住宅不動産市場に陽は当たるのか?

2020年03月19日 14:00

カナダのある若手日本人の方から「マンション買おうと思うのですが今、買い時でしょうか?」と聞かれました。間髪を入れず「買いです」と申し上げました。

カナダでは新築マンション(コンドミニアム)の場合、図面売りし、一定数の成約があると建築資金を銀行から調達し、約2年の建築工事期間を経て完成引き渡しという流れを踏みます。つまり、契約から入居まで場合により3年ぐらいかかるのですが、当然、予定通り完成しない物件も発生しますので買い手にとってはリスクが大きくなります。

街中では工事が進んでいるのか進んでいないのかわからないような案件もあります。資金繰りに窮しているのでしょう。また、開発計画が全く進捗していない案件も多く、街中でまともに工事が進んでいる物件は以前に比し、大きく減ってきています。今後は更に数が絞り込まれるでしょうし開発業者の倒産もあり得ます。

ではなぜ、「買い」なのか、といえば3年ぐらいたつと新規供給が細りすぎて需要と供給のバランスが保てなくなるからです。前述の通り、当地では集合住宅を開発するのに土地取得から考えると4-5年かかります。ところがこの1年ぐらい供給にブレーキがかかっています。当地の不動産価格が政府の価格抑制策で思ったように値上がりしなくなり小銭稼ぎを目論んでいた投資家が手を引いており、それを見込んだ開発業者も計画を見直しているからです。

ところがカナダは全人口の約1%近く(30数万人)を毎年移民として受け入れている国です。拡大バンクーバー地区もあと20年で人口が40%も増える(現在240万→2041年予想350万人)のです。よって住宅はコンスタントに開発し続けないと足りなくなる計算は自明の理なのであります。ましてやカナダは今月合計1%の利下げを行い、住宅ローン金利は大幅に下がっています。金利が下がれば住宅開発業者にとってもメリットがある話なのです。

では日本はどうなのでしょうか?昨日発表された公示価格は住宅地0.8%上昇と悪くなさそうに見えますが、外国人の投資に支えられている点はありました。基本的には人口が縮小均衡の市場ですので2018年の価格をピークに下げに転じ、ムードはマイナスのベクトルになるとみています。理由の一つは都心に近い物件ですと年収と不動産価格の倍率が10倍を超えており、通常収入しかない一般の方には常識的に手が届かないということがあります。

写真AC

では、なぜカナダの不動産は売れるのに日本はだめなのか、といえば2つの大きな違いがあります。一つは若くて長期コミットをする人口(=移民)が増えているのか、日本のように一時滞在の外国人なのかの違い、もう一つは相続税であります。前者はお分かりかと思いますが、後者については相続税がないカナダは親からの資金援助を受けやすい環境は無視できない点なのであります。

もう一つは家(部屋)の大きさがあるかと思います。欧米は人を家に呼ぶ文化、日本の家は家族専用であまりお客を呼ばない文化があります。よって欧米は家をショーケースのようにして住宅に対する興味をそそるようになっていることはあるでしょう。当然、サイズも大きくなります。

一方、日本で誰かの家に行くのは少ないし、家族だけが集うギリギリサイズという傾向は否定できないと思います。日本はそれ故に主婦の外食文化が進んでいるのであります。あれは世界でも珍しい傾向です。

住宅市場は人口推移が基本です。日本ではタワマンのように建築費や管理費が高い住宅に人気があるようですが、本当は戸建ての住宅が様々な面から穴場だと考えています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年3月19日の記事より転載させていただきました。

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