カジノ管理委員会をこのままスタートさせてはいけない!

田中 紀子

昨日(1月7日)、カジノ管理員会を予定通り設置したのには、本当に驚きました。

自民党は安倍長期政権の弊害で、ここ数年全く自浄作用が全くなくなりましたが、公明党も沈黙、維新も下地議員の100万円の授受が発覚したにもかかわらず、松井知事はまたしても「議員辞職を伝えた」という、とかげのしっぽ切り発言には、もう心底がっかりしました。

丸山議員の時といい、今回といい、最近の維新は「とにかく言うだけはいいました。」というポーズだけとられていて、でも結局議員辞職なんかしない。さらには「党やIRでも対策が進んでる!」とか、自画自賛が多くて中味を伴っていません。本当に本当に、どうなっちゃってるの?と思っています。

いいですか、大阪は本当にIRをやりたいなら、今ここで、カジノ管理委員会を何事もなく進めちゃダメですよね?信頼をなくしますよ。きちんと精査し、せめてこの疑獄事件の全容が明らかになるまでは、手続きをストップさせるべきです。

それから今回の場合、カジノ管理委員会が「ギャンブル依存症対策についても検討」とありましたが、あのメンバーのどなたがギャンブル依存症のことをお分かりになるんですか?私が知る限りギャンブル依存症の専門家はどなたもいませんけど?

それに何よりも腹立たしいのは、今回の500ドットコムの動きの中で、「ギャンブル依存症対策」を利権にしようとしたこと。自分たちの依存症対策がいかに凄いかをアピールするために、推進派の研究者を取り込み、その推進派の研究者が大阪の関係者会議に入りこんでいたんですよ。

一体どういうことが起きているのか?何が起こりうるのか?
全容がわからなかったら、再発防止なんかできないですよね。だってそもそも、今起きている問題だってうやむやにしたまま、カジノ管理委員会設置しちゃうんだったら、もう、どんなことだって都合良く決めちゃえるじゃないですか。

しかも「クリーンなカジノ」ってさんざん謳ってたのに、こんな疑獄事件になったんだから、カジノの是非から問い直すべきじゃないですか?「やっぱクリーンなんて無理でした…」ってことなんですから。

いくらなんでもカジノ管理委員会をこのまま進めようなんて無理があります。
うやむやのまま利権の温床のカジノを開業するつもりなのでしょうか?

すでにこれだけのオペレーターのアピール合戦が起き、それに政治家が踊らされているんですから、日本のカジノのあり方を根底から見直すべきではないでしょうか?

利権者以外誰も望んでない政策なんですから。
新たな利権の密談が進んでない限り、急ぐ必要などないはずです。


田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
国立精神・神経医療センター 薬物依存研究部 研究生
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト