包摂的なデジタル社会を実現するために必要な国際協調とは何か

2019年12月04日 06:00

GF Berlin 2019にて、政策企画メンバー主催のメインセッションが実現

2019年11月25〜29日の5日間、第14回インターネットガバナンスフォーラム(IGF Berlin 2019)がドイツ・ベルリンにて開催されました。今年もあらゆる分野のステークホルダー(利害関係者)が平等に顔を突き合わせて、インターネットガバナンスの最重要課題について「One world. One Net. One Vision.」をテーマに自由闊達な議論が展開されました。

f:id:merpoli:20191202180316j:plain会場となったエストレルホテル

IGF(Internet Governance Forum)とは

国際連合(United Nations: UN)の下に設置された国際会議。世界中のマルチステークホルダーがインターネットに関するさまざまな公共政策課題を議論するために、2006年以降毎年1回開催されている。インターネットに関する国際会議としては世界最大規模。

連日、世界中から集まったインターネットガバナンスの官民関係者による様々なハイレベルセッションが開催されたほか、会場内には各国の団体・企業が自らの活動を紹介するブースが設置され、世界のメディアが取材する様子も見受けられるなど、連日熱気を感じることができました。

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会場内には世界の団体・企業のブースが立ち並ぶ

11月26日のオープニングセレモニーでは、ドイツのアンゲラ・メルケル首相が登場。インターネットがもたらす便益を強調し、改めてIGFの役割を伝え、ベルリンの壁崩壊30周年に当たる今年、そのベルリンで開催されることを歓迎するメッセージを発しました。

その直後に始まったハイレベルセッションでは7名の代表者が登壇し、そのうちの1名には、日本から山田真貴子総務審議官(以下、山田総務審議官)の姿がありました。山田総務審議官はIGFの今後について、マルチステークホルダーのアプローチにより包摂的デジタル社会の実現に貢献していくことの重要性を述べていました。また、G20でのDFFT合意に触れたところ、ヴィントン・サーフ博士から今後の議論の基盤になるべき提言であるとのコメントがありました。

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ハイレベルセッションで発言する山田総務審議官

今年の登録者数は1万人を超え、過去最高クラスとなりました。参加者の内訳は、我々のような民間企業だけなく、各国政府・国際機関・技術者・学識経験者・メディア・市民団体など、様々な属性の人たちが集まり、会場内に十数か所用意されたセッションルームでは、テーマごとに自由な意見や情報交換を行われていました。

今回のIGFで当社として特筆すべきは、11月28日のメインセッションを政策企画の望月健太が主催したことです。会場内にある最も大きなホールで開催された本セッションのタイトルは「Promoting Data Free Flow with Trust in a Digitally Connected World〜Osaka Track, Biarritz Strategy, and the Future~」。プライバシー、データ保護、知的財産権、セキュリティに関連するさまざまな課題に対処することで、人々の「信頼(Trust)」を向上させながら、国境を越えたデータの自由な流れをさらに促進する手段について考えることを目的としています。

とりわけ、国際的なデータ流通規制について、グローバルな流通を確保しつつ守るべきデータを精査し国際的にハーモナイゼーションしていくためにはどうするべきか。また、越境移転に関する各国のフレームワーク(政策アプローチや規制)間のインターオペラビリティ(相互運用性)について、どのように成し遂げていくか。さらには、上記検討において各国のマルチステークホルダーが果たすべき役割とは何か。といった質問について、世界のマルチステークホルダー10名によるハイレベルな登壇が実現しました。

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メインセッションで発言する政策企画の望月

以下、国内最速で当該セッションのサマリーを報告します。

オープニングステートメントを務めた望月から概要及び進め方の説明(全文)があり、インターネットと管轄政策ネットワーク(Internet & Jurisdiction Policy Network)事務局のDeputy Executive Directorを務めるポール氏(Mr. Paul Fehlinger)による司会でセッションがスタートしました。

まず、総務省国際戦略局の情報通信政策総合研究官であり、本年のG20茨城・つくば貿易・デジタル経済閣僚会合のためのタスクフォース(DETF)の議長を務めた飯田陽一氏から、G20大阪サミット関連イベントで開始された「大阪トラック」及び、ダボス会議で安倍晋三首相が提言し、大阪サミットで合意したDFFT(Data Free Flow with Trust)について説明し、改めて世界に向けその推進の重要性を呼びかけました。

フランス政府のデジタル部門における諮問機関である「国家デジタル審議会(Conseil National du Numérique:CNN)」の長であるサルワ・トコ氏(Ms. Salwa Toko)からは、G7ビアリッツ・サミットの報告と、インターネットの世界も例外なく国際協調が不可欠であるとの訴えがありました。

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大阪トラックについて解説する飯田総合研究官

その後パネルディスカッションが行われましたが、登壇者の発言で共通していたことは、政府のみならず、民間セクターや市民社会といった多様な関係者を巻き込んだ議論が必要で、縦割りで検討を進めてはいけないということでした。その上で、マルチラテラル(多国間)とマルチステークホルダー(多様な関係者)の議論をパラレルに、相互に連携して進めていく必要があるとの見解も示されました。

その他、そもそもインターネットは信頼の上に成り立っているのであり、国家の政策や規制で決して分断すべきではないといった意見や、多様な関係者の意見を汲み取るためにも、まずは貿易交渉の透明性を高めるべきであるといった意見が述べられました。

まとめとしてポール氏から、インターネット、そして今回のテーマであるデジタル経済・貿易を取り巻く国際課題は非常に複雑化してきており、引き続き越境データ流通等について積極的に議論を続けていく必要があること、また、今後も異なる観点を持つ各国の官民ステークホルダーが一堂に会する場を設けていくことの重要性について強調し、セッションが終了しました。

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セッション終了後は登壇者らによる記念撮影も行われた

なお、日本で唯一のMAG委員に選出されている望月は、今回をもって3年任期満了を迎えました。11月27日には、劉振民(Liu Zhenmin)国連事務次長から感謝状を受け取るセレモニーが執り行われました。

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左が劉振民(Liu Zhenmin)国連事務次長

最後に、メルカリ政策企画・望月が主催したデジタル貿易についてのメインセッションは、今年のG20貿易・デジタル経済大臣会合閣僚宣言(パラグラフ13)を実施・履行するものとして位置付けられうると考えられます。

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会場入口にて。筆者:松葉(左)と望月(右)

日本の産業界が、国連傘下で数千人が参加するIGFの場で、G20の約束事を実現するのはこれが初めてなのではないでしょうか。今後も、メルカリ政策企画として国際舞台での発信を強化し、グローバルなルールやポリシーメイキングにも積極的に関与していきます。

(松葉 公之介)

merpoli公式SNS:ツイッター「@merpoli_jp」Facebookページ


編集部より:このエントリーは、メルカリの政策企画ブログ「merpoli(メルポリ)」の2019年12月3日の記事より転載させていただきました。掲載を快諾いただいたメルカリグループに感謝いたします。オリジナル記事をご覧になりたい方は「merpoli」をご覧ください。

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