ダメ元で伝えてみるも「U2水素燃料電池コンサート」実現④

2019年12月11日 06:00

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2019年12月4日(水)U2コンサート1日目。最終リハーサルは17時と言われています。水素燃料電池による電気を使うかどうかは、この最終リハーサル終了後に決めると言われているのです。水素チームは、全員がドキドキしながら、固唾を呑んで待っているのです。正に俎板の鯉。準備万端、これ以上することは何もありません。


リハーサル開始。さいたまスーパーアリーナに「ブーン」という音が聞こえる。演奏していない時に聞こえる低く静かな音。この音が気になるということで、水素燃料電池のからの電源を切ることになったのです。

水素燃料電池が原因ではないと思うけれど、開演までに時間がない。原因を追究はするけれどリスクを取るわけにもいかないので、1日目は使わないという結論が出たのです。残念無念、でも一方では「ブーン」という音の原因が、その後、水素燃料電池でないこともわかったのです。

それなら、2日目は使ってもらえるのではないか・・・、自信があるようでない、靴の上から足をかくような、何とも言えない気持ちを水素チーム、特に技術スタッフが持ったに違いありません。明日は、使う事になるだろうと、言われながらも…。

12月5日(木)U2コンサート2日目。僕は15時にさいたまスーパーアリーナに入りました。昨日は、ブラットピットが来ていた。他にも国内外の有名人が来ていた。そんな話をしつつも、今日は大丈夫だろうか?心の中の思いは、1点に絞られている。FCVからの電気は供給されている。水素チームとしての準備は万端。後はリハーサルを待つのみ。

暫くすると音楽が鳴り響き始めたので、アリーナ席に入って行ったのです。リハーサルが始まっている。暫く聴いていると、演奏が中断し、静けさの中で「ブーン」という微かな音がする。でも、原因は水素燃料電池ではないことはわかっているが、それでも、心配になってしまう。どうだろうか・・・。ようやく、U2サイドから「GO」が出た。

「よっしゃー」これで世界に水素燃料電池コンサートを認識してもらう為の1歩を踏み出せる。水素製品に関する日本企業の長年にわたる技術開発とビジネスモデル、そして知恵、JAPAN MADEが、新たなメッセージを持って世界に羽ばたく時が来たのです。

水素燃料電池コンサートが出来る事になったので、次はU2マネジメントサイドとメディア向けリリース文章、タイミング、許諾の詰めをしなくてはなりません。リリース文章は英語と日本語、EYジャパンのKさんが中心となって、英語版のリリース文章でU2サイドとのキャッチボールが始まったのです。

ようやく英語版の文章が固まり、U2が映るコンサートそのものの画像は使えないけれど、FCV、Exporter9000等のバックヤードの画像は使用出来、リリースはコンサートが終わり次第可能ということになりました。また、水素チームのメンバーが各情報発信する場合は、リリース文章の範囲内でということになりました。

一方で、U2からのコメント、リリースは12月15日のワールドツアー終了後ということです。それまでは、日本サイドからの情報発信に限られます。日本語版でのリリース文章は、翌日6日15時予定で、多摩大学ルール形成戦略研究所とEYジャパンから発信することになったのです。

これで一安心、後は最後までFCVから電気を供給し続ければ、コンサートは成功裏で終わる。FCVからの電気は、ジ・エッジのギター、アダム・クレイトンのベース、つまり1番音に敏感な弦楽器に供給される。

いよいよコンサートが始まった。僕が呪文のように唱えていたU2による水素燃料電池コンサートの始まりだ。電源供給は、水素チームの技術者の皆さんにお願いし、僕はコンサート会場のアリーナ席に入っていった。どんな音色が聴けるのか、自分の耳で確認したいからです。アリーナ席と言ってもアリーナはスタンディングエリアです。アリーナエリア横の通路でU2コンサートを体感したのです。

派手なパフォーマンスもない。ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムの4人から奏でられるシンプルだけれども多重に重なり合う音楽。ボノの透き通るが、頭にキンキンしない声。ステージは一見シンプルだけれども、くねったスクリーンに流される映像からはメッセージが強く伝わる。U2のコンサート、これ程まで吸い込まれていくとは思わなかった。

この最高のコンサートに水素燃料電池から生み出された電気が、更に花を添えている。ジ・エッジ、アダム・クレイトンの奏でるギター音、僕は音を表現する細かなボキャブラリーを持ち合わせていないので、言葉にすることすらできない。素晴らしい。

あっと言う間の2時間30分、気が付くと最後の歌になっていた。ボノが水素燃料電池コンサートについて、何かコメントするかと期待もしていたが、もちろんコンサート中に言及は無かった。

コンサートをアリーナエリアで観ていたSUGIZOがFCVが置いてあるバックヤードに戻ってきたので「SUGIZOのお陰でU2水素コンサートが実現出来た。ありがとう。今日は最高のステージだった」、SUGIZO「刺さるようで暖かい最高の音色であり、それぞれのギターの特徴がかもし出されていた」と。

確かにこの表現だ。SUGIZO「日本のLUNASEA、世界のU2が水素でコンサートをやった意味は大きい。環境を考えない音楽活動は成り立たなくなる」と。その通りだと思う。水素チームとU2が踏み出した1歩は、普通の1歩ではない。そして、ここがスタートかもしれない。

FCVは車内タンクの水素と空気中の酸素の化学反応で、電気が生まれる。その副産物として、排気ガスではなく、水が生じる。福島産の水素が充填されているトヨタMIRAIからも水が排出されるのです。それは、U2と復興の象徴でもある福島産CO2フリー水素とのコラボで生じた、言うならば世界初の「U2水素燃料電池コンサート水」でもある。僕は、その水を記念にペットボトルに入れて持ち帰った。地球環境を考えるきっかけの「コンサート水」として。

U2から「やっても良い」と返事が来てから1か月、水素燃料電池を使うと言われてから5時間、全てがあっと言う間だった。さいたまスーパーアリーナで、LUNASEA水素燃料電池コンサートが行われたのが2017年12月。2年後に同じ場所でU2が水素を使ってくれるとは想像出来なかった。

「U2の水素燃料電池コンサートをウェンブレースタジアムで」この呪文が少し形は変わったけれど実現した。でも、目的はコンサートをすること自体ではない。水素エネルギー社会を構築する事。そのためには、世界中の多くの人々の理解が必要。多くの人達が水素を使えば、水素関連機器も水素も安価になる。安価になれば更に広がる。

誰しも地球環境を破壊したいとは思っていないはず。国家の経済を衰退に導いたり、国民の生活費用がかさんだりするから、踏み出し得ないだけだ。その為には、水素シンポジウムを催す、本を執筆する、政策で誘導する、チラシを配布する、国際会議を催す、水素関係者が地道に行うだけでは、ダメ、歩みが遅いのです。歩みが遅いとマスの力が勢いづいて働かないので、高コスト状態から抜け出せない。企業の投資も進まない。これではダメなのです。

水素関係者、つまり大学、企業、行政、政治家だけでは、関係者の、関係者による、関係者のための水素になってしまう。そこでは生まれない新たな発想が必要なのです。FCVをモビリティとしてではなく、電源車としてコンサートで使う。そして、強いメッセージを伝えてくれるアーティストと組む。LUNASEAのSUGIZOとの出会いによって、僕も意識変革を起こしたのです。U2が、地球環境に優しく、音質が優れている水素燃料電池コンサートの意味を世界に広げてくれることを期待しています。

多摩大学ルール形成戦略研究所、EYジャパン、トヨタ自動車、本田技研工業、長州産業、ユニファイド・サービス、福島ハイドロサービス、長野県というU2コンサートを実現に導いてくれた水素チームに改めて感謝します。僕の呪文に付き合ってくれたことを!

「Mr.ボノ、次はウェンブレー・スタジアムでやってみませんか?」
「コールドプレイも水素燃料電池コンサートやってみませんか?」

編集部より:この記事は多摩大学ルール形成戦略研究所客員教授、福田峰之氏(元内閣府副大臣、前衆議院議員)のブログ 2019年12月10日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。

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福田 峰之
多摩大学客員教授、前内閣府副大臣、前衆議院議員

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