「財務省幹部向けトップセミナー」でメルカリ取締役会長の小泉が講演

2020年02月01日 06:00

昨年10月、 メルカリ取締役会長の小泉が「メルカリのこれまでの成長の軌跡と今後の戦略」と題して、「財務省幹部向けトップセミナー」で講演を行いました。

会場となった財務省会議室には、財務省幹部約70名が一堂に会し、創業期からのメルカリの歩みや、当時から今後に向けての戦略の話に、強い関心を持ってもらったほか、質疑応答も活発にされました。


当日の資料は以下になります。

講演資料(財務総合政策研究所HP)

以下、小泉の講演概要からいくつかご紹介です。

創業当初のメルカリの戦略と、勝者総取りモデルのマーケットプレイス

メルカリのようなマーケットプレイスのビジネスは、勝者が総取りする(Winner-take-all)モデルです。ソーシャルメディアもそうですし、eコマースもそうですけれども、人やモノ、情報が集まるところにさらに価値が生まれていく、いわゆるネットワーク外部性が働いて、そのマーケットプレイスなりサービスが圧倒的な1位になるというモデルです。私たちは後発でしたが、当初からこうした構造であること意識して、良いプロダクトを必死に磨いた上で、タイミングをみて大規模なプロモーションを仕掛け、Winner-take-allのWinnerになるという戦略をとりました。

創業から最初の1年のうち、半年間はサービスを作ることに集中しました。中途半端なサービスを出してしまうと、その後のスケールに耐えられないと考えたからです。その上で、2013年7月、サービスのローンチと3億円程度の資金調達を実施し、同時に、最初の1年間はオンラインのマーケティングも行い、”PDSA”(plan-do-study-act)を回していきました。2013年12月には、アプリのダウンロードが100万程になりましたが、このタイミングでは社員数はまだ10名ぐらいでした。

また、当時はまだ商品の売買時に販売手数料を取っていなかったため、売上はまだゼロでしたが、100万ダウンロードを契機に、3か月奔走して、2014年3月に15億円を調達、すぐに2つのアクションを起こしました。

1つ目はテレビCMです。このタイミングはまさにマーケティングの勝負時だと信じて、5億円規模のCMとオンラインマーケティングの発注をしました。

2つ目は、仙台にカスタマーサポートの拠点を設けました。CMのヒットを見越して80名規模のカスタマーサポートの拠点を借りました。

2014年5月の連休明けにテレビCMを開始したところ、同月中に100万ダウンロード積み上がり、200万から300万へと伸びました。このタイミングで一気にマーケットの中では「フリマアプリと言えばメルカリだよね」という評判になりました。2014年5月から6月ぐらいでトップの会社を抜き去り、8月にかけて差が開いていきました。このタイミングではかなりの手応えを感じました。

その後メルカリは米国に進出していきます。スマートフォンのアプリは、いやでもグローバルで戦わないと生き残ることができません。そうであれば、早い段階で勝負しようということで、2014年9月には米国でのサービスを開始しました。

米国で成功するためには資金が必要になると考え、2014年10月、日本事業で初めて10%の販売手数料をいただくようになりました。同じタイミングで23億円の資金調達を行い、手数料有料化による顧客離れを抑制するために5億円のテレビCMとオンラインマーケティングを新たに投入しました。日本を盤石にしてグローバルで戦う上での資金を稼いでいくため、この10月に一気に仕掛けていきました。

日本での事業は、手数料有料化後も順調に伸びていきました。ユーザーは、手数料有料化以上に、一番売れるタイミングで売りたいという思いがあったのではないでしょうか。この後、2015年2月にはアプリのダウンロードが1,000万を突破し、1年間で10倍伸びました。

メルカリの成長と「検索」から「探索」へ、個人がエンパワーメントされる社会へ

メルカリのMAU(Monthly Active User:月間アクティブユーザー数)は1,350万人、GMV(Gross Merchant Volume:流通高)も5,000億円強となり、日本ではAmazonや楽天が年間約2兆円、ヤフーが約1兆数千億円であり、4番目ぐらいに位置しています。(※データは講演当時のもの)

なぜメルカリが成長できたのか、ということについてお話しします。

1点目に「所有から利用へ」という流れがあるのではないかと思っています。かつて、大量生産・大量消費で効率的に皆が豊かになった時代においては「所有」に価値がありました。しかし、この2、3年のデータを見ると、中古品を購入する機会が多くなったという人が増加していることが分かります。つまり、今では社会全体が「何でも新品を買う時代」から「循環型」にマインドが変わってきているのではないかと思います。

また、フリマアプリを利用している人にアンケートを実施すると、半分以上の人が「売ることを前提に」新品を買っています。若い人たちは新品を買う前にメルカリの画面を閲覧して、この商品がいくらで売れるかを事前に確認した上で買うのです。そのため、今では、二次流通を意識した上での、モノの売り方、作り方をしなければいけないと思っています。

Amazonや楽天のようなeコマースは、サイトに入る時には何を買うか決めていることが多いので、安さとか機能で選んでいるので、月間利用時間は1時間ぐらいになります。一方で、メルカリはソーシャルメディアと変わらない5時間にもなっており、この理由を「コマースとメディアの中間」だからだと言っています。

メルカリには、新品だけでなく、5年前、10年前の商品も売っています。いつの時代の商品にもアクセスでき、しかも、買う際には1点ものなので、常にアクセスしないと、商品があるかないかも分かりません。さらに商品は二次流通品なので価格も一般的には安くなります。

こうした状況は、何かお得なものがあるのではないか、というモチベーションで店内に入り、一周して帰ってくる時には何かを購入しているという形に似ています。

私はよく「検索」から「探索」という言い方をするのですが、購買体験を楽しみ商品を探していくという必ずしも効率性を求めない消費者が増えてきているのではないかと思っています。

日本において、いわゆる不用品と呼ばれているモノの推定価値は年間7.6兆円あります。私たちの売上は、まだ年間4,000億円や5,000億円程度ですので、まだまだ捨てられているモノがあるのが現実です。そして40歳代、50歳代の方々には、まだメルカリを利用していないポテンシャルユーザーも多くいます。

色々とアンケートを実施してみると、今よりも3倍程度の3,600万人まで顧客を増やすことができると考えています。そのためには、次のような取組みを行いたいと考えています。

最後に、「今後、どういう社会になるのか?」と、よく聞かれます。これに対し、私は「テクノロジーで個人がエンパワーメントされる社会になる」と説明しています。今までの資本主義社会では、個人が社会に合わせていた方が、効率的に皆が豊かになれました。しかし、今後は、テクノロジーの発展により、例えば、SNSでの情報発信など、どんどん個人がエンパワーメントされてイニシアティブを持つようになります。そして、その人がその人らしく、人生を送ることができる社会になっていくと思うのです。

おそらく、これからの社会というのは、この切り口で多くの課題が解決できるような形に変わっていくのではないかと思っています。また、そういう社会になっていってほしいほしいなと思っています。

(記事:高橋 亮平)


小泉 文明(こいずみ ふみあき)
株式会社メルカリ取締役会長

早稲田大学商学部卒業後、2003年大和証券SMBC(現・大和証券)入社。投資銀行本部にてインターネット企業の株式上場を担当した後、2007年ミクシィ入社。取締役執行役員CFOに就任しコーポレート全体を統括。ミクシィ退任後、ベンチャー企業を数社支援し、2013年12月メルカリ入社。2014年同社取締役、2017年取締役社長兼COOを経て、2019年9月、取締役President(会長)に就任。このほか、2019年8月、J1プロサッカーチームの鹿島アントラーズを運営する株式会社鹿島アントラーズFC代表取締役社長に就任し、様々な改革を実践中。

merpoli公式SNS:ツイッター「@merpoli_jp」Facebookページ


編集部より:このエントリーは、メルカリの政策企画ブログ「merpoli(メルポリ)」の2020年1月31日の記事より転載させていただきました。掲載を快諾いただいたメルカリグループに感謝いたします。オリジナル記事をご覧になりたい方は「merpoli」をご覧ください。

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