バロンズ:米株調整局面入り、落ちるナイフをつかむ時か否か

2020年03月02日 14:00

バロンズ誌、今週のカバーは新型コロナウイルスを受けた米株急落の対処法を掲げる。米株相場は2009年3月以降、強気相場を謳歌してきたが、今や新型コロナウイルスというブラックスワンが相場を揺るがせ、ダウは2月12日につけた最高値から14%落ち込んだ

前週だけで3,583ドル(12%)沈み、週足では金融危機が発生した2008年以来で最悪となる。S&P500種株価指数とナスダックは、2月19日の最高値からそれぞれ13%も急落した。米10年債利回りも一時1.17%と過去最低を更新し、地方債の利回りも低下中。AA格のロサンゼルス国際空港は金利低下に合わせ、7.38億ドル相当の社債を発行、利回りは1年物が0.63%、20年物で1.44%程度だ。

ただ、オマハの賢人と称されるウォーレン・バフェット氏は、米国債につき「10年間で増益が見込めないにも関わらず、株価収益率で70倍に等しい」と切り捨て投資妙味は低いと語る。そのバフェット氏が最高経営責任者(CEO)として君臨するバークシャー・ハサウェイは1,200億ドルの現金を保有し、利益は240億ドルだ。テクノロジー関連でもアルファベットなど、現金保有高は1,150億ドルに及ぶ。不確実性の影が相場を覆うなかで、cash is king―現金は最強と言えよう。その他、注目の銘柄について詳細は本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週は急落後の米株相場見通しを取り上げる。抄訳は、以下の通り。

(カバー写真:Chuck Burgess/Flickr)

急落前に株を売れなかったとしても、問題なし-Didn’t Sell Before the Big Plunge? Here’s the Good News.

ポール・マッカートニーは名曲「イエスタデイ」で「全ての問題は遠ざかったようにみえた」と歌っていたが、米株が最高値で推移していたのが、まるで昨日のように思える。

2月19日、S&P500などは最高値を更新したものの、2月28日までにそれぞれ急落に転じた。ダウは約4,000ドル沈み13.6%落ち込み、強気派が視野に入れていた3万ドル乗せが遠ざかった。S&P500は最高値から12.8%ナスダックは12.7%沈んだ。ウィルシャー・アソシエーツによれば、米株の時価総額は前週だけで2.8兆ドル、2月19日の最高値から4.6兆ドル吹き飛んだ。ただし見方を変えれば、2018年12月24日につけた安値から最高値まで時価総額は10.9兆ドル拡大していたところから、6.3兆ドルへ伸びを狭めた程度である。

新型コロナウイルスが中国から韓国、イタリアを含め五大陸に感染拡大したことが背景とされるが、トランプ政権は2月26日の会見で新型コロナウイルス問題を抑え込めるとの見解を表明した。その様子は、2008年の金融危機当時を思い出させる

米株は新型コロナウイルス問題だけでなく、民主党予備選の影響も受けているに違いない。JPモルガン・チェースの調査チームは「不幸にも、公共衛生の危機は民主党予備選と重なっており、予備選では数多くの破壊的な増税と規制強化を盛り込んだ政策を掲げる候補に支持が傾いている」と指摘していた。サウスカロライナ州の予備選後に予定する3月3日のスーパーチューズデー明けには、大勢が判明するだろう。

こうした危機の解決策は、いつの時代も中央銀行による緩和策だ。少なくとも、過去を踏まえ市場関係者はそう期待する。

米連邦準備制度理事会(FRB)は2月28日の午後、異例にも声明で「米国経済のファンダメンタルズは力強さを維持している。しかし、コロナウイルスは経済活動にリスクをもたらしうる。Fedは、動向と経済見通しの示唆を緊密に注視している。我々は経済を支援すべく、手段を用い適切に行動する」と伝えた。新型コロナウイルスに無関心ではないとのメッセージを発信した格好だ。政策実行力のない声明だとしても、市場は少なくとも75bp、年3回の利下げを織り込み始めた。

2月28日時点で、据え置き見通しはゼロに。

ff

(作成:My Big Apple NY)

ここで、2つの疑問が持ち上がる。Fedは新型コロナウイルス危機に対応し利下げすべきなのか?あるいは、りさっが最も適切な政策対応なのか?25~50bp利下げした程度で危機が収束するとは、だれも考えていないだろう。グローバル・サプライチェーンが大打撃を受けたとしても、それぞれの需要への影響は異なり、金融政策だけでは対応しきれない。

むしろ、主要先進国は財政出動で対応すべきだ。中国政府は利下げだけでなく資金繰りなど景気支援策を講じているため、中国株安は他国と比べて限定的なのだろう。

米株安により、消費者の財布の紐は一段と固くなるに違いない。しかし、投資家は大幅安に直面した時、相場が必ず上昇に転じるという事実に目を向けるべきだ。バンガード・インベスターズのジェフリー・デマソ氏によれば、過去33年間でS&P500が3.5%以上も下落した55回のうち、1年後に20%以上のリターンを遂げたのは44回に及ぶという。こうした過去に基づけば、例え前週の急落時点で保有していた株を売れなくても、売らなくて良かったと安堵する日が来るかもしれない。


中国株の下落が他市場と比較し限定的である理由は、景気支援策以外にあるような気がしますが、さすがに根拠なくPKOの可能性を取り沙汰せないのでしょうか。それはともかく、中国2月製造業PMIが35.7と前月の50.0から急落し過去最低をつけてしまったほか、2日には米2月ISM製造業景況指数を控え、3月入りの米株相場が底打ちできるかは微妙な情勢です。しかも、2月29日には遂に米国ワシントン州で新型コロナウイルスによる死者が出てしまいました。ひとまず、2018年12月当時のように20%安を試す展開に留意すべきでしょう。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年3月1日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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