今週のつぶやき:楽天の送料無料化問題

この1週間のメディアの内容を見ても新型肺炎以外のニュースを探すのに苦労する、そんな状況でしょうか?週末を迎え、子供たちは想定外の1か月休暇。安倍首相が少人数の会食をしたことすら国会で叩かれるとなれば国民は独房のように誰にも接触しない状態になれというのでしょうか?「終わりなき戦いはない」、こう前向きに捉えて気持ちだけでもしっかり持たないとやりきれないです。

では今週のつぶやきをお届けします。

株式市場の行方

いったいどこまで売られれば気が済むのか、という気がします。いわゆるセリングクライマックスにあることは確かでしょう。リーマンショック時ぐらいのインパクトとなってしまいました。日経平均の終値はボリンジャーバンドで見た場合、起こりえる確率が0.3%しかない-3σの21337円を下回っています。

新型肺炎はずっと続くものではないし、会社の業績は一時的な落ち込みで終わるはずだし、業種により差があるはずなのにどの銘柄も一緒くたになって売られているのもおかしなものです。まずはワクチンなりの開発のニュースに期待し、中国の新規患者数が減っていることにより着目し、中央銀行が対策を打ち出すなどオーバーリアクションを抑え込めば少しは落ち着きを取り戻すとは思います。月曜はリバウンドしてもおかしくないとみています。

ただ、安倍首相の公立小中高校の突然の「休校のお願い」のインパクトは大きかったと思います。日本は忖度するのでこれに倣って3月はほとんど何も起きないことになりそうです。首相の判断が正しかったかどうかは数カ月たたないと結果は出ません。オリンピックの行方を含め国難の最中にあるわけでその判断は時間とともに評価が変わるのが歴史であります。首相は多分、今回の問題で精根尽き、秋に辞める気がしてなりません。

楽天の送料無料化問題

楽天が目指す送料無料化問題は新型肺炎の問題に隠れて話題になりませんが、大バトルとなっています。3980円以上の商品を購入した場合、送料を販売店が負担し、購入者には無料で配送という仕組みを作ろうとしたものの「優越的地位の乱用」の疑いがかかり、公正取引員会が調査に乗り出しました。その後、楽天は「送料無料」から「送料込み」に表示を変えるという方策で3月18日から強行突破するつもりでしたが、公取委が東京地裁に「緊急停止申し立て」を行いました。

ぱくたそ:編集部

個人的な感想を述べさせてもらうと送料無料のメリットは楽天に帰属する利益とみています。ならば、出店業者が楽天に払うしかるべき出店料にその送料は内包されるべきと考えます。つまり、楽天の「優先的地位の乱用」だろうと思います。出店業者が楽天に払う出店料が同業他社に比べ特段安いならともかく、そんなこともないでしょう。

私の事業の一部でカナダのアマゾンに出店して商品を販売しているのですが、彼らのフィーも尋常ではない%で正直、こんなに払っていたら利益は吹っ飛びます。何のためにビジネスをしてるのかと思うことすらあります。日本では業務用でアイリスオーヤマの商品を時々購入するのですが、アマゾンにも同じ商品がアップされているのでいつも両方価格を比べて購入しています。基本はアマゾンの方が安い気がしますが、それはネットワークとマーケティング力が破壊的であるということなのでしょう。でもこれ、何かおかしい気がします。

カナダからの話題、住宅が売れない!

カナダの都市部の不動産価格の上昇は顕著で10数年前からバブルと言われていました。私も当時、日本のある経済専門誌からインタビューを受けた際、記者は私にバブルだと言わせたかったのだろうと思いますが、「そんなことはない」と言ったので記事が大変小さくなってしまった記憶があります。しかし、この数年、カナダ政府、州、市町村がそれぞれ価格抑制策を取ったことと中国からのマネーが止まり、すっかり様相が変わってきています。

Dennis Jarvis/flickr

新築集合住宅の場合、通常図面売りをして6割程度の販売契約が確保できると開発業者は金融機関から工事のローンが組めるのですが、今、その販売数が昨年は一昨年の半分以下に下落、新規の工事ができない状況になっています。これは昨今の状況を見ればやむを得ないことなのですが、移民だけで年間、総人口の1%を呼び込むこの国において新規着工件数が足りなくると数年後に住宅不足が顕著になりそれこそ日本のマスクやトイレットペーパー争奪戦と同じ状況になりかねない危惧が出るのです。

つまり、経済の循環を絵に描いたようなケースで今、下がってもあと4-5年じっと待てば供給が不十分になり、また住宅価格が上がるのは見えているのです。人口増がもたらす経済が過去の学問の原理原則だったとすれば人口が減る東アジアの3か国は未知の世界をさまようということになるのでしょうか?勉強になります。

後記

来週の火曜日、3月3日はアメリカ大統領選のスーパーチューズディ。民主党候補が大バトルする日になります。週半ばには行方が報じられると思います。初参戦のブルームバーグ氏にどのような判断が下るのか、要注目です。個人的には彼が候補になる気がしていますが。

ではよい週末をお迎えください。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年2月29日の記事より転載させていただきました。