コロナウイルスとクルーズ船の不思議

2020年02月07日 06:01

香港で下船した客が新型コロナウイルス陽性であった件で、対応がドタバタしている。報道を見ていても、どうもよくわからない部分がある。3700人の乗客・乗員を船上で隔離状態にした。これはいいとして、「発熱やせきなどの症状があった」120人と、これらの人と濃厚接触した可能性のある153人の合計273人から検体を採取して、ウイルス検査を実施した。これも納得できる。

NHKニュースより

最初に検査が終わった31名中10名で陽性となった時点で、乗客・乗員を14日間の隔離をすることを決定した。そして、昨日も71人中10名が新型コロナウイルス陽性となった。結果の出た102名中20名が陽性という結果である。

ここで疑問なのが、検査の結果が出るまでの間、船から降ろさなかった一方で、当初は船内ではビュフェなどで食事をとるなど結構自由にしていたことだ。273名の検査対象者の中に陽性者がいるかもしれないと考えていたならば、船内での自由な動きはありえないと思うのだ。20名の陽性者と濃厚接触をした人たちにはある程度の割合で感染を起こしていた人がいると想定される。

その場合、船内での自由な活動によって、3次感染か4次感染かわからないが、さらに感染が広がっているリスクがある。厚生労働省職員が、これ以上検査対象は広げないと言っていたが、正直、これはありえないと思った。検査結果が出るまでの期間に感染が広がっていることを想定した対策が必要ではないのかと思うのは素人的なのであろうか?感染対策でどの程度専門家の意見が反映されているのか疑問だ。

検査が終わっていない約170名の方の中に、どの程度の感染者がいるのかが鍵になるが、現在言われている感染率の高さを当てはめると陽性者がゼロというのは考えにくい。また、すでに20名の陽性例がでていることを考えると、船内の検査対象でなかった約3400名強の中から感染者が出てくる可能性が高いのではないだろうか?

これこそ文字通りの水際作戦だが、水が漏れているような気がしてならない。HIV治療薬が、新型肺炎に効果があるとの報告もあるが、治療法があるかどうかで、今後の対策は大きく異なる。早急の検証が必要だ。


編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2020年2月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

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中村 祐輔
医学者、内閣府SIPディレクター

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