バロンズ:インカムゲインを追求するなら、この銘柄に注目

2020年02月17日 06:00

バロンズ誌、今週のカバーはバークシャー・ハサウェイを取り上げる。オマハの賢人、ウォーレン・バフェット氏は同社の会長、最高経営責任者(CEO)、投資責任者であり続けて55年、2020年の節目に90歳の誕生日を迎える。経営難に陥っていた繊維メーカーを自身の投資スキルで5,550億ドルの複合企業へ成長させ、米国企業の羨望の的ととなった。仮に1965年にバークシャー・ハサウェイに1,000ドル投資していれば今ごろ2,000万ドルと、S&P500種株価指数の17.5万ドルを大きく上回るリターンをもたらしていたのだから。

しかし投資家は、バフェット氏のいないバークシャー・ハサウェイを考える必要がある。バークシャー・ハサウェイの株価は2019年に11%上昇するにとどまり、S&P500の31%高を下回った。バフェット後の同社は、多くの問題に直面しかねない。多くの投資家は、新たな指導者の下でバフェット氏が反対していた戦略を採用する可能性を見込む。1,280億ドルもの現金で講じるであろう同社の戦略に関する考察の詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが注目するアップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週は新型コロナウイルス蔓延でも上昇する債券市場と株式市場を取り上げる。抄訳は、以下の通り。

(カバー写真:Nazir Amin/Flickr)

投資家は債券と株式へ資金流入、”ツイン・バブル”の誕生か―Investors Are Piling Into Stocks and Bonds. A ‘Twin Bubble’ Could Be in the Making.

新型コロナウイルスの大流行を受け医療業界が治療方法を模索するなか、金融市場は唯一、過剰流動性に支えられ好調だ。特に債券ファンドへの資金流入は米10年債利回りが1.60%まで低下してもどこ吹く風で、EPFRの調査によれば前週に236億ドルもの資金流入を確認した。バンク・オブ・アメリカ(BOA)の分析では年間1兆ドルのペースで資金が流入しており、もはやバリュエーションなどお構いなしといった感がある。

とはいえ、株式市場から資金が流出しているかというと逆で、株式ファンドは125億ドルの買い越しを迎えていた。市場では、債券と株式の”ツイン・バブル”が発生し、投資家は投資適格級の債券とテクノロジー関連株に資金を傾けている。また、BOAによれば、投資家は低ボラティリティを駆使し生活必需品や公益など高配当の株式を取得することでテクノロジー関連株保有のリスクを分散する”バーベル戦略”を採用しており、結果的に株価指数を押し上げているという。

ダウは最高値付近をキープして推移。

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(出所:Stockcharts)

一方で、グッゲンハイム・パートナーズのスコット・ミナード最高投資責任者(CIO)は、中国の実質GDP成長率が1~3月期にマイナス6%に落ち込むと予想する。

それでも、市場は新型コロナウイルスや割高感に危機感を抱いていないようだ。投資家は、投資の格言BTFD(Buy On The Dip)を妄信しているかのように、金融当局が流動性を与えるなかで、下落局面を機会と捉えてきた。中国の1~3月期実質国内総生産(GDP)成長率が下振れしても、中国の強気派は割安感を理由に買いと判断するに違いない。向こう10年間はポジティブな判断だが2~3ヵ月先となれば話は別と考えられ、買い急ぐ必要はないだろうが。

米当局が大手IT企業に対する包囲網を狭めつつある一方で、新型コロナウイルスをめぐり最悪の時期は脱したとの思惑が広がっているのも事実だ。原油先物や銅先物など世界経済のバロメーターである相場が、回復の兆しをみせている。過剰流動性が存在する限り、脅威の高まりをよそに投資家は何もしないでいるリスクを取れないかのようだ。

――今回はもう1本、同コラムをご紹介しましょう。

利回りが低下局面でも、インカムゲインを得る方法―You Can Still Generate Income as Yields Crater. This Is How You Do It.

今は、投資に最適であり同時に最悪のタイミングでもある。

インカムゲインを狙った投資が非常に割高な一方で、指数が最高値を更新するなかでも、”根拠なき熱狂”にあった90年代後半ほどバリュエーションが高いわけではない。金利収入を求める投資家にとっては厳しい時を迎え、米30年債利回りはわずか2.061%程度だ。ギリシャ債10年債利回りですら1%を割り込み、2012年の債務危機ピーク時の44%から急低下している。独10年債利回りは0.38%のマイナスを含め世界では13兆ドルの債券がマイナス金利にあり、投資適格級の債券で投資先を見つけるのは困難な状況だ。

利回り低下により、債券投資には巨額な資金が必要となる。UBSによれば、40年前に500万ドルを地方債に投資すれば、年間50万ドルの非課税金利収入が得られた。しかし、足元で同額のリターンを得るには3,000万ドル必要である。

逆に、株式投資は比較的それほど高くつかない。キャピタル・エコノミクスの分析によれば、ダウが3万ドルを突破しても、グリーンスパンFRB議長(当時)が警戒フレーズを放った翌年の1997年より割高ではないという。当時、FRBは半期に一度に米議会に公表するレポートで米10年債利回りとS&P500の将来の株式益利回りを比較したが、S&P500の株式益利回りは米10年債利回りを90bp下回り、1991年以降で最少にとどまっていた。今ではS&P500の株式益利回りは5.4%と、米10年債利回りの1.6%を大きく上回り株式投資への魅力が格段に増す状況だ。

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(作成:My Big Apple NY)

キャピタル・エコノミクスは、株式が割高か否かをめぐり利回りだけでなく均衡点からどれだけ乖離しているかがポイントと指摘する。同社によれば、FF金利誘導目標の均衡点と投資家が求める株式投資のリターンが共に1997年以降低下し、S&P500の株式益利回りの均衡点は4%で、足元の5.4%以下だという。前回のリセッション以降、例外的に緩和寄りな金融政策を反映したものだ。

一方で、高配当を求める投資家はエネルギー関連株に注目するに違いない。バロンズ誌の別の記事で前週指摘したようにに及ぶ。また、JPモルガンのテクニカル・ストラテジストが分析する通り、出遅れ株であるエネルギー関連に底打ちのサインが現れた。2008年から2020年の間、エネルギー関連は1998年から2008年のアウトパフォーマンスを打ち消したものだ。これは、バリュー株の台頭とイールドカーブのフラットニングといった長期的な動きと同時進行で起こっていた。つまり、緩和的な金融政策の後退と同時に発生したことになる。

また、ファンダメンタルズの観点から言えば、エネルギー関連のパフォーマンスは中国の工業生産とも相関性が高い。新型コロナウイルスの影響で、エネルギー関連株は再び下振れし直近の最安値を更新中だ。しかし、新型コロナウイルスのニュースが毎日ヘッドラインを飾る一方で下げ幅は縮小し、テクニカル的にはモメンタムの変化が現れつつある。

その他、債券利回りを求める投資家が注目すべきは地方債だ。例えば、 上場投資信託(ETF)のInvesco Taxable Municipal Bond ETF (BAB))の利回りは2.7%で年限は9.6年と、高利回り債のETFである iShares iBoxx $ Investment Grade Corporate Bond ETF(LQD)に相当する。課税対象の地方債ETFの場合、格付け信用格付けの平均はAAで、投機的格級のBBBはわずか6%ンに過ぎない。逆に高利回り債ETFの場合は、信用格付けの平均はAで、49%がBBB格となる。その他、クローズ型投資信託などが挙げられよう。インカムゲインを得ることは、大変な仕事だが不可能ではない。


新型コロナウイルスに関して、比較的楽観的なトーンが優勢なバロンズ誌ですが、今週は別記事でこんな話を取り上げています。同記事では、世界の成長率が今年0.2%ポイント下押しし2021年に回復するとのドイツ銀行の見通しのほか、中国経済が2008年以降で最も大きな打撃を受けるといった香港の調査会社ガベカル・リサーチの分析を紹介していました。また、中国に依存するセクターとして消費財や資本財、テクノロジー関連を挙げます。その割に米株市場は堅調ですが、新型コロナウイルス大流行後の中国経済指標発表につれ下振れが確認されれば、中国売上比率の高いセクターを中心に反応が現れてもおかしくありません。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年2月16日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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