食べて美味しい、食べて役に立つ“GBA”

昨今、ジビエの人気が高まっているんですね。

ジビエとは、狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉です。聞き慣れないこの言葉はもちろん外語で、もともとはフランスの貴族が自分の領地で得た鳥獣の肉のことをさします。日本でジビエの肉といえば、主にシカ肉やイノシシ肉などですが、フランスではウサギや鳩、ハクビシンなどいろんなものを食べます。

昨年日本では鹿が957頭、イノシシが426頭食べられており、一昨年に比べた前年度比で鹿が18%増、イノシシが32%増となっています。ただ害虫駆除という観点で捕獲されたシカやイノシシは昨年114万4100頭で、その内どれぐらいを利用しているのかというと、処理された上で食肉になったのが11万頭ということですから、9%台にとどまっており、まだまだ使えるということです。

私はジビエが好きで、特に北海道では秋のシーズンだけではなくて、1年を通じて駆除という観点で出回っている鹿のロースト、臭みがなくて本当に上品でおいしいです。フランスでもジビエを食べたことかあります。よく考えられたソースで、肉に臭みはあるものの十分美味しかったです。慣れた人はこの臭みがたまらないんだそうです。

そんなジビエ好きだったこともあって、日本ジビエ振興協会の藤木徳彦理事長とは親しくさせていただいているんですが、課題は解体処理だそうです。何よりもジビエを美味しく食べるには、捕獲してすぐに放血、すなわち血を抜いてすぐに処理場に運んで解体すれば、臭みの少ない上品なお肉になるそうです。もう一つ、ジビエになる野生鳥獣は、家畜と違い病原菌を持っている可能性が高いので家畜と同じ屠殺馬が使えません。ですから今、国や地方は捕獲後、放血・解体処理を1時間で行えるジビエ専用の施設整備を進めています。

いずれにしてもジビエはおいしいんですけれども注意しなければいけないのは、新鮮で生きがいいからといって生食することはできません。逆に火を通せば問題はありません。ただ、この間、キムタク主演の今やっているドラマで、鹿肉のタルタルという料理が出てきたそうです。どうも鹿肉が生で提供されたように見受けられたそうですが、あくまでも架空のメニューということで、絶対に生では食べないようにしてください。

日本では駆除を目的とした捕獲ではなく狩猟捕獲、すなわち食肉のための捕獲解禁は11月15日からから2月15日で、ちょうど出回り始めたところです。

おいしいだけでなく、高タンパク、低脂肪、低カロリーでヘルシーです。
我々の消費量が増えれば、供給も増え、食料自給率も高まり、農作物の被害も減るという好循環になります。ですから、積極的に食べましょう。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年11月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。