ウィーン氏のビックリ10大予想:S&P500は3,500乗せ、Fedは利下げ再開

2020年01月13日 14:00

遅ればせながら、今年もこちらをお届けします。

(カバー写真:Erik Pitti/Flickr)

(カバー写真:Erik Pitti/Flickr)

ウォール街のヨーダことブラックストーンのバイロン・ウィーン副会長が3日、今回初めてジョー・ジドル最高投資ストラジテスト氏と共にビックリ10大予想を発表しました。前回は3日の発表だったところ、トランプ政権によるソレイマニ司令官殺害発表を受けて後ろ倒しにしたのでしょうか?

ウィーン氏にとって35回目となる今回は、以下の10項目を挙げています。一般の投資家が定義する”ビックリ=サプライズ”な出来事は30%の確率で起こること、ウィーン氏の場合は50%以上と定義していますが、さてどうなるのでしょうか?

  1. 経済は市場予想を失望させる結果となるが、景気後退は回避へパウエルFRB議長は利下げを再開し、1%に設定する。包括的な貿易合意が得られず、トランプ大統領はあらゆる権利を行使し成長支援に努め、給与税引き下げを断行する。
  2. 不均衡と気候変動は米大統領選の重要なテーマとなるが、中道寄りの見方が主流を維持。下院は弾劾条項を上院に送付するが、トランプ大統領は有罪とならない。民主党は、上院で多数派を獲得する
  3. 米中間で、中国に知的財産権保護を認めさせるような第2段階の包括的な合意は成立しない。一方で、技術分野においてはバルカン化が進み、5Gの基準乱立は将来の世界経済にとって悪材料に。中国との交渉で、デカップリングが勢いを増す。米国経済は、中国との共依存を低下させる。米中は共に、香港の民主化問題に干渉しない。
  4. 自動運転の実用化は、将来へ先送りへ。大手自動車メーカーあるいはテクノロジ―企業の実験車での相次ぐ事故発生が背景。
  5. イランは経済制裁の打撃と米国の介入消極性を利用し、イスラエルとサウジアラビアへの敵対的行為を強める。ホルムズ海峡は閉鎖されWTI原油先物は70ドルを突破する。
  6. 一部で割高と認識されても、S&P500種株価指数は3,500を突破へ。ボラティリティ上昇局面では一部の市場で5%以上の調整が発生も。
  7. FAANGのような大手IT企業は、政治的な監視あるいは社会的な反発に直面する恐れ。FAANGのパフォーマンスは、S&P500以下にとどまる。ソーシャルメディア最大手(フェイスブック)を解体する提案や規制強化、政府監視の圧力は世間の支持を集める。NY市のミレニアル世代はスマホを捨て、アイコンタクトでコミュニケーションする手段に脅威の低下や新鮮味を覚える。
  8. BREXITが平和裏に進み、英国がEU離脱での勝者となる。英国の株式市場は上昇し、ポンド高が進み、英国への海外調節投資は2%を超える。一方でEU経済は軟調なままで、欧州株式市場は英国だけでなく、米国やアジアの市場を下回る
  9. 債券バブルがしぼみ始めるが、海外でのマイナス金利は継続。米経済は鈍化しながらも、米10年債利回りは2.5%へ上昇するなどイールドカーブはスティープ化する。日本と中国は、米国債入札から身を引く。経済ファンダメンタルズやインフレより、供給と需要のバランスにより利回りは上昇へ。
  10. ボーイング737MAXの問題は解決し、出荷は再開へ。同機は世界で主流であり続け、航空会社のオペレーションを効率化させ利益拡大をもたらし、ボーイング及び航空関連株は市場の牽引役へ

今年の2020年ビックリ予想で米経済の鈍化と利下げ再開を見込むも米成長率は含まず。

(出所:Blackstone)

(出所:Blackstone

以下は、ビックリ予想10選から漏れた“ありえそうなこと”5選となります。

  1. インドでの経済危機への脅威は低下へ。エマージング市場は各国・地域ごとにまちまちな展開となるが、インド市場は成長減速から回復に転じる。モディ政権はビジネス・フレンドリーな改革を継続し、インドの成長率は6%へ戻し、同株式市場は20%高を達成する。
  2. 人工知能(AI)は張り子の虎であると判断される。2000年問題のように、AIが人間から職を奪うような事態は実現しない。製造業の職は自動化の波にさらされるが、サービス部門では人材を排除できない。
  3. ロシア経済の問題は、原油価格上昇に反し悪化する。その結果、社会不安が広がり、プーチン大統領とその側近やオリガルヒなどが問題視され、プーチン氏の世界的な指導力も低下する。プーチン氏は中国に接近し、深刻な違いを乗り越えロシアと中国は米欧への対立軸となる。
  4. ポピュリズムと内向き的な見方が、特にエマージング市場を中心に世界で波及し続ける。政治混乱が頻発し、投資家はエマージングの株式市場や通貨、債券から撤退し、スプレッド拡大につながる
  5. 北朝鮮は、トランプ大統領との会談後に核開発プログラムの中止を受け入れるが、これまでの成果を断念することなく、引き続き世界の脅威であり続ける。

——いかがでしたか?世界が最も注目する米大統領選の結果についてのビックリ予想が存在せず、個人的には日本や中国が含まれなかったことと合わせ、失望を禁じ得ません。バロンズ誌のラウンドテーブルでもそうでしたが、やはり2016年の経験を踏まえ、慎重にならざるを得ないのでしょう。全体的にも”ビックリ”させるような予想というより、各金融機関などの基本シナリオに沿う内容と言えます。なかなか、リスクは取れないものですよね。

何より、今回は経済や金融市場の予想が少なく、産業やテクノロジー関連が例年より目立ちました。それだけ、投資家から熱い視線を集めているという証左なのかもしれませんね。

さて、2019年の“ビックリ10大予想”の結果をあくまで個人的に振り返ると・・・1勝4敗5分けと、2018年の0勝6敗4分け、2017年の1勝6敗3分けから小幅に回復しました。ウィーン氏の予想は複数盛り込まれるため判断が難しいところなので、引き分けでも的中している部分はあるんですけどね。例えば、世界経済の減速により利上げ中断は良かったもののイールドカーブが逆転したり、Fedの利上げ中断で米株高が進んでもS&P500は予想された15%高を上回る28.8%高を遂げたり、など。評価は、2019年版をご覧になって、皆様でお決め下さい。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年1月12日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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