株暴落は2波、3波に襲われバブル崩壊

2020年03月14日 06:00

複合不況の懸念が強まる

新型コロナのパンデミック(世界的な大流行)との発表でNYダウがまた暴落し、2400㌦という史上最大の下げ、日本も一時1万7000円割れ、株暴落が世界全体に広がる「パンデミック」です。懸念されていたバブルの崩壊が始まったのです。

写真AC:編集部

コロナ感染が終息すれば持ち直すという甘いものではなさそうです。政策当局が金融財政面から手を打っても、市場の反応は一時的でしょう。黒田日銀総裁は「躊躇なく適切な対応をとる」といっても、特に日本は平時ですでに金融財政政策の「弾」を撃ち過ぎています。

G20(主要20か国会議)は「全ての政策手段を用いる」との声明を発表しています。実際は手段を使い尽くしており、できることには限界があります。市場は足元を見抜いています。慌てずに市場を疑心暗鬼の心理状態に置くことも必要です。

世界のマネー市場は、第1波の衝撃が収まっても第2波、第3波に襲われると思います。「バブルがいつ破裂するか」との懸念がコロナ危機が引き金になって現実化したのが第1波です。世界景気・貿易の冷え込みが加わり、企業倒産、失業増大、個人消費の不振が広がるのが第2波か。悪化する環境の中で金融機関、投資会社が経営不振に襲われ、金融システム不安が表面化する第3波です。

トランプ大統領が主導する貿易戦争、国際機関の劣化、各国の財政・金融状態の悪化、グローバル化への反動、マネー経済の下での格差拡大による社会の動揺など、いくつもの矛盾が経済危機のうえに重なってきます。つまり複合不況というべき状況が深刻化していくでしょう。

今回のショックはリーマンショック(08年の世界金融危機)並みか、それを凌ぐ可能性が指摘され始めています。「下限は2万円」とか「日銀が大量購入しているETF(上場投資信託)の採算ライン1万9500円が下限」などと主張していた金融証券の専門家たちは、今どんな思いでしょうか。

アベノミクス成功論の白紙撤回か

現実化する世界不況の中で、日本のショックが最大クラスでしょう。トランプ大統領が「東京五輪は1年延期すべきだ」と語った段階で、今夏の開催見送りは確定してしまったも同然です。当てにしていた放映権料、入場券収入、訪日客などの特需は次の開催時期まで吹っ飛び、ホテルの解約料の支払い、諸施設の建設コストの回収遅れなどの直撃を受けます。

首相官邸YouTubeより

すでに経済成長率は昨年第4四半期はマイナス、今年第1・四半期もマイナスは不可避の上、来年度は年間を通してのマイナスでしょう。3月末の株価は前年比で大暴落し、企業保有株は巨額の評価損を計上し、大幅な減益か赤字決算となり、株価はさらに下落します。

法人税収が減れば、主要国最悪の財政赤字は拡大します。ゼロ金利で日銀が国債の大量購入をして、財政破綻を凌いできたやり繰りは行き詰まる。日銀の財務内容の悪化、株を大量購入していた年金積立金運用法人(GPIF)や郵貯のダメージも大きい。安倍政権が自慢してきた「株価は2倍以上の2万4000円まであがり、アベノミクスは大成功」は白紙撤回になりかねません。

過去40年で、グローバルな資産バブルの膨張・崩壊は6回起きています。リーマンショックから11年経ち、バブルの破裂が懸念されていた時に、今回のコロナショックが起きました。懸念されていたにもかかわらず、主要国の政治トップは選挙戦術として、金融の異常な緩和、財政膨張策を取り続け、バブルをさらに大きくし、破綻した場合の傷を大きくするような手を打ってきたのです。

株高、実力以上の経済成長を政治目標にし、バブルが発生していたのに、政治家自らの手柄のように振る舞ってきたツケがコロナショックを増幅していると、考えます。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2020年3月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。

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中村 仁
ジャーナリスト、元読売新聞記者

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