人生、道はいろいろ、生き方の選択肢 〜 弊社元社員の規格外の人生

ガッツある人生、なんて久々に聞く言葉ではないでしょうか?今の人にガッツがないとは言いませんが、ガッツの意味がかつてのそれと違ってきているような気がします。どん底なんて経験する人は少ない時代だからでしょうか?

写真ACより:編集部

どん底とはこれ以上落ちようがないところを言います。一文無しになり、自分の周りから人が立ち去り、家族からは見放され、孤立無援の状態になった時、人は3通りの反応をします。

1つは起死回生、2つ目は気取らずありのままの自分と向き合い、新しい人生を始めるケース、もう1つのパターンは人間を諦めるケースです。諦めるとはジャンプすることをやめ、公園で寝泊まりしてごみ箱をあさるような堕落型人生という意味です。

私の会社でかつて働いていた男は面白い人生を送っています。日本で勤めていた有名企業を辞め、ワーホリでオーストラリアに行きます。そこで農作業のバイトをしていて農機具に挟まれ指を一本落としてしまいます。彼はその時点で人生観が変わり、自分の人生を好きなだけ楽しむことに変わります。カナダにワーホリで来た際に私が採用します。しかし、彼とは何度話をしても彼の人生設計が組み立てられず、思い悩んでいました。

一旦帰国後、再びカナダにきてある飲食系のところで不法就労します。観光滞在ビザが6カ月だけ出るので夏の良い時期にカナダにきて週7日5-6カ月働き、ひたすら貯めて残りの期間は世界を旅行するのです。それを続けてすでに5年でしょうか?今年も秋に「行ってきます」といって旅立ちました。「今度は何処へ?」と聞くと「まずはアイスランドをレンタカーでゆっくり一周回り、大自然とオーロラを楽しんできます」と言います。その後、英国で離脱に揺れる国を見ながら放浪をして来年春に戻ってきます、と。

型にはまった人生とは「どこかできちんと給与もらって人様からみて恥ずかしくない人生を送る」と我々は習ってきました。しかし、この男はもしかしたら世界で一番幸せな人生を送っているかもしれないと思っています。だって明日のことを考えない、今だけの自分を最大限楽しむのですから。

私の会社にいたもう一人の男も似たようなタイプです。日本嫌いの彼はカナダを出た後、ITで食っていくとノマド族を宣言。東南アジアや中国を主に自転車で移動しながらパソコン一つ持って世界中の会社とITの仕事をしています。(これがいい仕事をするんです。)1日100キロぐらいの自転車移動は全く苦にしないこの男の持ち物はバックパック一つと自転車が全私有物。これからヨーロッパ経由でカナダまで自転車で移動します、と言っていたけれど1年ぐらいかかるのかもしれません。

完全に規格外の人生なのです。社会保険とか納税とか全然考えていないけれど自分の生き方とそのスタイルを大事にしているのでしょう。

日経にオウケイウエイブの創業者、兼元謙任氏の記事があります。「起死回生 ~崖っぷちからの反転攻勢 創業期に大手の買収提案を拒み、働き手の半数以上が去る」とタイトルにあります。オウケイウエイブはウェブ上のQ&Aを提供している会社で見たことがある人もいるでしょう。急成長した会社で名古屋市場に上場していますが、昨年だったか、確かテンバガー銘柄(株価が10倍になること)の一つとして名が知られました。

彼の人生の話もドラマがかっています。大学を出てデザインの仕事し、子供もできたのに生活破綻、奥さんの離婚届がテーブルの上にあり、30歳でホームレスになります。しかし、兼元氏もホームレスなのにパソコンだけは持っていてそれで名刺のデザインをやり始めたところ、起死回生で上場会社にまでなります。離婚届を突き付けた奥様ともよりを戻したとあります。美談です。

人生なんて決まった道はありません。かつては良い大学に入り、良い会社に入り、定年退職まで面倒見てくれた時代でした。しかし、会社そのものが変わりました。仮に定年までいられる仕組みがあったとしてもその40年の社会人人生が泥沼でストレスフルなものだとしたらそれでもその会社にいることを正とするのでしょうか?奥様が「あなた、私の生活はどうなるの?」と言ったら人生はお金じゃないと説き伏せる選択肢だっていいのかもしれません。

ある意味、人生の色を自分で塗れるようになったという意味では面白い時代がやってきたともいえそうです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年12月8日の記事より転載させていただきました。