検事の定年延長が問題なら悪いのは検事総長だ

2020年02月13日 11:30

検察人事のことで騒いでる連中がいるのだが何が問題なのか私はよくわからない。現在の稲田伸夫検事総長は、すでに就任以来、2年ほどたっているので辞めどきである。後任の最有力候補は、ナンバーツーの黒川弘務検事長が順当でその対抗馬が名古屋高検の林真琴検事長だ。

左から黒川弘務検事長、稲田伸夫検事総長、林真琴検事長(検察庁サイトより)

この2人は同い年だが、黒川氏の方が少し早く63歳の誕生日が来る。高検検事長補の定年は63歳で検事総長は65歳なので、黒川氏が就任するためには、誕生日が来る2月までに交代しないといけない。

ところが、稲田検事総長が今年四月に京都で開かれる国連の犯罪防止刑事司法会議を自分の手でと固執し、また、このタイミングで辞めるのはゴーン逃亡事件の責任をとったように見えるので嫌だというので、それならばというので、異例だが公務員一般の定年延長手続きにしたがって黒川氏の定年を延長したと言うだけのことだ。

もし、そのような定年延長が好ましくないというなら、国際会議やゴーン事件のことはあるが稲田検事総長が1月にお辞めになればいいだけのである。誕生日の問題だけで最有力候補が消えてその対抗馬が検事総長になる方がよほどおかしいだろう。

それなら、稲田氏が辞めたくないと言い張ればどうなるかだが、日本中の組織で任期がまだあっても上司の指示とか慣例としての任期とかがゆえに辞めるのが普通というようなことはどこにでもある。

議会の議長でも副知事でも任期は4年だが、議長は1年で交代が慣例だし、副知事は知事が辞めてくれと言えば辞めるものだ。ときには辞表を拒否する人がいるが、そういう場合は血みどろの争いになって、報復を受けたり、従来、既得権益とされていたことが崩れたりする。

今回のケースでいえば、法務大臣が1月に交代してくれといったのにあくまでも検事総長が辞表を出すのを拒んだら、たとえば、その後の人事で大臣の方も慣例を破って好きなようにさせてもらうとか言うことになるのが世間のならいだ。

従来、日本の官僚機構の人事は、その組織のなかの序列と慣習、あるいは辞める人の後任推薦といったもので動いてきた。

しかし、そんなことをしているとマンネリ化するので、最近では政治主導と言うことで政治的な方針が強く反映されるようになっているし、それを推進したのは民主党政権だった。

伊藤忠の会長を註中国大使に任命したのは岡田克也外相だったが、丹羽氏の資質は賛否両論あるにせよ、十分な準備期間もなく赴任して散々なことになってしまった。

あるいは、観光庁長官の任命にあっては前原誠国土交通相がとても評判がよかった前任者を更迭して、他省庁出身で大分でのJリーグの運営をめぐってトラブルがあって浪人していた民間人を任命した。前原氏の地元の人間であり、松井孝治官房副長官の高校の同級生ということで人事の私物化でないかと議論があった。

それに比べていえば、黒川氏の昇格はもっとも順当な人事なのであるから、恣意的なものでも何でもありえない。むしろ、一部、マスコミと良好な関係にある別の人物を押し上げるためにスキャンダルでもない話をスキャンダル化しているだけではないか。

もし、定年延長というのが無理が多いというなら稲田氏がゴーン事件の責任をとったとみられようが、会議を主宰できなくなろうが大臣の求めに応じて慣例通り辞めれば良かっただけだと思う。

具体的な事件捜査をねじ曲げようとしてまったく無原則な検察人事をしている文在寅政権とは根本的に政治介入の度合いが根本的に違うのである。

黒川・林の両氏のうちどっちが適任かは知らないが、企業の社内抗争の片方に味方するために国際的に日本の評価を下げるような無茶苦茶な捜査をする検察の現状は、抜本的な改革を必要としているのであって、本来は、法律を改正してもまったく外部から検事総長を持ってくるべきだと思う。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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