019年に3回の利下げに踏み切りながら、金融市場の過剰な状態についてはパウエルFRB議長も懸念しているようには見えません。同氏は13日の講演で「ゆるやかな水準を維持している(remained at a moderate level)」と発言するにとどめ、「不均衡(imbalance)」などのキーワードも使用せず。ま金融安定報告でも同様の見解を示し、足元で米株高が最高値を更新し続ける背景は、FRBが市場でのバブル情勢を懸念していないためなのでしょう。だからこそ、パウエル議長の利上げの可能性は低い発言を額面通り受け取り、ゴルディロックス経済を満喫しようとしているのかもしれません。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2019年11月17日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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