バロンズ:中小型ラッセル2000、12月に上昇余地あり

2019年12月02日 11:30

バロンズ誌、今週のカバーは昔馴染みのテクノロジー企業を取り上げる。足元でテクノロジー企業といえばクラウドや人工知能(AI)など最先端企業が持ち上げられ、株価の上昇を牽引してきた。その陰で、伝統的なテクノロジー企業は困難を強いられている。

シスコシステムズ、IBM、インテル、オラクル、シーゲート・テクノロジー、ウエスタン・デジタル、ゼロックス・ホールディングス、HP、ヒューレット・パッカード・エンタープライズがそうした企業として挙げられ、これらの企業は全部合わせて90万人以上の従業員を抱え、通期の売上高は3,630億ドル、時価総額では8,400億ドルに及ぶ。しかし、売上高の伸びを見れば、話は別だ。

この中で最も好調なウエスタン・デジタルでも2020年の売上高を4.4%増と予想最も不調なゼロックスに至っては、4.7%減を見込む。成長が止まった一連の企業を改革するのはたやすくないだろう。しかし、これらの企業の株価収益率(PER)は9〜14倍と、アップルやマイクロソフト、アドビなど20倍以上と比較すると割安に見える。ウォール街はこうした伝統的企業をどのように再評価しつつあるのか、詳細は本誌をご参照下さい。

(カバー写真:ShashiBellamkonda/Flickr)

(カバー写真:ShashiBellamkonda/Flickr)

当サイトが定点観測する名物コラム、アップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週は中小型株ラッセル2000を取り上げる。抄訳は、以下の通り。

株式市場の新たなスターとは−The Stock Market’s Next Breakout Stars

米株市場は前週、この時期にふさわしいとはいえ、珍しい彩りで取引を終えた。感謝祭明けのブラック・フライデーを迎え、短縮取引のなか主要株価指数が下落。トランプ大統領が香港人権・民主主義法案に署名し中国が猛反発した結果、市場は米中貿易協議の妥結に黄信号が灯ったと判断したようだ。

しかし、大型株の動きに反し前週に中小型株指数のラッセル2000は52週高値を更新した。ただ、2018年8月に遂げた最高値を依然として6.7%下回り、年初来リターンも20.46%高とS&P500種株価指数の25.30%高に及ばない

(作成:My Big Apple NY)

(作成:My Big Apple NY)

とはいえ、LPLフィナンシャルのシニア・マーケット・ストラテジストのライアン・デトリック氏によれば、ラッセル2000が主要株価指数から遅れて52週高値を更新したことは前向きな兆候と言える。もともとラッセル2000のリターンは52週高値を更新しなかった場合でも強含む傾向があり、1985年以降で12回そのような局面を迎え、平均のリターンは17%高だった。

ラッセル2000はまた、12月に最良のリターンを達成してきた。過去32年間にわたり、12月の勝率は81%で、平均2.59%高に及ぶ(例外は2018年12月で、12.05%安と最悪)。

小型株のアンダーパフォーマンスは、S&P500を下回る業績見通しが影響したとみられる。べスポーク・インベストメント・グループによれば、これはラッセル2000の構成企業として比率の高い銀行が押し下げたためだ。そのべスポークは、慎重ながらラッセル2000を「前途有望」と評価する。

季節的な背景に加え、市場の注目が経済指標に注がれる可能性にも目を向けるべきだろう。米11月雇用統計が12月7日に公表されるが、市場予想は19万人増となり、10月分を大きく上回る見通しだ。MFRのジョシュア・シャピロ首席エコノミストによれば、大手自動車メーカーGMのストライキが収束を受けて自動車部門だけで4万人増が見込まれる。

――ラッセル2000の出遅れは、米景気後退リスクが一因となっていたことでしょう。現状でその兆候はみられず、米中貿易協議も妥結の兆しがみられ、ラッセル2000が縁起の良い12月に過去最高値を更新する期待が高まります。

その半面、米経済が堅調なペースで拡大し労働市場が力強さを維持できるかが問題視されます。足元で求人数は減少し、耐久財受注など10月こそ改善したものの設備投資見通しに基づけば今後上向くかは不透明

年末商戦は幸先の良いスタートを切ったようにみえますが、市場予想以下にとどまりました。米大統領選を控え、プログレッシブ派のサンダース上院議員やウォーレン上院議員などの有力候補が予備選を制するリスクも残します。

この方が指摘するように、上院で弾劾裁判が行われればバイデン氏やブティジェッジ氏など穏健派が台頭する期待もありますが、特にブティジェッジ氏は富裕税導入を支持する発言を行なっており、必ずしも穏健派とも言えず。米11月雇用統計が好調でも、他経済指標、特に設備投資の改善を示す数字が出てこなければ、年明けに一旦調整が入ってもおかしくありません。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2019年12月1日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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