ゴーン出奔:法治国家失格日本の下手人は記者クラブ

あけましておめでとうございます。
本年が皆様にとってより良い年でありますように。

さて大晦日にビッグニュースが飛び込んできました。

ゴーン元会長、無断出国か レバノンに入国日本経済新聞

日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告(65)が日本を出国し、中東レバノンに入ったことが31日、分かった。元会長は保釈条件で海外渡航が禁じられており、無断出国とみられる。日本とレバノンの間に犯罪人引き渡し条約はなく、4月にも始まる見込みだった元会長の刑事裁判は事実上、困難になった。

まあ、仕方ないでしょう。我が国は、体裁だけは法治国家ですが、実態は人治国家です。むしろ北朝鮮や中共に近い体制です。まともな裁判が受けられるはずもない。ぼくはゴーン氏は、有罪ではないかとは思いますが、容疑者=犯人と断定する国で裁判なんざ受けたかねえ、というのは仕方がないでしょう。

検察が起訴して有罪になるのが99.9パーセント以上(特捜部の場合。つまり国策)。
痴漢冤罪で2年も拘留される、いわゆる代用監獄の存在。代用監獄に繋がれているうちに、容疑者=犯人のように報道され職や社内的な地位を失います。そうして自白を共用、あるいは捏造する。

また警察は職質や、取締で平気で脱法行為を行います。
取り調べには弁護士が立ち会えず、その可視化もされていない。
しかも容疑者が弁護士に接見することも難しい。
裁判官は警察や検察の主張を、それが違法でも全く疑わない。

ぼくは何度も現行犯で選挙違反を捕まえましたが、選管も警察も全く動きませんでした。
一票の格差にして違憲を事実上認めても、違憲ではなく、「違憲状態」だと造語をつくって、行政や政治に忖度する。

まあ、こんな文明以前の野蛮な未開国で裁判受けたいと思う文明人はいないでしょう。

事件初期の報道(編集部撮影)

こういう無法が通っているのは、無論検察、警察、司法にも問題がありますが、記者クラブの存在が大きいと思います。

記者クラブメディアは他の媒体や我々フリーランスを排除して会見以外でも取材機会を独占しています。そして当局と馴れ合うことで情報をもらっています。

事件が起こっても、警察や検察のリークという三味線で踊ります。容疑者=犯人というレッテルを貼って「報道」します。犯罪被害者やその家族の情報も暴露して取材させろと押しかけます。殆ど人外の所業です。

つまり記者クラブは当局の下部組織、あるいはPR会社として機能しております。ですから憲法、法律、人権無視をいくら当局がやってもそれを批判しません。自分たちもそれで儲けているからです。

これがまともな民主国家とはいえません。

そもそも誰が記者クラブを報道関係者の代表と定めたんでしょう。
記者クラブは所詮、町内会と同じ民間の任意団体に過ぎません。それが役所の記者会見やその他の取材機会を独占している。

自分たちが自称しているだけです。それはアパルトヘイトの白人優位説、ナチスドイツのアーリア人優等説、プロレタリア独裁の共産党の独裁が正しいというのと同じです。

こういう記者クラブが自由とか民主主義とか、法治を尊重しろというのは悪い冗談です。日本を法治国家にするためには記者クラブを解散することが第一歩です。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2020年1月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。