米国とより中国との往来が止まる方が日本は困る

2020年02月25日 11:30

アメリカなどが日本からの入国を制限したらどうしようかといって危機を煽っている人がいるが、日本が出入国を制限した場合に1番影響が大きい相手国はいまやアメリカでなく中国だということを忘れているのではないか。だからあえて、米国との行き来が止まるリスクがあっても中国との往来中止ほどの困ったことではないといっておく。

もちろん、中国との出入国を制限するなというわけではまったくないことは念を押しておくが、前提となる現状認識が現実離れしているとまともな議論はできないと思う。

Mitha Putri/flickr

アメリカ人の観光客が来なくなるより中国人が来なくなる方が大変だ。貿易も中国との方が大きい。日本と中国はサプライチェーンが複雑にからみあって日本の産業の多くが中国なしで動かない(逆もしかりだが)。

それに、中国は近いから出張やネットでの連絡でなく頻繁な行き来ができることを前提にビジネスを組み立てている人や企業が多いと思う。アメリカなら現地法人にまかしていても中国は本社からの頻繁な出張で済ませることも多い。

そういう意味ではアメリカと出入国が少なくなったとしても中国とできなくなっているほどの影響は無いはずだ。

単身赴任などで日本と中国で家族が別れて住んでいることも多い。新学期に中国からの学生が来なければ、日本の私立大学は経営危機になりかねない。

また中国からの輸入が減ったら、百円ショップやコンビニの棚はガラガラになり、コンビニの店員はいなくなり、さまざまな食料が不足し、価格は暴騰し、人手不足は狂乱状態となり、あちこちでパニックが起る。中小企業の倒産は記録的なものになるだろう。

京都で中国人観光客がいなくなっていいとかいっているのは、財産収入で暮らしている有閑階級、年金生活者、公務員などだが、彼らとて、不動産市場、株式市場の暴落で呑気なことは言っておられなくなるに決まっている。

もちろん、今回の教訓として、さまざまな意味で中国に限らず、一本足打法は危険だということは分かっただろうし、リスクヘッジは大事だ。大学でも中国人留学生の割合が極端でないように工夫していたのである。

しかし、中国市場が今後とも最大の有望市場である現実は変わるはずがない。というより、中国はこれを契機により強い国になるだろう。私が「新型肺炎は千載一遇のチャンス:勝者となる条件」と書いたら、不謹慎だとか、いまいうべきでないとか誹謗した輩がいたが、そんな呑気なこと言っている国に天は鉄槌を下すだろう。

不運のなかにあって幸運を見出す、天は転んでもただでは起きない人や国民の味方だ。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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