犯罪事実は到底成立しない「桜を見る会」騒動

2020年02月09日 06:00

「桜を見る会」騒動に発展

昨年11月8日の参議院予算委員会で共産党田村智子議員は安倍首相に対して、首相主催「桜を見る会」の「私物化疑惑」を厳しく追及した。

これを契機として、立憲、国民、共産などの野党側は、早速「総理主催桜を見る会追及本部」を立ち上げ、本年1月以後も追及の手を緩めず、合計32回にも及ぶ内閣府・内閣官房・総務省・法務省・消費者庁等の官僚に対する野党合同ヒアリングを実施した。

その結果、1月20日開会の通常国会衆参予算委員会等でも、野党側は、「桜を見る会」と前日の「夕食会」について、安倍首相の「私物化」(寄付、買収)、「公職選挙法違反」(寄付、買収)、「政治資金規正法違反」(不記載)、果ては「刑法違反」(贈収賄)、「財政法違反」(予算の目的外支出)、等を徹底的に追求した。その間、安倍首相に対し、「反安倍」左翼系市民団体は「買収罪」等で告発し、さらに、「反安倍」左翼系大学教授・弁護士らは「背任罪」で東京地検に告発した。

「桜を見る会」について答弁する安倍首相(衆議院インターネット中継より)

これらの野党及び市民団体等の最大の目的が、いずれも「安倍政治を許さない」をスローガンとする「安倍内閣打倒」一辺倒であることは言うまでもない。その結果、野党側の思惑通り、国政を左右する「桜を見る会」騒動に発展した。立憲、国民、共産などの野党側は「安倍内閣総辞職」を求めている。

1.「桜を見る会」での寄付及び買収は到底成立しない

野党側は、「桜を見る会」における安倍首相による飲食物の提供を伴う後援会関係者らの多数の招待は、公費を使った公的行事の「私物化」であり、公職選挙法199条の2違反の「寄付」、及び同法221条違反の「買収」に該当すると安倍首相を攻撃する。

しかし、特段の功績者・功労者に限らず、芸能人らを含め、地元後援会関係者らの多数招待は安倍首相だけではない。そもそも、民主党政権を含む歴代首相が踏襲してきた長年の慣行・慣例である。したがって、安倍首相のみに限って、公職選挙法違反の寄付や買収の「犯意」(刑法38条)及び刑事法上の「違法性の認識」さらには「可罰的違法性」を法律上到底認めることはできないのであり、これらを認めるに足りる事実も証拠も全く存在しない。

よって、「桜を見る会」については、公職選挙法違反の「寄付」及び「買収」が到底成立しないことは明らかであり、これらの成立を証明するに足りる事実も証拠も全く存在しないのである。

のみならず、法律上、招待者の最終決定権は安倍首相にはなく、内閣府及び内閣官房の権限に属するから、招待者増加の「法的責任」も安倍首相にはない。そのうえ、招待者増加と予算増加は毎年国会の決算で承認されているから、特段の違法性はない。よって、「桜を見る会」については、安倍首相には一切「法的責任」はなく、仮にあるとすれば「道義的責任」に過ぎないのである。

官邸サイトより

2.「夕食会」での寄付及び買収は到底成立しない

野党側は、前日の「夕食会」について、「ホテルニューオータニ5000円」は会費として安すぎることは明らかであり、安倍首相側が不足額を補填したに違いないから、公職選挙法違反の寄付及び買収に該当すると攻撃する。

しかし、会費5000円はあくまでもホテル側の商取引上の価格設定であり、野党など第三者が干渉すべき問題ではないのみならず、「安すぎる」ことを証明するに足りる事実も証拠も全く存在しない。したがって、補填の事実も証拠も全く存在しないから、補填を前提とする公職選挙法違反の「寄付」及び「買収」が到底成立しないことは明らかである。のみならず、ホテル側が「値引き分」を安倍事務所側に「寄付」又は「贈賄」したことを証明するに足りる事実も証拠も全く存在しないのである。

野党側は、会費5000円が「安すぎる」ことを証明するに足りる事実も証拠も存在しないため、安倍首相の「5000円は安倍事務所の信用で安くなった」旨の国会答弁を逆手に取り、安倍事務所の信用で安くなったとすれば、参加者に対し安くなった分の利益供与になり、公職選挙法違反の「寄付」及び「買収」に該当すると攻撃する。

しかし、仮に、商取引上「安倍事務所の信用で安くなった」のが事実であったとしても、価格を設定したのはあくまでもホテル側の主体的な自由裁量に基づくものであり、安倍事務所側には価格設定権はない。

したがって、仮に、参加者が安倍事務所側の信用により安くなった分の利益を受けたとしても、安倍事務所の信用による、結果としての、いわゆる「反射的利益」に過ぎず、敢えて、安倍首相側において、安倍事務所の信用を利用して、ことさら参加者に利益を与えて、公職選挙法違反の寄付及び買収の実行行為を行う「犯意」(刑法38条)を認めることは到底できないのであり、上記「犯意」を証明するに足りる事実も証拠も全く存在しないのである。

のみならず、安倍首相は国会答弁等でしばしば、「価格が安くなったのは、約800人の参加者の大部分が当該ホテルに宿泊していることなどの事情があった」と明確に述べている。したがって、ホテル側の価格設定は、安倍事務所側の信用もさることながら、それよりもむしろ、当該ホテルでの参加者多人数の宿泊の方がホテル経営上はるかに重要であり、多人数の宿泊の事実を全く無視し、「安倍事務所の信用」答弁のみを逆手に取った上記野党側の攻撃は理不尽であり、フェアーではない。

仮に、宿泊費が一人20000円とすれば、800人では1600万円にも上るのであり、それによる本件「夕食会」料金の「団体割引」もホテル経営上、十分にあり得るのである。しかも、当該多人数の「宿泊」や「夕食会」は当該ホテルで、毎年行われてきたのである。

よって、いずれにしても、「夕食会」での公職選挙法違反の「寄付」及び「買収」が到底成立しないことは明らかであり、これらを証明するに足りる事実も証拠も全く存在しないのである。

3.「夕食会」での政治資金規正法違反(不記載)は到底成立しない

以上に述べた通り、野党側は、「桜を見る会」及び「夕食会」での公職選挙法違反の「寄付」及び「買収」が法的に到底成立せず、これを証明するに足りる事実も証拠も全く存在しないため、せめて「政治資金規正法違反」(収支報告書不記載)で安倍首相を辞任に追い込もうと躍起になっている。

そのため、野党側は、安倍後援会主催の「夕食会」は、当該ホテル側と安倍事務所側との契約であり、参加者個人は契約の主体ではない。そのうえ、当日、当該ホテルで安倍事務所の職員が参加者から会費を徴収しており、安倍事務所側に収入・支出が発生しているから、政治資金規正法12条に基づき記載義務がある。よって、安倍首相側には政治資金規正法違反の「不記載」がある、と攻撃する。

しかし、政治資金規正法12条では、政治資金収支報告書への記載義務の有無は、何よりも「当該政治団体に収入と支出が発生したかどうか」によるのであり、これは政治資金等の監督官庁である総務省の公式見解でもある(2月6日32回野党合同ヒアリング総務省担当官回答)。2月3日衆議院予算委員会で高市早苗総務大臣も「政治団体の収入・支出でない場合は記載の義務はない」と明確に述べている。契約の主体かどうかは重要ではないのである。

そうすると、(1)当該ホテルが会費5000円の領収書を参加者個人宛てに発行し、安倍事務所職員を介して参加者個人に交付していること、(2)安倍事務所は、一切参加者個人宛てに会費5000円の領収書を発行していないこと、(3)安倍事務所の職員が当該ホテルを代理して、会費を当該ホテルの夕食会会場入り口で参加者から集金し、その場で集金した現金をそのまま当該ホテル側に渡していること、(4)したがって、安倍事務所側の収入はゼロであり、支出もゼロであること、(5)このような形態で毎年当該ホテルで「夕食会」が行われており、収入と支出が発生していない以上は、政治資金収支報告書への記載義務は存在しないこと、(6)上記(1)~(4)によれば、安倍事務所側は「仲介」に過ぎず、当該ホテル側と参加者個人との契約を推認させる事実であると言える。

以上の事実関係によれば、そもそも安倍事務所側には政治資金収支報告書に記載すべき収入・支出自体が発生していないから、安倍首相側に政治資金規正法違反の「不記載」が到底成立しないことは明らかである。

結論:犯罪事実は到底成立しない「桜を見る会」騒動

よって、本件「桜を見る会」及び「夕食会」については、公職選挙法違反、政治資金規正法違反の「寄付」、「買収」、「不記載」等の犯罪事実が到底成立しないことは明らかであり、これらの犯罪事実の成立を証明するに足りる事実も証拠も全く存在しないのである。

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加藤 成一
元弁護士(弁護士資格保有者)

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