生活習慣病予備軍へのオンライン保健指導を診療報酬の対象に

2020年02月01日 06:00

金沢大学医学部の米田隆教授を訪問した。米田教授は、生活習慣病予備軍にオンラインで保健指導すると、どのように行動変容が起きるか研究している。

特定健康診査で高血圧や糖尿病の予備軍と判定された人が、ネットに接続された体重計と血圧計で、毎日、体重と血圧を測定する。どんな食事を摂ったか、運動をしたかなども記録し送信する。それらに基づいて、栄養士や保健師から指導を受ける。これがオンライン保健指導である。指導を受けた人には、徐々に生活の仕方が変わっていく行動変容が起きる。

オンライン保健指導の仕組み(金沢大学サイトより)

研究の結果、オンライン保健指導が予備軍からの脱出に役立つことを示す、統計的に有意な結果がでたそうだ。予備軍は糖尿病などと診断されることなく、健康を取り戻したのである。

これは国民医療費の節減にも役立つし、それにも増して、予備軍と見なされた人々の生活の質改善に役立つ。

すでに生活習慣病と診断された患者の生体情報をオンラインでモニタリングして、それに基づいてオンラインで指導すると、緊急搬送回数や往診回数などを減らす効果が出るとの調査結果がカナダから公表されている。オンラインシステムを構築する費用と、医療費の節減額を比較して、費用対効果が確認されたというのがレポートの核心である。これについて、僕は日本規格協会が発行する「標準化と品質管理」で少し説明した。

写真AC

カナダの場合には、オンライン指導は治療の一環であり、わが国で同じことをしたら診療報酬が出る。一方、予備軍は病人ではないので、オンライン保健指導に診療報酬は出ない。健康保険組合が自主事業として取り組むか、予備軍が自ら自分の金で指導を受けるしかない。

カナダの研究と米田教授の研究は極めて類似しているが、診療報酬が出る・出ないという大きな差がある。しかし、米田教授が進めるようなオンライン保健指導が将来の医療費削減に結びつくことは間違いない。

予備軍に対するこのような保健指導も診療報酬の対象とするように制度改革するのが適切と考えさせられる、訪問であった。

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山田 肇
ICPF理事長、東洋大学名誉教授

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