バロンズ:根拠なき熱狂の芽吹き、ジャンク債に出現

2020年02月10日 06:00

バロンズ誌、今週のカバーは同誌が選ぶ「第3回持続的な米国企業100社」を紹介する。環境、法令順守などの観点から持続性を誇る企業は、パフォーマンスも良好だ。持続的な米国企業100社のリターンは2019年に34.3%とS&P500種株価指数の31.5%を上回り、100社のうち55社が指数を超えた。

米主要企業経営者団体ビジネスラウンドテーブルは2019年、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が会長だった当時、顧客、従業員、取引先、地域社会を含めすべての利害関係に配慮し、長期的な企業価値の創造に取り組む方針を表明。株主中心主義からの転換を宣言したが、経営戦略は株主にも恩恵を与えている。気になる100社のリストは、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週は米株バブルの兆候を取り上げる。抄訳は、以下の通り。

(カバー写真:Mark Warner/Flickr)

テスラの狂気じみた株高以外にもバブルの兆候あり、投資家が知るべきこととは-Tesla’s Manic Rally Isn’t the Only Sign of a Market Bubble. What You Need to Know.

市場の言い伝えとして、金融市場が普段関心のない者の注目を集める時こそ専門家は注意すべきというものがある。実業家でジョン・F・ケネディ大統領の父親であるジョセフ・ケネディ氏が1929年に靴磨きの青年から株式投資の知恵を教わった時、市場の終わりを悟ったという話が、その例に該当するだろう。最近では、歌姫バーバラ・ストライザンドなど有名人がITバブルのピーク時に、躍起になって新規株式公開(IPO)銘柄をポートフォリオに組み込んだことが思い出される。

だからこそ今、ジェネレーションZ世代の子供から、インスタグラムの画像を通じテスラのチャートが送られたなら、警戒を持って受け止めるべきだ。テスラの変動は、ビットコインや1980年の銀相場を彷彿とさせる。

テスラ以外にも、奇想天外な出来事がアプリやケーブルニュースの外で発生中だ。金融危機以降、途絶えていたリスク選好の動きがジャンク債市場で再開している。例えば、ペイ・イン・カインド(PIK)債の復活が挙げられる。PIK債とは、利払いを現金で行なうのではなく、借り手が債券を発行して「現物支給」し、繰り延べとなった金利を償還時に支払う債券を指す。

つまり、発行する企業は償還まで金利を支払う必要に迫られないものの、債務拡大に直面することになる。住宅バブル発生時は、住宅の買い手が身の丈に合わない住宅を購入しながら金利の支払いしか進めず、これが金融危機の震源となった。

プライベート・エクイティ(PE)から支援を受ける機器サプライヤーのハスキー・インジェクション・モールディング・システムズの親会社、ハスキーIIIは、5年物のPIK債を4.5億ドル発行する計画だ。S&Pが「CCC」、ムーディーズが「Caa2」に格付けする同債券が注目されている理由は、12%の利回りだ。 iShares iBoxx $ High Yield Corporate Bond (HYG) や SPDR Bloomberg Barclays High Yield (JNK)の利回り2倍以上に相当する。債券発行で得た資金の一部は、PEへの配当に割り当てられる見通しだ。

このようなPIK債の発行は、金融危機前の2005~07年において珍しくはなかった。PIK債の復活は、マイナス金利を含む低金利環境での投資家の利回り追求の現れだろう。

米国の債券発行高、高利回り債が拡大の兆し。

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(作成:My Big Apple NY)

リスク選好の高まりなどは、新型コロナウイルスの感染拡大や世界経済の影響を無視した動きと言えよう。新型肺炎が日々ニュースのヘッドラインを賑わせるにも関わらずダウとS&P500は2月3日週に約3%上昇し、2019年6月3日週以来の高リターンを遂げた。ナスダックに至っては4%超も上昇し、2018年11月26日週以来の好成績に。米1月雇用統計を受け、週末に上げ幅を削ったというのにいずれも目覚ましい上昇を達成した。

市場は新型コロナウイルスや11日予定のニューハンプシャー州の民主党予備選に関するニュースで、右往左往するのだろう。その陰で、市場関係者のリスク選好度が高まり、高値銘柄や投機的な債券に資金が流入している点に留意すべきだ。


リスク選好度の高まりは、米1月雇用統計後の米株安にも表れています。失業率が上昇したとはいえ、労働参加率が改善し平均時給が3%超えへ戻すなど好結果で、新型コロナウイルスの材料もさることながら、一時は年2回の利下げ観測が強まっていた市場に冷や水を浴びせたのでしょう。

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(作成:My Big Apple NY)

Fedが緩和的な政策を維持する限り、市場はラリーを続ける地合いにあるようです。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年2月9日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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