一斉休業中の教員に給与は支払うべきか:身分保障はいらない

2020年03月02日 06:01

ほとんどの自治体で小中学校も休校になってしまったが、その間も、教員には給与は支払われる。休業したら給与が支払われない職種の人たちからみれば、非常にうらやましいだろう。

正規の教員に限っての話なのだが、その身分保障は強力だ。それは地方公務員法等で規定されている。

写真AC

けれども、このことによって、教員自身も損失を被っている。その「おいしい」処遇のために思考停止してしまい、教職の適性がなくてもずるずると教員を続けてしまうのだ。もちろん、教職は転職できるような技能が身につかないということも大きいのだが。

身分保障という蜜の味

身分保障があるだけで「ある種の人」(「生きる力がない人」といって差しさわりない)たちにとってはとても魅力がある。教職に興味も適正もないけれど、身分保障があるから教員になるという人は多いのだ。

そのおかげで、これだけ教員の処遇や素行が問題にされていても、それが改善される兆しもないし、いくら倍率が下がったといっても、正規教諭の採用が定員を満たさないということはない。今、マンパワーが圧倒的に不足しているのは、産休や育休、療休などの代替業務にあたる臨時任用教諭であって、正規教諭は足りている。

では、なぜ臨時任用教諭の人気がないかといえば、正規教諭に引っ張られて、エンドレスの残業に付き合わなくてはならないからだろう。来年度の仕事もあるかどうかわからないし、給与も正規教諭より下がるのに、そんな仕事を好き好んでやる人はあまりいない。臨任教諭の決定的なメリットを打ち出さなければ、今後も採用難は続くだろう。

採用における女性差別

小学校はもともと女性が多い職場だったが、男性教諭を増やしてきて、今では5割が男性教諭である。採用試験で下駄をはかせて男性教諭を増やしてきたのだ。女性差別の不正は私立医学部の専売特許ではない。

ようは男性教諭のほうが「使い勝手がよい」のである。妊娠しないということもあるが、子供を腕力で無理やり押さえることもできる。なによりあんまり考えずに体力だけでがむしゃらに忠誠を尽くす人材はトップがあまり賢くない体育会系な組織には向いている。

先進国でも小学校教諭は女性が多い。ジェンダーの大学の先生なんかには怒られるかもしれないが、小さな子供の相手には女性のコミュニケーションスキルが向いているのだろう。

採用に強力なアイテムがあるから職場をよくするインセンティブが働かない

閑話休題。このように、身分保障という強力なアイテムがあるから、採用試験で受験者が集まってしまい、教委に魅力的な職場にしようというインセンティブは、まったくない。

つまり、魅力的な終身雇用の身分保障によって、教育現場は逆に疲弊しきってしまっているのだ。

もし、身分保障がなければ、やる気とセンスのある人しか教員にはなろうとしないし、そうなってくると倍率は1倍を切ることになるだろう。そうならないためにも、教委も職場の残業時間を減らしたり、教職をもっとクリエイティブな仕事にしようしたりと頭を使うはずである。

けれども、すでにほとんどの教員は、教員に向いていないだけでなく、ほかの仕事もできない。結局身分保障を維持する代わりに、慢性的な長時間労働はつづくだろう。

そもそも人材は希少である

本来ほんとうに教員に向いている人は、少ない。その人たちに教員になってもらうためにも、雇用の安定よりも魅力的な職場にすることを優先すべきだ。

この数十年の経済情勢の変化で、大企業ですら終身雇用は過去のものとなってしまっている。政治的に不当な圧力に屈さないというお題目だけで、教育公務員の雇用を保証しつづける必然性があるのだろうか。

そもそも筆者は、専業の教員をあまり認めたくない。社会とのギャップが大きいからだ。新卒で就職し、せめて一度は転職活動をして自分の市場価値が分かっている人がなったほうがよい。理想は、企業などの他の組織と学校を行ったり来たりすることが理想だ。

それだけ今の学校は世界と乖離してしまっているのだ。身分が多少不安定でも教職についてくれるように、学校の魅力を高めなくてはならない。

今回の臨時休校で、現場の教員は一息つくことができている。

でも、いちばんの被害者は、未来をつくる子供たちなんだけどね。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
中沢 良平
元教員、ギジュツ系個人事業主

関連記事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑