ただの「自己責任」で片付けてはいけない……追い込まれる親子の実態

2019年12月23日 06:00

先日11月29日、5年ぶりの見直しが閣議決定された貧困対策推進法の大綱でも、「支援が届いていない、又は届きにくい子供・家庭に配慮して対策を推進する」という基本方針がようやく示されました。

そこでは、

「貧困の状況にある子供やその家庭の一部には、必要な支援制度を知らない、手続が分からない、積極的に利用したがらない等の状況も見られる。」

「支援に当たっては、親の健康状態の悪化により家庭が貧困の状況に置かれたり、家族の世話に追われる子供がいる、子供やその親に障害があったり、外国籍であるなどにより日本語が不自由であるなど、困窮層は多様であることに留意する。」

とさまざまな状況に置かれた親子がいることにスポットライトがあたりました。

「必要な支援制度を知らない、手続が分からない、積極的に利用したがらない等の状況も見られる」とありますが、なぜ、声を上げられないのか?支援の手が届かないのか?

これは特殊なケースなのでしょうか?

そして、声を上げないのは、支援につながらないのは彼ら自身のせい――「自己責任」なのでしょうか?

私たちが出会った、#つらいが言えない、そして、支援者につらいが届かない 家族の姿をお伝えます。

病気や障害がある、手続きがうまくできない

母親に精神疾患があり、保育園の入園手続もできないまま、誰ともつながらず母子で孤立していたAさん一家。

子育て世帯向けの食料支援を入口に、家庭訪問の糸口を得た相談員は一家の状況を確認。

Aさんの通院や保育園の入園手続などをサポートし、少しずつ生活は改善しました。

ひきこもりに関するNHKの総力特集の報道(*)でも、「発達障害によって、社会性やコミュニケーションに問題があることで、ほかの人と比べて支援を求めにくい現状があるため、支援の輪から見過ごされている人も多いのではないか」という専門家の指摘がありました。

(*)2019年10月28日NHK News Up「ひきこもり 見過ごされた 発達障害」より抜粋

制度を知らない、手続きができない


Bさんは、失職してしまった後、毎日の食べるものにも困るようになり、体調も崩し始めました。

そんななか、「食品を無料でお届けします」という案内のチラシを見て、相談窓口につながります。

しかしその時点では、住むところも無く、生活保護申請をせざるを得ない状況にまでなっていました。

Bさんの相談員も悔やみます。

「困っているなら自分で調べて動けばいいじゃないか」と思う人もいるかもしれません。

では、例えば、皆さんは以下の手当の違い、どんな人が・どんなときに使えるか、すぐに分かりますか?

これは、ある区の市民向けのホームページです。一般的な人が見る「よくある問い合わせはこちら」で紹介されています。

生活の苦しい親御さんがそう打ち明けたという話もあります。

東京都が子どもの貧困問題に詳しい専門家と行った「子供の生活実態世帯調査」でも、生活が苦しい層ほど、世の中にある子育て支援のサービスや制度を知らないという結果が出ています。

正確な情報を調べたり問題を整理することが不得手な人や、計画的に動くことが苦手だったり、そこまで時間的・精神的な余裕が無い人たちがいます。

こういった人ほど抱える悩みや課題が複雑で、放っておけばもっと悪化してしまう、大変な家庭のはずです。

***

このように、つらい状況にある親御さんには、病気や障害などが原因で困っている人、日常生活を送る能力に困難を抱えている人もいることが、見えてきました。

非難されがちな親も、もともとは「子ども」だったのです。自分の親から、家事や食事の作り方を教えてもらえなかった、漢字の読み書きや十分な教育の機会が与えられなかったなど、受けてきた経験や教育の格差の連鎖もあります。

日本の子どもの相対的貧困は「7人に1人」。30人いれば4人が該当する、非常に高いレベルです。

いま目の前にいる子どもたちが、そして将来の子どもたちが、安心・安全な生活を送り、夢や希望を持てる社会になるように。

私たち大人が、「#つらいが言えない」、ともすると「つらいが届かない」そんな親子の実情をきちんと知った上で、こうした困難が取りこぼされてしまう従来の社会福祉制度のアップデートを、本気で考える必要があります。

「#つらいが言えない」に共感してくれたみなさんに支援してほしいこと

こども宅食応援団では、「困っていても”助けて”が言えない人がいる」「必要な支援が届かない現実がある」という社会問題についての認知度を高めるため、特集企画『#つらいが言えない』に取り組んでいます(詳しくはこちらをご確認下さい。

「#つらいが言えない」の経験者として声を聴かせてください!

経済的な困難に限らず、子育てや仕事、病気など様々な要因で『#つらいが言えない』を経験したみなさんの声を聞かせていただければと思っています。

体験やエピソード、考えや想い、なんでも大丈夫です!ぜひ、「#つらいが言えない」のハッシュタグをつけてツイートしてください

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「こども宅食」には該当する制度がないため補助金がつきません。
そのため、全て自己資金で運営をまかなっており、現在は「返礼品なしのふるさと納税」を財源として活動をしています。ぜひご支援ください。

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編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2019年12月22日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。

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駒崎 弘樹
認定NPO法人フローレンス代表理事

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