職員に国益への貢献を求める金融庁

2019年12月24日 14:00

現在の金融庁が推進する改革は、徹底的に国民の利益の視点にたって、既存の金融構造を解体し、再構築するものである。そういう意味で、電気事業の改革と同じ次元にあるのだが、大きな違いは、金融庁自身の改革が断行されていることである。それに対して、電気事業改革においては、経済産業省の抜本的改革が行われたという事実はない。

画像:123RF

なかでも、注目すべきは、金融庁職員に対して、国益への貢献を求めていることである。これは、金融行政の対象が国民になったことを象徴的に示すものである。もはや、金融行政においては、金融機関の視点はない。しかるに、例えば、経済産業省においては、国民の視点への転換はみられず、依然として、業界の視点における改革が行われているにすぎない。

形式的には、金融庁が金融機関の監督官庁であること自体は、少なくとも、現時点では変りないが、実質的には、金融庁の機能は大きく変化している。つまり、金融庁が直接的に金融機関を監督指導することから、「見える化」を通じて、国民の選択行動の合理化を図り、健全なる競争環境を作ることで、金融機関の自主自律的な創意工夫を促すことに、行政手法が抜本的に変更されたのである。

こうなると、金融庁は、金融機関の監督官庁ではなくなって、国民の利益の視点で、金融機能の高度化を推進する官庁になったといっていい。こうした金融機関から金融機能へという流れは、直近の施策に、明瞭にあらわれている。

例えば、年金基金等は金融機関ではなく、金融庁の所管外であるにもかかわらず、その資産運用は重要な金融機能であるが故に、金融行政方針では、そこに明示的な言及がなされている。また、資産運用に関しては、その機能の重要性に着目して、金融機関の枠を超えた金融事業者という用語も使われているのである。

金融庁は、もはや金融庁の所管にとらわれなくなっている。金融庁の所管は業者の視点で定められていて、国民の視点で金融機能の高度化を目指す金融庁は、業者の視点にとらわれないのだから、その所管にとらわれないのは当然なのである。

 

森本紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
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