回復のプロセスを伝えてくれた『す・またん』と若手テレビマンに感謝!

2020年01月21日 06:00

昨日(1/20)の朝7時頃、関西ローカルの朝の情報番組『す・またん』(読売テレビ系)で、昨日の私たちのセミナーに俳優の高知東生さんが登壇された模様を報道して下さいました。これが本当に良い内容だったんですね。

「す・またん」公式Facebookページより:編集部

今まで、アルコール・薬物・ギャンブルでの事件や、依存症問題が起きると、事件についてスキャンダラスに報じるばかりで、その後どうなったか?ということに全く触れられませんでした。

そもそも日本の芸能人の方も、欧米のアーティストのように「治療に繋がり続ける」という概念がなく、なんとなくうやむやにしてしまうケースが多く、そのため時には再犯に繋がってしまうケースもありました。

でも大事なのは、捕まった後どう生きるか?ってことではないでしょうか。
回復していくプログラムというのは一筋縄ではいきません。今までの価値観がひっくり返るわけですから、頭の中が嵐のようにぐちゃぐちゃになるし、自分が自分でなくなってしまうような恐怖も味わいます。

特に世界で依存症回復にもっとも効果があると言われる「12ステッププログラム」は、座学ではなく実際に傷つけた人たちに会いに行き、埋め合わせをしていくような「行動」のプログラムです。その過程は、もちろんめちゃめちゃしんどいです。

けれどもそこから逃げずに、きっちりと向き合いやり遂げた時には、全く別の人生が待っています。実際、私自身もそうでした。私は、プログラム前は今の様な生き方をする人間では全くなかったです。

自分さえよければよかったし、利己的で自分が少しでも得をしたかったし、勝ち負けにこだわり、他人の評価に一喜一憂し、隣の芝生を見ては嫉妬にギリギリと苦しんでいました。そのくせ自分に自信がなく、自分にできる努力をコツコツ積み重ねるのではなく、いつかどこかで一発逆転が起きるとか、今に見てろよ!なんて思いながら、失敗が怖くて最初の一歩を踏み出さない人でした。

その結果「良い男を捕まえる」とか「力のある人間に頼る」そんなことばかり考えていました。
自分で自分の人生を幸せにできるなんて、自分自身が1ミリも信じていなかったのです。

だから不安で孤独で、なにか壁にぶつかってもそれを乗り越える力、やり方が私には全く分からなかったし、人間関係でもめるとその縁をぶっつり切ってしまうようなことばかりしてきました。

だからそんな現実が辛くて、私には考えなくてすむようなギャンブルや買い物が必要だったのだと思うし、そのために依存症になったと思います。

けれども12ステップで「利他的に生きる」意味を知り、人と絆を作り助け合っていくこと、誰かを助けることは、実は自分を助けることなんだって知ることができたのです。この12ステップが海外では知れ渡っているために、日本とはケタ違いの回復者を輩出しているのだと思います。

だから私はこの「回復のプロセス」依存症からどうやってリカバリーしていくのか?その過程こそ、多くの人に知って貰う必要があると思い、発信力のある高知東生さんに声をかけさせて貰ったのです。当時、孤独に苦しんでいた高知さんが、12ステップで回復することで、日本の依存症啓発に大きく貢献して下さると思っていました。

そして現在、高知東生さんは本気でこのプログラムに取り組んで下さり、我々の力強い仲間の一人として、精力的に啓発に協力してくださっているんですね。

番組では、その回復過程を「す・またん」さんが取り上げて下さったのですが、最近つくづく思うのは、若手テレビマンの柔軟さですね。

依存症は我々世代から見るととても非常識な対応を強いられます。「家族の愛」では治せないし、刑罰にも効果がない。だから理解されにくい病気なんです。

ところが取材に若い方がこられると大体皆さん腰も低いし、こちらの意図もきちんと聞いてくれます。教育が全く違うんだろうなぁと思うんですけど、固定概念に凝り固まっていないんですよね。

昨日の番組も、どんなに批難されてもおかしくない立場だったのに元奥様が「親友であり同士でもあった」という言葉を記者会見で述べて下さり、そういう人を裏切ったことで深く反省し再起を誓ったという話に触れた後、執行猶予期間中に心ない人々が近づいてきて、その時が一番辛かったという心情を吐露されています。

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このあたりのこと、高知さんに聞いたことがありますが、親切な人だと思ったら最終的には宗教の勧誘だったり、元奥様から1億円貰ったなどとデマが報道されたためにお金を借りに来る人、「辛いだろう、あるよ…」と薬物を渡そうとする人など、弱っている時には、ロクな人が近づいてこない…そんな嫌な出来事が次々と起こります。

そしてもう死んじゃおうかなぁ…と考えていたころに私と出会ったんですね。
本当にその時の高知さんは人間不信で、私も経験から「このままじゃこの人危ない…」と思いました。

このあたり私たち依存症界では、「孤独」になってはいけないということはセオリーで誰でも知っていることですが、無知な芸能人たちが「一発アウト」発言などで、依存症にとって害悪でしかない間違った意見を声高に叫ぶために、特に芸能人は救いのない方向に進んでしまっているんですよね。こんなことやってたら本当にそのうち誰か死にますよ。

でも高知さんはなんとか会って貰えたので、仲間たちに繋ぐことができて今に至っている訳です。

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そしてとんでもないポテンシャルで回復し、現在では啓発活動に積極的に関わって下さり、多くの仲間たちに希望や勇気を与えてくださっています。

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そしてこういった自分の「恥」の経験を「価値」に変えることこそが、ご自身の回復に繋がっているんですよね。
自分の経験が誰かの役に立つ!この体験こそが依存症者にとって大きな励みとなるのです。
まさに回復の好循環が生まれている訳ですが、番組ではこのあたりを余すことなく伝えてくださっています。

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今の高知さんの地に足の着いた、回復の王道を歩いている姿を、番組スタッフさんが認めて下さり、明るく前向きな報道にまとめて下さったことに本当に感謝です。「依存症からどうやって回復するのか?」それがわかる報道番組が今後増えてくれることを願います。

人は、絶対に生き直せる。
この番組がまだ依存症の苦しみや悲しみの中でもがいている人たちに繋がることを願っています。
「す・またん」スタッフの皆様、ありがとうございました。

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田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
国立精神・神経医療センター 薬物依存研究部 研究生
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト

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田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表

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