国際情報戦に弱いという日本の伝統的問題

2020年03月10日 11:30

先週、「外交問題としてのコロナ」という記事を書いたが 、松川るい参議院議員の「『国際宣伝戦にも勝つ』との意識を」(夕刊フジ3月10日号)という同趣旨の記事を見て、我が意を得たり、という気持ちになった。松川議員のように語学堪能の国会議員の方には、特に頑張ってもらいたい。

私自身は、この一週間アフリカに出張していたが、まだ感染者が出ていない国でも、入国時に全員の熱を測ってくる。旅行者がホテルで見るのは、CNNやBBCばかりで、いずれもトップニュースはコロナ・ウィルスだ。世界的に関心は高い。

新型コロナウイルスの東京オリンピックへの影響について伝えるCNNニュース(YouTubeより:編集部)

この一週間で、一気に日本の感染者数を欧州諸国が抜き去っていった。ところが、まだまだ世界の一般の人々の間では、コロナ・ウィルスは東アジア人から広がるという印象が根深い。中国人も日本人も見た目では区別できない、ということだけではなく、日本の状況が知られていないのだ。そのため、日本人に対する入国規制も広がり続けている。

今どきは、アジア諸国の政治指導者でも、CNNやBBCのインタビューを受けて、英語で直接メッセージを発するのが普通だ。ところが、日本の場合には、これがない。 代わりに、どこから現れるのか無名の日本人が、欧米人が好みそうな内容を、根拠も示さず、あまり上手とは言えない英語で、ボソボソと喋っている。それを外国のテレビで見るたびに、私は嫌な気持ちになる。彼らがしきりに、「日本にはもっともっと沢山の感染者がいる」といった話を力説し続けているからだ。

政権に批判的な人が欧米系のメディアで受けてはいけないとは言わないが、ちょっといびつすぎる。 なんとかして日本を貶めようとするだけでなく、日本よりも欧州で感染が広がりやすい要素があるかもしれないこと、たとえば握手文化その他の濃厚接触、手洗い環境の不足やトイレの衛生状況、マスクをしたがらない文化などの点を示唆してあげても、人類全体の利益にかなうところがあるのではないだろうか。

客観的に政府の立場や日本社会の状況を英語で伝える人物を、CNNやBBCに出演させる方法はないのだろうか。

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篠田 英朗
東京外国語大学総合国際学研究院教授

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