世界経済破滅へのドミノ倒し:そんなもんじゃ収まらない!

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、世界中で次々に行動が制限されています。
安倍総理が小中高の学校に休校を要請して実際に休校になった時は、「やり過ぎだ」とか「根拠は一体なんだ」などと批判が噴出しましたが、世界では今、次々に世界各国で同じような措置が取られています。

例えばアメリカのニューヨーク市では公立学校は全部休み、とにかく人が集まるシアターなども全部休業、レストランでは店内での食事ができずテイクアウトのみの営業になっています。フランスでは外出が制限されており、衣料品店も電気屋さんも本屋さんも家具屋さんも休業していて、生活必需品を売っているお店と薬局のみが営業しています。イタリアもスペインも同様で、観光地どころか普通の街にも人が歩いていない状態です。

そのヨーロッパでは、EU加盟国のうちアイルランドを除く26カ国と、EU非加盟でも国境検査なしで人の行き来を可能にするシェンゲン協定に参加するスイスなど4カ国の計30カ国が入域制限を決めました。

つい先日、トランプ大統領がEUからアメリカへの入国を拒否したときには大反発をしていたEUですが、今度は自分たちがやらざるを得なくなってしまっている状態です。アジアの国々でも同様に行動制限を開始していたり、オーストラリアにいたっては、オーストラリアから出国することを禁止しました。

こうした行動制限というのはまさに私権制限の最たるものですが、先週日本では新型インフルエンザ特別措置法の改正で、総理大臣が緊急事態宣言をすれば、住民への外出自粛を要請できたり、臨時の医療施設を開設するため、土地や建物を所有者の同意なしに使うことなどの私権制限ができるようにもなりました。まだ緊急事態宣言もされておらず、私権制限など何もしてないにも関わらず、一部のメディアはもう今から批判しています。

でも、今言ったように、他国ではすでにやっているということです。フランスなどは今回の措置下で無許可外出をすれば1万6000円程度の罰金が科せられます。そう考えれば、日本はまだまだかわいいものです。

現在日本は中国、韓国、イタリアの一部地域からの入国を制限し、イランの一部の地域からは入国を拒否しています。さらに昨日は新たに、スペインのマドリードなどの3州、イタリアの4つの州、スイスの一つの州、そしてアイスランド、これらの地域に過去2週間以内に滞在歴がある人は入国拒否ですが、国はともかくとして、滞在していた場所については、はっきり言って嘘をつけますからね。

それでいいのかなと思いますし、それ以外のEUから日本に入国する場合は、指定場所で2週間の待機ということで、これもそれでいいのかなと私は思います。

さて、人の移動がこれほどまでに制限されたことは前例がありません。

先週、航空業界の人と会話した時、その方は「アメリカ同時多発テロや、東日本大震災、リーマンショックとは全然違う、航空業界の需要としては、アメリカ同時多発テロの時はアメリカへ、東日本大震災の場合は東北への移動が減り、リーマンショックは金融危機なのでそれほど影響はなかった」と仰っていました。今回は飛行機に限らず、新幹線だろうが、特急だろうか、鈍行だろうか、とにかく人が移動すること自体が悪になっていますし、いつまで続くかわからない状態で、経済的には本当に深刻です。

様々な機関が経済損失などいろんな数字を出してます。国連貿易開発会議は、世界で1兆ドル規模の経済損失、世界全体の国内総生産(GDP)成長率を1.2%押し下げることになりそうだと発表し、アジア開発銀行は世界全体の経済損失を最大3,470億ドルと予測し、世界全体のGDPを最大0.4%幅押し下げるとの試算を発表しました。

はっきり言いましょう。
「この程度で私は収まらないと思います」

今回は国境超えるような長距離移動だけじゃなく街の中を歩くこと自体が駄目だという話です。当然、あらゆることが麻痺してくると予想されます。買い物しない、製造しない、会社倒産する、貸倒で金融機関が危機を迎えるなど、どんどん負の連鎖が起きてくることになるわけですが、そうなると世界経済が本当に未曾有の危機になりかねません。そうならなければいいですよね。

私はこうやってその可能性があることをはっきり言いいますが、世界のリーダーたちは絶対言いませんからね。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年3月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。