東京経営者協会で小泉会長が「メルカリが創造する未来」講演

2020年02月27日 06:00

2月17日(月)、経団連会館で東京経営者協会の主催による第21回経営革新セミナーが開催され、講師としてメルカリ取締役会長の小泉文明(以下、小泉)が登壇、「メルカリが創造する未来」と題して話をしました。

小泉が会場でお話した内容を紹介します。

以下、小泉講演の概要


メルカリは、コーポレートミッションを「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」としています。

「価値」というのは、自分にとっての「価値」と、受け取る方が感じる「価値」とでは、感じ方が違ったりします。こうした「価値」がつながって行く社会を、世界レベルで創っていきたいという思いがあります。

先進国はこんなにものを捨てている一方で、発展途上国ではものが不足しているという状況があります。こうした社会の中で、「捨てる」をなくす、価値が循環する社会の実現をめざしています。

メルカリには現在40ヵ国以上の国出身の社員がおり、エンジニアにおいては約3割が外国籍ですが、彼らこそ、こういう部分に共感してくれていたりします。

メルカリは 、今月7周年を迎えます。

まずは、創業期からのメルカリの軌跡を紹介します。

会社設立は2013年2月でした。

まずはダウンロードを獲得することを目標とし、そのためにひとまずいいプロダクト(アプリ)をつくることに集中しました。

フリマアプリなどは「Winner-take-all」と言われる一位が総取りするサービスだと考えていたからです。

100万ダウンロード時点でも、フリマアプリはまだ当時10社程あり、ほぼ全てのインターネット企業が参入した群雄割拠の状況でした。

mixiの経営をしていた時に大手企業との競争も経験していたので、大手の上場企業は、業績開示をしているので新規事業に大きな投資はできないこと、戦略はオープンにしなければならないことといった仕組みを知っていたので、大手企業に対抗するための戦略を考えました。

情報はすべて出さない、必要な部分に集中的に予算も人材も労力も投下、優秀な社員を1本釣りといった形です。

ユーザーに届けないとはじまらないので、「メルカリ」のサービスにどんどんお客さんが積み上がって来ているというデータをもとに、一気にテレビCMを打つ計画を立てました。

当時を振り返ると、博打に近かったと思います。

TVCMをフックにして一気に勝ちきろうと考えました。

広告代理店の試算で、1ヶ月でサービスを日本全体に知らしめるためには3〜5億円が必要とのことだったので、ファイナンスで14.5億円の資金調達を行いました。

当時メルカリは手数料を取っていなかったので、売上は0円、メルカリ上での月間売買も3億円程度、社員も15人ぐらいの段階でした。

にも関わらず、成功したらこれぐらいのマーケットになるだろうとデータに基づいて説明し、何とか資金調達を行いました。投資いだだいたお金を持ってカスタマーサポート拠点を仙台に作り、TVCMを打ちました。

この後1ヶ月で200万DLが300万DLへと1.5倍になり、この6,7月で一気に業界のトップになりました。

2位以下は、10位も100位も同じ「Winner-take-all」の構造であることから、ある意味では博打に勝った形になりました。

秋にもう一つの山であるアメリカのサービスを始めました。

創業以来、アメリカに出ていかなければならないとの想いは強く持っており、言語と決済を変えてアメリカのサービスを開始しました。

そのために23億円を資金調達し、0%だった手数料を10%にし、日本でもさらに成功していくためにTVCMを行うなど、大きな資金調達とプロモーションを行いました。

現在では、1ヶ月の流通総額が500億円を超え、国内では、アマゾン、楽天、ヤフーに次ぐ4番目となりました。

ユーザーの皆さんにより使ってもらえるようにするためにと、コンビニ全てで発送できるようにしたほか、買い手も売り手もそれぞれの住所を知らないでも配送できる匿名配送、全国どこでも一律料金などの仕組みを作りました。

インターネット企業ではありますが、背景にはこうしたリアルなところでもサービス改善を行ってきたことがあります。

また、メルカリが成長した背景にはいくつかの要素があると思っています。

1つ目が、「所有から利用へ」の流れです。

新品を買う時に、売ることを前提にしてものを買っているというお客様が増えており、ハイブランドが結構売れていたりします。例えば、ハイブランドの10万円の商品も、二次流通で6,7万円で下取りされることが分かると、購入する人が出てきます。

これは、下取り価格が高いので安心して少し高い車が買えるというのと同じです。

最近の若い人たちは、所有することより、利用することに意味を感じています。

ある意味でメルカリをクローゼットのように活用して売ったり買ったりしている人たちも出てきています。

2つ目が、「承認欲求」を満たす要素です。

メルカリ利用者の中には、お金を稼ぎたいということよりも「もったいない」ということで利用している人も多くいます。

いくらで売れたということよりも、売れた事自体がすごく嬉しいし、自分がお店を持った気分になったり、他人から評価されることや誰かに買われることで承認欲求が満たされるという要素もあると思っています。

3つ目が、「ゲーム要素」があることです。

値引き交渉などにゲーム要素があり、それを楽しんでいる人たちもいます。

その意味でも、単に買うだけというEコマースと異なり、メルカリは、メディアとしてコミュニケーションする要素が強く、コマースとメディアの間のような要素があります。

情報社会と言われる中で、大量の情報から自分にとって価値のある情報を探していく必要があります。

いわゆるEコマースの場合、欲しい物が決まっていて、一番安いものを「検索」して購入するという購入パターンになります。

こういった購入を「指名買い」とも言います。

一方でメルカリのような購入を「探索」と言っています。「探索」というのは、ウィンドウショッピングに近いと思っており、例えば、ドン・キホーテに入れば、何かお得ななものがあるのではないかと思ってお店に入り、店内を回って帰る時には、色々な商品を入れた黄色いビニール袋を持って満足感があったりします。

「メルカリ」の特徴として、5年前10年前の商品も出品されていることがあります。それが1点ものであったり、その場合、早いもの勝ちということにもなります。出品者と購入者が「もう少し他の角度の写真も」や「値引き交渉」などといったコミュニケーションができるのもメルカリならではです。

これまでのインターネットサービスの多くは、効率性を追い求めて伸びてきましたが、人間味があって暖かみがあって、宝探し感があるというのが、メルカリのサービスの特徴でもあります。

ここからは、メルカリを今後どうやって伸ばしていくかについてです。

経産省が推定市場となる不用品になっているものが年間7.6兆円にも昇るとしており、別のデータでは、皆さんのご家庭にあるものの7割ぐらいが使われていないとしているものもあります。

潜在出品顧客は3,600万人と、現在の1350万人の3倍ぐらいのポテンシャルがあると思っています。

そのための1つに、AIのさらなる活用があります。

写真を撮っただけで、ブランドや売れ筋の金額などが分かるようになっており、自動で入力される、さらに写真を撮るだけで出品できるようにしていきたいと思っています。

また、「探索」する楽しさは残しながらも、その人の購入履歴や、商品の閲覧履歴で、パーソナライズ化することで、よりその人にあった「メルカリ」の商品にアクセスしやすいようにするということを行なっていきます。

車の入力も車検証のバーコードでできるようにしたり、一方で個人間売買なので、こうした一部の商材はメルカリ側で保証もしています。

15秒のCMだけでは伝えられないものも多いため、オフラインやリアルの場でも、コインランドリーに出品スペースを作って出品強化を行なっていたり、シニア向けのメルカリ教室をキャリアの方々などと行なっています。郵便局のスペースの一部で梱包発送スペースを作ってもらったりもしています。

経営者が中心となったこの日の講演で小泉は、これまでのメルカリの奇跡とともに、取締役としてそのその時々にどう考えて判断していたのかなどについても紹介しました。

最後に、「テクノロジーで個人がエンパワーされる社会へ」について話し、この日の講演を終えました。

この日の会場には、定員を大幅に超える120名以上の経営者の方々に参加いただき、講演後も熱心な質疑応答が行われました。

今回の小泉の講演に参加いただけなかった皆さんに一部ですが、共有させていただきました。

(高橋 亮平)

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編集部より:このエントリーは、メルカリの政策企画ブログ「merpoli(メルポリ)」の2020年2月26日の記事より転載させていただきました。掲載を快諾いただいたメルカリグループに感謝いたします。オリジナル記事をご覧になりたい方は「merpoli」をご覧ください。

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