バロンズ:Fedの保有資産が縮小、米株安の一因に?

2020年01月27日 06:00

バロンズ誌、今週のカバーはスポーツ賭博関連を取り上げる。2月2日のスーパーボウルは約1億人が視聴する米国最大のスポーツ・イベントで、今年はサンフランシスコ49ers対カンザスシティ・チーフスの戦いとなる。対戦相手以外の大きな違いは、賭博対象として合法化されたことにある

2018年5月に最高裁がスポーツ賭博を認める判断を下した結果、同産業はラスベガスを抱えるネバダ州以外で急拡大し、ニュージャージー州やペンシルべニア州、イリノイ州、ミシガン州を含む20州で合法化された。アナリストは、数年先にも10以上の州での合法化を予想する。

米国ゲーミング協会(AGA)によれば、スポーツ賭博市場の非合法的な賭け金は年間1,500億ドル相当し、潜在的な成長力は高いと考えられよう。モルガン・スタンレーの米賭博産業担当アナリストは、米国スポーツ賭博売上高は2019年の10億ドル以下から2025年には70億ドルへ拡大を見込み、そのうちの8割はオンライン取引によるものと予想する。同市場に賭けるなら、どの銘柄に投資すべきか。詳細は本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリーチ、今週は新型肺炎のほか、Fedの保有資産と米株安に焦点を当てる。抄訳は、以下の通り。

カバー写真:Federalreserve/Flickr

株式市場はFedが保有資産拡大を止める時、風邪を引く―Stocks Catch a Cold After Fed Stops Expanding Its Balance Sheet.

米国がくしゃみをすれば、世界が風邪を引く。今は中国で発生した新型肺炎が世界の金融市場を震え上がらせている。しかし、世界保健機関(WHO)は2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の時と異なり、時期尚早として緊急事態発言を発動せず。中国では1,000人以上が罹患し、41人の死亡が確認され、春節の時期に封鎖を余儀なくされた武漢を始め感染地域に住む約3,600万人が影響を受ける状況だ。

米国でも、インフルエンザ流行シーズンにあたり感染の脅威が取り沙汰されているが、キャピタル・エコノミクスのポール・アシュトン首席エコノミストいわく、新型肺炎よりインフルエンザの方が深刻な問題だ。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によれば、2019年10月から20年1月4日までのインフルエンザ入院患者は約12万人、死者は6,600人に達する。対して新型肺炎は、米国で2人確認されただけだ。

世界経済や株式相場、ジャンク債市場、原油先物その他商品先物市場などへの影響も懸念されるが、ダウとS&P500種株価指数は1月20日週に1%を超える下落となり2019年8月以降で最も弱いリターンを迎え、ナスダックも0.8%安と2019年9月以降で最低となった。株式市場を始め、リスク資産は買われ過ぎていたため。新型肺炎が調整売りの機会を与えたと考えられよう。

新型肺炎のニュースが流れるなか、アップルなど大手IT企業の一角は株価は1月20日週に過去最高値を更新し、Utilities Select Sector SPDR(XLU)やiShares U.S. Real Estate (IYR)も過去最高値をつけ、 米10年債利回りは年初の1.92%から1.7%台まで低下した。金利が株式市場を動かすドライバーであり続けるなか、株価は上昇を続け割高感が問題視されたが、株式より割高感が強まったのは債券市場だろう。米連邦準備制度理事会(FRB)が2019年に3回の利下げに踏み切り、かつ保有資産を2019年9月以降、米財務省短期証券の買入を通じ月600億ドル拡大する方針を決定、これまで3,000億ドル買い入れた結果、米株市場の時価総額は3兆ドル膨らんだ

Fedは資産買入を量的緩和ではないと主張するが、少なくともTビルの買入に加えレポ取引を通じマネーマーケットに流動性を与えるだけに、株式や債券などの相場を押し上げたことに変わりはない。

しかし、問題はFedが年初から資産買入を停止し、保有資産が1月22日時点で250億ドル減少していた。Fedは引き続き月600億ドルのTビル買入を行なっているが、レポ取引の縮小や住宅ローン担保証券や政府機関債の償還が影響したのだろう。

bs

(作成:My Big Apple NY)

恐らく株安とFedの保有資産の縮小が同時発生したのは偶然なのだろうが、真相は1月28~29日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエルFRB議長の記者会見で明らかになるはずだ。FOMCはFF金利誘導目標を1.50~1.75%で据え置く見通しだが、JPモルガンはテクニカル的な調整として超過準備預金金利を1.55%から1.6%への引き上げを見込む


2003年の各国別株式市場を振り返りますと、当時はある程度、下押ししたものです。例えば、SARSの症例が初めて報告される直前の2002年10月を起点に2003年末の騰落率をみると、上海総合が0.7%安に対しS&P500は25.5%高、日経225は23.6%高。足元は中国の景気刺激策や米大統領選、本邦政府の大型経済政策などの要因により同様に反応するかは不透明ですが、少なくとも、当時は震源地と明暗を分けた格好です。果たして今回はどうなるのか、中国政府の対応が運命を分けるのでしょう。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年1月26日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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