今週のつぶやき:COP25を巡る小泉大臣とグレタさん

2019年12月14日 14:00

今年の漢字が「令」になりました。世相を表す漢字として日本漢字能力検定協会(漢検)が一般から募集するものです。その意味は改めるまでもありませんが、命令する(言いつける)と相手を尊敬する表現(令嬢など)という二つの意味があります。「令和」となると安倍首相がその発表の際に説明したように「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」です。人々は尊敬しあい、心を美しくお互いに育みあうという理想により近づけることができるか、ある意味、日本が進むべき目標なのかもしれません。

では今週のつぶやきです。

大きな大きなクリスマスプレゼント

懸案の米中通商交渉で第一弾の実質合意がなされました。いまだに詳報が入ってきませんが、何らかの署名が駐米中国大使とライトハイザー通商代表部の間で近いうちに行われるようです。また、英国からは総選挙で与党が単独過半数を確保し、1月末の離脱への道筋をつけました。これをはやしてアメリカの木曜日、日本の金曜日は株価が大きく跳ねました。ただ、私はどちらも一つの関門を抜けただけ、とシビアにとらえています。

英国はこの後、議会で離脱協定を承認し、離脱に進みますが、そのあと1年ほどかけて行うEUとの通商交渉が極めて困難とされています。また今回の選挙でスコットランド民族党が議席を48に伸ばし躍進、住民投票による独立という動きを加速させるものと思います。一方のトランプ大統領もこの通商交渉は第一弾で一番やりやすいところだけをまとめた、とされています。第二弾はそれこそ来年の大統領選挙までに間に合わないかもしれません。その上、下院では弾劾決議案可決です。

この表面繕いのクリスマスプレゼントに一抹の不安を感じるのか、本来では大きく下げるはずの金(ゴールド)がぽーんと上昇しているのは不気味であります。もやもやがとれた、これが英国人の気持ち。ほっとした、これがアメリカ人の気持ち、本心が見えない中国、そしてEUの求心力低下を恐れるヨーロッパ大陸勢と四者四様かもしれません。そんな中、日本の株式市場はいくら何でもお祭りが過ぎます。こういうのをノー天気というのだと思います。

COP25を巡る小泉大臣とグレタ トゥンベリさん

スペインで開催された国連気候変動枠組条約のCOP25で小泉首相とグレタ トゥンベリさんが登壇、結論的に言えば小泉さんはまた国際社会でポイントを失い、グレタさんは更にポイントゲットとなりました。

外務省ツイッター、UNFCCC公式YouTubeより:編集部

批判の多い日本の石炭火力発電に対して国連のグレーテス事務総長は日本の事を「石炭中毒」と称しています。これに対して小泉大臣は「本日は日本の石炭姿勢に何も進展は伝えられないが、自分を含めて多くの日本人がより気候対策をしなければならないと信じている」とゼロ回答し、温暖化に消極的な国家に贈る化石賞を受賞しました。一方のグレタさんは「(気候変動問題で)一番危険なのは、政治家や企業トップが実際は何もしていないのに、行動していると見せかけていることだ」と発言、圧倒的な賞賛を受けています。

何が違うのでしょうか?私はアピールの仕方が小泉さんは下手なのだと思います。前回のNYでもへまをして減点となっていました。一方、グレタさんは正直、スピーチの能力は異様に高く、今回のしゃべり方は親譲りなのか、俳優並みの演技力でありました。国際社会における日本の位置づけは注目されています。外から見ると日本にはよいイメージと国際社会からは理解しがたい変な国という二つの顔があります。その中で正面突破しようとするのでは小泉さんは青すぎると思います。もっと有能なシナリオライターを持つべきでしょう。

元事務次官の苦悩

農林水産省事務次官を務めた熊沢被告が44歳の長男を殺害した事件。裁判が始まりましたが、あまりにも壮絶過ぎて正直、熊沢被告を責められない気がしています。発達障害、引きこもり、暴力的とまったく手が付けられない長男を生んだ親の責任として殺めたとすれば相当寛容な判決があってもよいと考えています。

熊沢被告には娘さんもいましたが長男により縁談もダメにされ、自殺しています。奥様も長男の暴力で肋骨にひびが入り、顔は青あざでうつ病。もちろん、熊沢被告も長きにわたり長男を立ち直らせるためにあらゆる努力をしてきましたがこれ以上放置すれば自分達のみならず被害は家庭の外に出る、と考えたのでしょう。これは正当防衛ではないでしょうか?

事務次官という最高のポジションにまでつきながらこれほどの人生が裏に隠されていたとは衝撃的すぎます。私は思わず、世紀の傑作「カラマーゾフの兄弟」のストーリーを思い起こしてしまいました。もちろん背景は全然違いますが、家庭に降りて来た悪魔、身内殺人、そして裁判という行方においてある意味、現代版カラマーゾフではないかとすら感じます。あまりにも恐ろしすぎるし、あまりにも悲惨であります。

後記

バンクーバーの街を夜歩くとき、レストランの客の入り具合を見るのが癖なのですが、この12月の盛り上がる時期にもかからわず店によりムラが見て取れます。有名店や流行っているところは溢れんばかりの人、普通の店は客がゼロのところもあります。かつては作るのが面倒な人のためのオプションとして外食がありましたが人件費やその他コストの上昇で腹を満たすという目的ではアフォーダブルではなくなったと考えるべきなのでしょう。先日、日本を訪れた時、それでもまだ安いですが、ずいぶん高くなったな、という印象です。レストランの淘汰なんてこともあるのかもしれません。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年12月14日の記事より転載させていただきました。

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