速報論評:安倍首相緊急記者会見のポイントとその評価

2020年02月29日 20:00

安倍晋三首相は29日午後6時からの記者会見で、約20分にわたり、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために要請した小中高校などの臨時休校措置などにつき国民への協力を呼びかけた。

要点は次の通りだ。

感染拡大のスピードを抑制し収束へ向かわせられることが可能か、ここ1、2週間が大事であるとし、そのために、あらゆる全国的なスポーツ、イベント、スポーツジム、宴会などを自粛するように要請し、子どもたちにとって大事な時期ではあるが、休校を要請したとした。

そして、入試や卒業式についても最低必要な人数に限って行うように行った。仕事のある保護者にとってたいへんだが、子供たち第一と理解してほしい。ただ、学童保育などを活用できるように国としても図りたい。また、休業する保護者の所得減少に対応するための新たな助成金制度を設け、正規、非正規雇用を問わず「しっかり手当てする」と述べた。

休校措置については、専門家の意見だけでなく、香港やベトナムでも実施していることも考慮したらしい。

政府としては、まず、2000億の予備費をあて、10日のあいだに対策を確立する。また、株価値下がりに対応した経済財政政策も約束した。

感染者については、重症化防止に検査態勢を充実し、現在、一日に4000件できる体制を整えたが、医師が必要と認めたときに断られないように広域融通で対応できるように国が仲介したい。また、検査を医療保険の対象にするようにし、民間で検査ができることを促進し、迅速化を図りたいとした。

治療薬の開発も進めているが、インフルエンザ治療薬のアビガン、エボラ出血熱用のレムデシビル、HIV用のカレトラといった薬を有効性を見極めつつ投入する。

また、立法措置を早急に行う。いずれにせよ、政府だけでダメ、治療薬もないなかで、国民ひとりひとりにも協力を求める。

習近平訪日については、10年に一度のイベントだから、十分な成果が必要という観点から日中間で意思疎通をしているといういいかたであった。

また、五輪については、アスリート、観客にとって実り多い大会となるように、開催に向けて緊密連携していくとした。

私の感想としては、堂々としてよく練られており、説得力はあったと思う。ただ、あえて、難点を言えば、次の通り。

①だいたい、20分のスピーチだったが、10分程度に圧縮し、全体を繰り返し報道されるような長さにした方が良かったのではないか。要約されてしまうと説得力がない。

②PCR検査について能力増と医師の要請があった場合に対応するということを強調していたが、これは危険ではないか。医師が求めれば検査ができるとかなると診療所などに殺到する可能性が否定できない。もっと抑制的であったほうが良かったのではないか。

③トイレット・ペーパーなどの不足について、買い占めをしないようにもっと厳しく国民に要求するべきだった。おまけに買えない状況があるなどとテレビ朝日の記者が質問していたが、そういう情報が駆け巡ることが最悪であって、まだ知らない人がこれで多く動きかねない。厳しい反省を求める。

④朝日新聞の記者が、その日のうちに説明なく混乱を招いたとか、与党内も批判が出ているとか、糾弾調でやってたが望月衣塑子のまねでもしたのか。

これに対して、安倍首相は1、2週間が正念場という判断からとりあえず発表したといっていたが、これは、根回しをしてそれからがよかったわけでもないし、詳細は、少し反響が出てから翌日、発表すると言うことで正解だ。そうでないと朝令暮改と不信感を増すだけだ。

朝日新聞記者の発言はアジ演説であって質問ではない。そもそも、この会見の目的は国民への緊急の呼び掛けなのである。こういう記者がいるのでは、多くの記者の質問に答えるということができなくなる。フランス大統領のように記者会見でなく国民への一方的な呼び掛けのほうがよいという方向になりかねない。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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