出生数90万人割れ:小学校統廃合を見据えた保護者1万人アンケート公表

愛知県・豊橋市議の長坂です。

さて、自分にとって今年最も衝撃的なニュースです。

19年出生数、90万人割れ確実 過去最少、推計より2年早く | 2019/12/6 – 共同通信

関係者は、今年の出生数が86万人程度にとどまる可能性を示唆している。  同統計によると、18年の出生数(確定)は91万8400人だった。

ぼくは36歳で、1983年生まれは150万人です。
10歳上の1973年生まれが、いわゆる団塊ジュニアのピークで209万人です。

基本的には、この209万人から45年間、ずっと減り続けています。
それが今の日本です。

この団塊ジュニアのピークが小学生になるのに合わせて、地元・豊橋市では1980年代、ほぼ毎年1校のペースで小学校を増やしました。

小学生の数はピーク時の3分の2ほどになっているのに、学校数は増やしたまま。
さすがにもう「減らすこと」を真正面から考えなくてはいけません。

少子化による学校統廃合は全国的な問題(※画像はイメージです。写真AC:編集部)

そして今年、豊橋市でも小学校の統廃合を見据えたアンケートを保護者向けに実施したことは既報の通りです。

拙ブログ:統廃合?「小学校のあり方に関するアンケート調査」が実施中です。

そのアンケート結果まとめと調査票を、豊橋市が6日公表しました。

学校の主役である子どもたちの保護者が、どのような学校環境での教育を望んでいるかご意見をいただくため、アンケート調査を実施しました。このたび、集計結果を以下のとおり取りまとめましたので、お知らせします。

小学校のあり方に関するアンケート調査結果/豊橋市

このアンケートが本当にすごいです。

東京時代、ぼくは調査系の仕事もしていました。
その経験から見ても、舌を巻くほどです。

豊橋市だけでなく、全国の自治体にとっても有用な調査になりうると胸を張れます。

その1.調査規模と回答率がすごい。

調査対象 市内小学校に在籍する児童の保護者全世帯(15,789 世帯)
回収状況 13,324 件(回収率:84.4%)※無効回答含む
有効回答数 12,935 件 ※読み取り不可及び全設問無回答除く

1.5万人超という調査対象数も然ることながら、回収率が84%、有効回答率でも82%。

自治体のすごさというか、民間時代にアプローチ可能な調査対象の拡大、回答率の向上に苦心していた経験からすれば、羨まし過ぎます。

回答数が1.3万近くあると、例えば調査結果の12ページにあるように

問Gで「1学級」を選択した場合のみ回答、n=333

「1学級」と答えた2.6%の回答者を対象にしてもまだ333名もおり、統計的にかなり有効な調査ができてしまうという、おそろしい…。

その2.調査票がすごい。

正直、市職員でなく、統計調査のプロがつくったかと思いました。

特に有用だと思えたのが、
「問E  小学校はどのようなところであるべきだと思いますか。」
「問H  問G(1学年あたりの理想的な学級数)の理由として当てはまるものは何ですか。」
などの質問に対する聞き方で、

「最もあてはまるもの」「次にあてはまるもの」

と2段階の聞き方をしているところです。

「あてはまるものを2つ」という複数選択にしがちですが、調査結果において優先順位が明確に示され、すばらしいです。

個人的に「惜しい」と思った点として、

「問I  1学級あたりの適当だと思う児童数はどのくらいだと思いますか。 」
「問X どのような特認校を充実・拡大した方がよいと思いますか。 」

などについては、前問で特定の回答者だけでなく、全体に聞いておいてよかったのでは。
その方が、比較にも使えましたし。

その3.調査結果がすごい(面白い)。

見るに尽きない調査結果ですが、特に興味深かった点を3つ。

「最もあてはまるもの」のグラフが、
選択肢A■■■■■■■■■■■■
選択肢B■■■■
選択肢C■■
選択肢D■

でれば、「次にあてはまるもの」は、
選択肢A■■
選択肢B■■■■■■■■■■
選択肢C■■■■
選択肢D■■

のようになりそうですが、実際は、
選択肢A■■
選択肢B■■■■
選択肢C■■■■■■
選択肢D■■■■■■■■

とか、意外過ぎます。

また、国が進めようとしている様々な英語やICTなどの「新教育」についても、

ICTより、英語より、スポーツより、音楽等の芸術、そしてトップレベルの学力より圧倒的に、「体験を重視した多様性を伸ばす教育

これは「多様性を伸ばす」に引っ張られたりした気もしますし、また全数回答ではないので、見方に注意が必要ですが。それでも、

「次にあてはまるもの」にて急伸は「地域と連携した教育」であり、ICTや英語が伸びるどころか半減。

そして、こちらは文科省資料を支持するような結果です。

「学校の統合を検討する場合に重視すべきこと」において「地域住民の意向」が1.1%。

文科省サイトでは、

地域によっては、保護者は子どもに適度な競争を経験させたい、多くの友人関係の中で育てたいという意向から統合に賛成している一方、地域住民が、地域の中に学校を残してほしいという意向から統合に反対し、意見のずれが生じる場合もある。

– 文科省|資料2 小・中学校の適正配置に関する これまでの主な意見等の整理

とあり、当たり前ですが今回の調査は保護者対象のため「地域住民の意向」を重視することが、非常に小さい結果となりました。

「次にあてはまるもの」を見ても、その傾向は変わらず。

「学級数・児童数」「通学距離・時間・方法」を重視すべき、という現実的(?)であり、先ずは子どものこと、という至極全うな選択肢が高い割合となりました。

今後、豊橋市でも学校の統廃合議論は待ったなしです。
1学年80万人時代を前に、日本中で大きな大きな変化と決断が迫られています。

では!


長坂 尚登    愛知県豊橋市議会議員(無所属)
1983年豊橋市生まれ。地元の時習館高校卒業後、東京大進学、コンサルティング会社で働き、10年間東京で過ごす。2012年Uターン、商店街マネージャーとして、豊橋の街づくりに奔走。2013年から内閣官房より地域活性化伝道師を拝命。 2015年商店街マネージャーを退職し、豊橋市議に最年少・無所属で立候補、新人トップ当選(全体8位)。