気になる条例案:お天道様が見てるぞ!…..は古い?

最近気になる条例案がいくつかあります。

その一つがまず大阪府で議論されている条例案で、それを報じるメディアの見出しを見てびっくりしました。
その見出しには「18歳未満との交際、「真剣」以外はすべて違反に…」と書いてあった大阪府青少年健全育成条例の改正についてです。

見出しだけを見たら、「真剣な交際ってなんだ?」「どこからどこまでが真剣?」、あるいは「付き合ってから真剣になる交際がダメ?」などと色んな疑問がわいてきます。ただ、この条例改正議論の中身をよく読んでみると、全国どの都道府県にもある青少年保護育成条例(淫行条例)の改正で、大阪府はその実効性を高めるようとしています。

大阪府の青少年健全育成条例では、いわゆるお金を背景にした援助交際はもちろん駄目ですが、それ以外については「威迫し、欺き、又は困惑させて」といったことなどが条件になっています。これ、裏を返せば嘘をついて騙したり、脅したりという事実がないと処罰できず。他県に比べて非常に適用が難しい条例になっていました。その結果、他県に比べて検挙件数が少なく処罰件数がほとんどない状態だったようです。

法律や条例の一字一句は本当に大事なわけですね。ですから、今回、大阪府は「真剣な交際」という文言を入れる事で、法解釈的には他県とほぼ同等になるそうです。

さて、もう一つの条例は、香川県で議論が進んでいる18歳未満の子供たちを守るためのゲーム規制、「ネット・ゲーム依存症対策条例」(仮称)です。

県や市町村、学校、事業者、保護者に努力や協力を求める趣旨の条例です。中学生以下は午後9時、それ以外は午後10時までにゲームなどの利用をやめようという内容です。

主にスマホで行うオンラインゲームが想定されているようですが、条例は何のために作るのかと言えば、学力低下、引きこもり、睡眠障害などの生活習慣の乱れ、ゲーム依存症などが社会問題になっているからです。先ごろ、WHO(世界保健機関)もゲームで日常生活が送れなくなるゲーム障害を依存症の一つとして、WHOが定める国際疾病分類の1つに「ゲーム障害(Gaming disorder)」を認定しました。

香川県の条例案では1日60分とゲームの利用時間の上限も検討されているようですけれども、罰則はありません。

皆さんの私生活にも入り込むこういった法律や条例についてはどういうふうに考えますか。
私はですね、罰則がなくても基準(ルール)となるような条例があってもいいのではないかと思います。

中国のように、列にちゃんと並ぶかどうかをカメラでチェックして、個人を特定し、そして日常生活が不便になるようなペナルティーをかけるのは、私は無しだと思いますよ。ただ、緩くてもいいから一定の基準を設けて人々の判断材料にする、規範条例はあってもいいと私は思います。

いと昔前は「お天道様が見てるから…」みたいな事を言っていましたが、最近ではそんな価値観は通用しませんからね。「俺の勝手だろ」「自由だろう」って感じでみんなバラバラになっちゃってる現代社会では、「県の条例で一応決まっているから、そろそろ遅いし、やめにしようか」と言えるになると良いと思うんですよね。

ひとたび、社会問題になってしまえば、結局は医療や福祉として税金で面倒を見なければいけなくなりますよね。でも、ここら辺は個人の意見はそれぞれだと思いますが、皆さんはどう思いますか。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年2月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。