都議会予算特別委の解説① 教育機会の格差をどう捉えるか

2020年03月23日 06:00

こんにちは、東京都議会議員(町田市選出)のおくざわ高広です。

今日から、先日の予算特別委員会の解説を書いていこうと思いますが、まずは、教育機会の格差解消について。

来年度予算には、「教育機会の格差解消」として、いわゆる私学無償化の対象を年収910万円の世帯まで拡大する予算があります。もちろん、全ての教育費用が無償化されることを目指していく上では歓迎すべきことですが、高所得世帯の学校費用が無償化されれば、その分の費用は学校外での学びに回ることが容易に推察され、むしろ学校外の教育格差は拡大する可能性すらあります。

では、どうすれば?私の答えは、学校にも民間教育にも使えるクーポンを、所得や家庭環境(兄弟姉妹の数など)によって、段階的な差をつけて支援するべきだと考えていますが、その議論をするのはまだまだ先になりそうです。

さて、財源に限りがある以上は、子どもの学びを俯瞰して、どこに予算をかけることが効果的なのかと考える必要があります。

以前のブログを振り返りつつ、

教育格差の是正に挑む①~客観的なデータの必要性~

教育格差の是正に挑む②~データをどう活かすか~

改めて、都内に存在する教育機会の格差をまとめたのが、以下の図です。

✔生徒から見れば学校なのになぜ?
⇒都外私立通信制高校、朝鮮学校をはじめとする各種学校

✔家庭環境にどこまで介入すべき?
⇒蔵書数やネット環境、進学における当たり前の違いなど

✔家庭の経済格差が色濃く反映される民間教育の格差はどう埋める?
⇒学習塾、文化・スポーツ体験、就学前教育など

※受験生チャレンジ貸付支援制度や生活困窮世帯への支援あり(詳しくはこちら

✔地域間格差はどうする?
⇒教員の配置、外国人講師、部活動指導員など

✔学校に行けなくなった生徒への支援のあり方は?
⇒フリースクール、通信制サポート校など

 

こうして風呂敷を広げてみると、さて、どこから手をつければ…

そこで、担当者と話をしていくと、大きな問題が見つかりました。

それは、「教育機会の格差」について、コンセンサス(共通認識)がないということ。

東京都では、都立高校や公立小中学校、公立幼稚園は教育庁、私立学校は生活文化局、塾代支援や保育所は福祉保健局と、3つの局に担当が分かれています。それぞれが目の前の業務に全力を尽くしているのは分かるのですが、教育施策全体を見ている場所がない。。。

ということで、今回の質疑においては、改めて、「教育機会の格差」とは何なのか、どこまで行政が取り組んでいくべきなのか、教育施策の根っこにある部分について、知事に問うこととなりました。

結論(知事の答弁)

家庭の経済状況に関わらず、子供が安心して学び続けられる環境を整える。

(中略)

子供たちが、様々な困難を乗り越えながら、それぞれの人生を生き抜いていけるよう、子供の学びを社会全体でサポートし、一人一人の個性や能力に向き合う、新たな「東京型教育モデル」を実現していきたい。

奥澤の受け取り方

具体的に、これが教育格差だという答えを得ることはできませんでしたが、この答弁を読むと、行政が支援すべきことは学校内にとどまらないと受け取れます。これを起点に、今後も質疑を重ねていくわけですが、私としては、困難が重なるケースは少しでも早く解消しなければならないと考えています。

例えば、不登校になり、かつ経済的にフリースクールやサポート校に通うことができないという生徒を支援していくことは、行政の責任だと考えています。

知事の方向性について、それはどうゆう意味なのかと問うことで、共通認識をつくり、都の講じる施策の出発点を見つけていくことも、議員の役割の一つなのだなと思います。

明日、再び、今度は9分間の質問に臨みます。大切に使います。

質疑応答の中身はこちら

来年度予算には「教育機会の格差解消」という言葉があり、いわゆる私学無償化の対象拡大などが図られますが、子どもにとっての教育は、学校等、家庭、そして塾などの学校外教育に よって成り立っています。都外私立通信制高校やサポート校、朝鮮学校をはじめとする各種学校など、生徒からみれば同じ学校でも、制度上は支援の対象とならないものもあり、早急に検討を進めるべきです。また、家庭の経済格差が色濃く反映される学校外教育や体験の格差にも、目を向けなければなりません。

子供たち一人ひとりの個性や能力に向き合う、新たな「東京型教育モデル」の実現には「家庭の経済状況に左右されることなく、希望する教育を受けられる環境を確保」していく必要があります。

Q.戦略ビジョンにあるように、「子供の学びを社会全体で支援」していくことは大変重要であり、子供たちが様々な困難を乗り越えていくために、都としてどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。

A.(知事)

  • 東京の活力の源は「人」であり、未来を担う子供たちを大切に育てていくことは、「人が輝く東京」を創り上げるためのベース。
  • こうした考えのもと、「『未来の東京』戦略ビジョン」では、子供たち一人一人に着目し、それぞれの自立性や主体性、想像力、課題解決力などを伸ばしていく学びへと大きく転換するため、2030年に向けた「子供の『伸びる・育つ』応援戦略」を打ち出し。
  • 家庭の経済状況に関わらず、子供が安心して学び続けられる環境を整える。また、不登校の子供たちの学習機会を民間団体などとも連携して提供する。さらには、教育のICT化を推進し、子供たちの学ぶ意欲に応え、個別最適化された学びを提供。
  • こうした取組を通じて、子供たちが、様々な困難を乗り越えながら、それぞれの人生を生き抜いていけるよう、子供の学びを社会全体でサポートし、一人一人の個性や能力に向き合う、新たな「東京型教育モデル」を実現していきたい。

編集部より:この記事は、東京都議会議員、奥澤高広氏(町田市選出、無所属・東京みらい)のブログ2020年3月22日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおくざわ高広 公式ブログをご覧ください。

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奥澤 高広
東京都議会議員(町田市選出、無所属 東京みらい)

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