マニュアルだけでは「生涯活躍のまち」は生まれない

2020年01月31日 06:00

シェア金沢を見学した。シェア金沢は、政府が推進する「生涯活躍のまち」でも成功事例として取り上げられている。

シェア金沢のロゴ

学童保育、学生寮、障害者の就労継続支援事業所、サービス付き高齢者向け住宅などが併設され、その真ん中に、皆が集う温泉がある。学童保育や温泉など多くは地域住民も利用できるので、地域にとっても集いの場になっている。

シェア金沢を経営しているのは佛子園という社会福祉法人である。佛子園には、ほかにも、小松市にある西圓寺など多数の施設がある。西圓寺が地域住民を結びつけているのに魅力を感じて、周辺に住居を構える世帯が増加しているという。

それでは、「生涯活躍のまち」という施策は成功しているだろうか。

地域再生法第十七条の24は「認定市町村は、協議会における協議を経て、認定地域再生計画に記載されている生涯活躍のまち形成事業の実施に関する計画(以下「生涯活躍のまち形成事業計画」という。)を作成することができる。」と定めている。

この条文は義務事項ではないから、計画を定めるかは市町村の意思に任される。そのこともあり、2019年7月9日時点での認定計画数は25に留まり、普及しているという状況にはない。

なぜ低調なのだろうか。生涯活躍のまち推進協議会は、「次なるステージへ」と題する連載を1月になって掲載している。記事は採算性や人材の循環・移動が重要であると指摘しているが、なかでも人材の循環・移動はポイントである。

Share金沢公式サイトより

多様な人々が集まる地域の中心施設として機能させるために、シェア金沢の運営者はたくさんの工夫をしている。施設内に居住する人たちと地域住民は必ずしも意思が揃っているわけではない。それを上手に、しかも目立たぬように調整する努力には頭が下がる。

政府や協議会も人材の循環・移動のためにマニュアル整備などを進めているが、それだけでは不十分。各地の運営者、あるいは運営を試みようとする人々に成功ノウハウを伝えていくには、シェア金沢のような施設で、有料で、長期研修を受けるといった仕組みも必要だ。

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山田 肇
ICPF理事長、東洋大学名誉教授

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