地球温暖化阻止へ、影響力の高い人から率先して行動を

COP25がマドリードで開かれ、CO2削減目標の増加、石炭火力に対する方針等、国家間の主張・議論が行われていた。結論がどうあれ、国家の目標は、政府機関のみで対応できるものではなく、個人や企業が協力することが前提となっている。なら、その目標に対して、誰が、どう反応して、行動をとり、目標に近づいていくのか、というプロセスも大切になる。

例として、僕がライフワークとして活動している水素エネルギーの活用に関して考えてみたい。二酸化炭素削減に寄与するエネルギーであり、地球温暖化と言う社会課題の解決に貢献できると日本政府も水素技術を後押ししている。

先ず「誰が」という側面ですが、それは1番影響を持っている人が、ということになります。1番と言うのは世界で1番、国内で1番、業界で1番、線の切り方はいろいろあって良いと思いますが、とにかく1番という事です。企業は、営業活動やソーシャルインパクト評価になると、自ら1番を探し、そして強調する。「アフターサービス業界1位」、「売上日本1」、「満足度No1」・・・と。

次に「どう反応して」という側面ですが、1番を強調したいなら、社会課題への取り組みも1番先に取り組むという思いを持つことです。業界No1という称号を取りたいのは、それによる信頼を国民から得て、商売を広げたいからのはず。信頼を得たいなら、今や社会改題の解決を率先して行っているという姿を見せる方が、効果が高いはず。なら、社会課題の解決に向けて、自らのやり方で最初に始めるべきなのです。

次に「行動をとり」という側面ですが、1番ならコストのことを言い出さず、静かに率先して行動をとることです。どの課題で行動をとるのか、という事は、単純ではないが、出来る事から始めるという事でもあるし、得意分野で始めるということでも良いはずです。例えば・・・。

音楽の世界では「U2が、世界No. 1のロックバンドとして、環境に配慮し、水素燃料電池コンサートを行い、世界の音楽業界に大きな流れをつくる」ということを行ったのです。「LUNASEAが、日本一のロックバンドとして、環境に配慮し、水素燃料電池コンサートを生み出し、実現し、日本の音楽業界に意識改革をもたらす」ということを行ったのです。これらは、既に始まっている事例です。

これからは、僕の思いですが、日本のスポーツ界では「読売巨人軍が、日本一のプロ野球球団として、環境に配慮し、水素燃料電池バスを購入し、選手の移動を行い、プロチームの移動の在り方に大きな流れをつくる」という事を行って欲しい。

経済の世界では「JR東海が、燃料電池電車を国産が無ければ、輸入してでも、電化されていない路線に導入する。自分たちはCO2を排出していないという見解から、使用中の電気は火力発電を中心につくられているもので、だから良しとしない」と意識改革と行動をして欲しい。

公益事業を営む業界では「東京ガスが、都市ガスに出来るだけの水素を混入させることにより、二酸化炭素の削減を行い、また水素需要を喚起する。それが水素価格を低減化させる一歩に繋がる」という意識で行動して欲しい。

次に「目標に近づく」という側面ですが、1番の行動が多くの行動を誘発し、自分だけでは不可能であった目標も、大きく広がることにより、近づくという事です。「自分達だけがやっても、たいしたことはない」一般的にはそう思うかもしれません。しかし、1番が動くというのは周りに影響を与え、他の行動を誘発することに繋がり、波及効果をつくることになるのです。その効果をつくれるのが1番なのです。

社会的影響力が高いから安易な行動が取れないと経営判断するのか、影響力が高いからこそ、とにかくやってみると経営判断するのか?経営者や中心となる人物の力量が問われているのです。影響力が1番になっている企業は、過去にチャレンジしてきたからこそ、今があるという事を忘れてはいけないのです。社会課題の解決は、出来ない理由を見つける事ではなく、どうしたら出来るか考え、やってみることです。

「1番影響力を持つ人が、1番に行動する」そんなカッイイ大人たちが、今では子供たちが増えてくる事を期待したい。何もしない1番を信頼することは、もはやあり得ない時代になっている。


編集部より:この記事は多摩大学ルール形成戦略研究所客員教授、福田峰之氏(元内閣府副大臣、前衆議院議員)のブログ 2019年12月21日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。