宣言することに意味がある!育休のススメ

愛知県西尾市の中村健市長が、今月から2ヶ月間の育休を取っています。もちろん「2ヶ月間休む」ということではありませんし、むしろ育休という言葉がちょっと不思議な感じです。というのも、午後6時以降の公務を2ヶ月間控えるという内容の育休です。「育休」と聞けば、数日間休むと考えがちですが、中村市長の場合はそうではないんです。

中村市長には2歳の長男と9月に生まれた次男の二人の子供がいるそうです。夕方になれば食事やお風呂、オムツ替えや寝かしつけなどなど忙しいので、夕方以降は奥さんと一緒に家事・育児をやるための育休ということだそうです。

これについて、ネット上では賛否が書き込まれたり、フジテレビ系の朝のテレビ番組「情報プレゼンターとダネ!」では、司会の小倉智昭氏が「市長は市民のためを考えなければいけない。もし育休をとるんだったら、立候補するときから宣言しておくべき」と意見を言ったりしたことで、色々と話題にはなっています。

私はと言えば、「育休の何が問題?」って感じだし、別の言い方をすれば「実質的にはどっちでもいいよ」って感じです。だいたい市長という地方公務員の特別職には、1日の勤務時間の定時というものや、休みについての一律の規定などはありません。中村市長にしても、緊急時にはもちろん出勤すると言っているわけですし、裏を返せば開催時期が決まっている議会以外は、1日のルーティーンがありません。

はっきり言えば、任期内でやることをちゃんとやればいというのが市長の職責です。やることやっていない人もいっぱいいますけどね。例えば、東京都知事時代の石原慎太郎氏は毎日ではなく週3回程度の出勤でした。そういう意味では、育休の取得なんて別に大見得をきらなくても、育児のために計画的に公務をやればいいだけの話です。

否定論の中には、「18時以降に公務をしない」ということを育休ということがおかしいという意見もあります。確かに、会社員にせよ公務員にせよ18時といったら定時は過ぎているわけですよね。そこら辺を考えても、今回のケースで「育休」と宣言することによって、西尾市役所内外そして、広く世の中に対して、男性の育児参加、育休ということについての啓発という意味合いが大きいと思います。

それからもう一つ、この「時期」の育休ということにも意味があるかもしれません。というのは、これから忘年会シーズンに突入ですね。はっきり言って忘年会の案内が山ほど届きます。そしてこれ、公務と言えば公務なんですが、なかなか断りづらいんですよね。だからこそ、育休とあらかじめ言っておけば角も立たず、欠席の理解もされやすいということもあるのかもしれません。

はっきり言って宣言することに意味があるということだと思います。「育休を取得します」と言って休んでもいいし、別に宣言しないまま休んでたっていい。実質的にはどちらでもいいんです。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年11月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。