バロンズ:米政府にとって新型ウイルスの特効薬とは?

2020年03月09日 06:00

バロンズ誌、今週のカバーは新型コロナウイルスで急落する相場で買うべき銘柄を紹介する。米株相場の乱高下の陰で、米10年債利回りは過去最低を更新中で、1%を割り込む状況だ。S&P500種株価指数の構成銘柄に目を向けると、配当利回りが5%を超える銘柄は55を数える。代表銘柄として、たばこメーカーのアルトリア・グループ、エネルギー大手のシェブロンやエクソン・モービル、その他通信のAT&T、製薬会社アッヴィー、保険大手プルデンシャル・フィナンシャル、化学大手ダウ、そして米銀ウェルズ・ファーゴなどが挙げられよう。その他、ETFの選択肢などを含めて詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測する名物コラム、アップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週は新型コロナウイルスが及ぼす悪影響への特効薬を論じる。抄訳は、以下の通り。

カバー写真:duncan c/Flickr

新型コロナウイルスとの闘いに、米政府ができること―What the U.S. Government Can Do to Fight the Economic Impact of Coronavirus.

NY州が緊急事態を宣言するなか、米連邦政府は新型コロナウイルス感染拡大の経済的影響に対応すべく、限られた手段を検討中だ。

ルネッサンス・マクロでワシントン担当のスティーブン・パブリク氏は、週末にリリースしたレポートで「トランプ政権は新型コロナウイルスにつき、他国と強調し、経済指標とトレンドを評価していく」と分析。トランプ政権の高官は、香港が18歳以上の市民1人に一律1万香港ドル(約14万円)支払うことを決めた広範囲にわたる財政刺激より、的を絞った対策を選好するためだ。

ワシントン・ポストは6日トランプ政権が航空会社やクルーズ会社、宿泊関連など新型コロナウイルスによって最も打撃を受ける業界向けに納税先送りなどの措置を検討中と報じた。ポリティコも政権が一部の業界向けに債務支払いの軽減策を検討中と伝え、債務支払い延滞料の一時停止や低金利での融資、あるいは債権放棄などを選択肢として挙げた。ムニューシン財務長官が「ウイルスは金融危機と違って全員に影響を及ぼすというより、的を絞った影響を与えやすい」と語るように、一連の措置は対象を明確化したものだ。

クドローNEC委員長も6日、同様に「時宜に適う的を絞ったミクロ的アプローチ」に支持を表明した。その一方で、クドロー氏は「大規模で割高なマクロ的な現金での割引、ヘリコプター・マネーは決して有用ではなく、検討していない」と明言した。さらに手当たり次第に3,000億~4,000億ドル支出し1人ずつに現金を配る策を講じる方向にないとも語った。なお、リベラル寄りのセンター・フォー・アメリカン・プログレスは、給与税の一時停止や直接の現金支払いを財政刺激手段として挙げた。

ただし、ルネッサンス・マクロのパブリク氏は財政刺激の効果に疑問を呈する。世界中で起こるサプライチェーンの混乱や人々が快適に旅行する上で、どの程度の財政刺激が必要か不透明であるためだ。その上、米議会が83億ドルの新型コロナウイルス対策費を可決したばかりのタイミングで政権が財政出動を求めれば、政権が新型ウイルスに対する深刻性を理解していないと判断され、大統領選挙イヤーに世間が危機感を募らせることになる。

また、新型コロナウイルスが経済に与える影響を緩和させる伝統的な手段として、失業保険が存在するが、足元は失業保険申請件数は約50年ぶりの低水準にある。一方で新型コロナウイルスの影響を完全に網羅していないものの、米2月雇用統計は大幅な雇用増加を確認し、失業率も低下した。

失業保険申請件数が低水準であるほか、チャレンジャー人員削減予定数も2月に急増せず。

(作成:My Big Apple NY)

一部の大手IT企業では、失業の増加は限定的だろう。アクシオスが報じたように、マイクロソフトやアマゾン、アルファベット、フェイスブック、ツイッターなどは時給労働者に対し賃金を支払い続けると同時に、リモートワークを承認している。しかし、全ての企業が寛大でもなく、全ての職がリモートワークを可能とするわけではない。ユナイテッド航空は無給の休暇取得を求め、採用停止を発表、株価は2月12日以降で36.6%安となった。デルタ航空も株価は22.8%下落し、アメリカン航空も47.6%沈んでいる。

Fedは3月3日、50bpの緊急利下げで対応したが、金融市場への効果は限定的で米株安が続き、投機的格級の社債も値崩れしている。金利低下が住宅市場を支援する見通しだが、パウエル議長が会見で述べたように、新型コロナウイルスの悪影響を吸収する上で金融当局だけでなく、医療専門家や財政出動の支援が必要となるだろう。


米国ではワシントン州、フロリダ州、カリフォルニア州、メリーランド州、ケンタッキー州、ユタ州に続きニューヨーク州が7日に非常事態を宣言しました。ワシントンD.C.にも新型コロナウイルスの魔の手が伸びつつあり、7日には米国最大の保守団体、米国保守連合(ACU)がD.C.の西隣に横たわるメリーランド州で開催した年次イベント、”保守政治行動会議(CPAC)”でも新型コロナウイルスの陽性患者を確認。このイベントには、トランプ大統領を含め政権関係者が参加していたため、ビッグニュースとなったのは言うまでもなく。全米ではCDCが3月7日に発表したデータにユタを付け加えて20州で感染が確認されていますが、さらに拡大するリスクをはらみます。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年3月8日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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