働き方改革、いよいよ中小企業でも始まりますよ!

中田 宏

年度末の3月を迎えました。今年度末は新型コロナウイルスの影響で卒業式や送別会などが縮小気味ですね。
さて、あと1ヶ月後の4月からは新年度が始まるります。新型コロナウイルスがどうなっていようが、4月からスタートすることがあります。それは働き方改革の拡大です。

すでに大企業については昨年の4月からすでに働き方改革の法律が適用されてきました。
先ごろ内閣府が発表した「日本経済2019-2020」という報告書の一部を見てみたいと思います。
下記のグラフは製造業・非製造業別の一人当たりの労働時間の寄与度です。

※2019年は、2019年1月~11月の平均

前年と比較して、製造業で3.5時間、非製造業で2.9時間と労働時間の月間平均は大きく減っています。この数字はこれまで見られなかった減少幅になっています。その要因としては残業時間を減らしたこと、そして有給休暇の取得があります。

実はこの数字、2019年1月~11月の平均ですから、すなわち法律適用前の去年1月から3月を含んだ月間平均となっています。ですから、もしも去年の4月から今月3月までの平均をとってみると、さらに減ってる可能性が高いと思います。

ところが、日本経済は大企業で成り立っているわけではなく、やはり中小企業で成り立っています。なにせ、中小企業社数は日本全体の99.7%、従業員者数では68.8%が中小企業ですから、まさに日本経済は中小企業で成り立っていると言えるわけです。

その中小企業には来月から始まる新年度から法律が適用されます。すなわち、これまでは助走期間だったわけですが、これまではどうだったでしょうか。

帝国データバンクの調べによれば、これまで働き方改革に取り組んだのは、大企業で75.7%、中小企業で56.7%(2019年12月時点)でした。大企業に比べて20%ほど少ないでずが、先ほども言ったように、まだ法律が適用されていませんから、1年後に同じ調査をしてみれば大企業と遜色がなくなっているかもしれません。

ただ、中小企業は業務が多忙、人手不足や取引先との関係、さらに、機械化やIT化を進めようにも資金的な問題もあります。それでも月45時間、年間360時間という残業の上限があります。仮に繁忙期となど、特別条項付36協定を結んでも様々な条件があります。

「うちはしない」「できない」とか言って実施しないと労働基準監督署からの指導や、他社との差がついて人材が流出したり、人材採用に苦戦したりすることも考えられます。

全国99.7%の雇用者を抱えている中小企業の経営者の皆さん、業務の選択と集中、働き方のメリハリなど、どう工夫するか考えて実行していかなければなりませんよ。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年3月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。