情報アクセシビリティを視野に入れない政府の研究会

2020年01月27日 14:00

内閣府日本経済再生総合本部に組織された「ODR活性化検討会」は、先週末1月24日まで、e-Govを介さずに意見を募っていた。ODRとは「オンライン紛争解決」のことで、迅速・低コストに公正で実効的に紛争を解決する、デジタル手段である。

経済産業省に組織された「Society5.0における新たなガバナンスモデル検討会」も報告書案を作成し、現在、e-Govを介して意見を募集中である。ここでもODRを始めとして、デジタルをフル活用する法制度への移行が提示されている。

経済産業省の報告書

しかし、これらの研究会には共通の欠点がある。情報アクセシビリティが視野に入っていないのである。

以下、経済産業省の報告書案に対して提出した意見を掲載する。

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情報社会にふさわしい法と制度を根本から検討する取り組みに賛同する。しかし、本報告書には情報アクセシビリティ確保という重要な観点が欠落している。

意見の概要:
本報告書第7章「新たなガバナンス実現モデルに向けた取り組み」にアクセシビリティ確保を明記すべきである。

意見の詳細:
オンライン紛争解決(ODR)を例に取り上げ、以下、くわしく意見を述べるが、意見はODRに限られるわけではない。

高齢化の進展は高齢者の人口比率の増加をもたらすが、それに加えて何らかの障害を持つ人の人口比率も増加させる。日本を訪問する、あるいは長期にわたり滞在する外国人の数も増える一方である。

高齢者、障害者、外国人などの多様性を受容する社会の実現が求められており、それは、ODRの設計においても同様である。

ODRは、公正で利便性が高く、迅速かつ低コストで、実効的な紛争解決手段として期待されている。しかし、高齢者・障害者・外国人等を排除するように設計されていれば、これらの人々はODRの利便を享受できない。

残念ながら、障害を理由に賃貸住宅への入居が断られる場合もあるのが現状である。そのような際に、障害を持つ入居希望者がODRを利用できないとなれば、入居とODR利用の両方について二重の拒否を受けたことに相当し、当該入居希望者への心理的・経済的打撃は大きいものになる。

ODRは情報アクセシビリティを確保した、オンラインを利用した司法アクセス手段として実現されるべきである。具体的には、ODRは、JIS X8341シリーズをはじめ、みんなの公共サイト運用ガイドラインなど、情報アクセシビリティとユーザビリティの諸規定に準拠して設計されるべきである。また、ODRを具体的に設計する際には高齢者・障害者・外国人など情報アクセシビリティの不備で影響を受ける人たちに参画を求めるべきである。

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山田 肇
ICPF理事長、東洋大学名誉教授

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