イタリア:コロナ蔓延原因はオリーブ油とサッカー!?

2020年03月27日 14:00

ロックダウン中のミラノ市街地(3/1撮影、Alberto Trentanni/flickr)

ベルガモのアタランタ奇跡の準々決勝進出の代償だった

新型コロナがどうして、イタリアとスペインで蔓延したかは謎である。中国との強いつながりを言う人もいるし、医療体制が劣悪だという人もいる。しかし、この二つについては、まったく説得力がないのだが、それは回を改めて説明する。

本日は、少し変わった説として2月のサッカーの試合が原因という説と、オリーブ油が新型コロナを重症化するという説とを紹介しておこう。

馬鹿げているように見えるのだが、それほど荒唐無稽ではないのだ。

イタリアの新型コロナ蔓延でもまさに医療崩壊で地獄の様相を呈しているのは、ロンバルディア州東部の中心都市であるベルガモである。中世にあってベルガモ飛脚と呼ばれる郵便業者を組織したトゥルン・ウント・タクシス家は、させ、近代郵便の原点といわれるライヒスポスト(神聖ローマ帝国の郵便事業)を管掌していた。

いまも中世を偲ばせる町並みが残り、世界遺産も多い。私も1980年代の留学中に訪れた。ミラノ・スカラ座にオペラを見に行ったとき昼間、鉄道で足を伸ばした。

そして、ここにセリエAに属するアタランタというサッカーのチームの本拠がある。2018-2019のシーズンには3位となり、今年のUEFAチャンピオンズリーグに進出。スペインのバレンシアに2連勝して準々決勝に進出して歓喜に沸いていた。

そのバレンシアとの試合が2月19日に、ベルガモのスタジアムは狭いのでミラノのサンシーロで開催。ベルガモ市民の3分の1がつめかけ、スペインからも大応援団が来たらしい。

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Atalanta Bergamasca Calcioさんの投稿 2020年2月19日水曜日

選手も35%が罹患しており、その後一気に流行が爆発したのは、この試合が原因でないかとも言われている。

フランスでも、リヨンでトリノのユベントスとリヨンの試合を決行してしまったのが悔やまれているから、サッカー原因説はそれほど無理な推測ではない。

風邪薬はインフルエンザの死亡率を高めるのも常識

ヴェラン氏(ツイッターより)

もうひとつの説はオリーブ油説である。事のおこりは、フランスのヴェラン保健大臣がツイッターで「新型コロナウイルス感染症に罹ったらイブプロフェンなどの薬を飲まないように」という趣旨の発言をしたことである。

WHOからも「イブプロフェン」が新型コロナウイルスに悪影響を及ぼすとの警告があったのだが、新型コロナウイルス感染者による「イブプロフェン」服用について、感染の疑いがある場合はイブプロフェンではなく、抗炎症作用の少ない「アセトアミノフェン」服用が望ましいとある時期までされていた。しかし、その後、「控えることを求める勧告はしない」と軌道修正した。

治療に当たっている医師への調査の結果、通常の副作用以外に、症状を悪化させるという報告はなかったと説明したのである。専門家でも意見が分かれているのであろう。

しかし、イブプロフェンは、そもそも日本でも鎮痛剤や解熱剤として使われ、市販の「風邪薬」にも広く含まれている。そしてそれに近い成分が、インフルエンザなどにはよろしくない副作用があるというのは広く知られていることだ(インフルエンザによる発熱に対しジクロフェナクナトリウム使用群と不使用群とでは、使用群の方が優位に死亡率が高いという結果が出ており、かつ脳血管に損傷が生じていることが特徴的に見出されるという)。

それもあるから、最近では、鎮痛剤でも「カロナール」などの製品名で知られる「アセトアミノフェン(別名:パラセタモール)」を使う医者が増えていたのであるし、私もそうしている。

ボルタレンなどもイブプロフェンなどと主に非ステロイド消炎鎮痛剤(NSAID)に分類され、基本的にインフルエンザには慎重投与という専門家もいる。

David Stewart/flickr

オリーブ油には風邪薬と同じ成分が入っている?

さらに、オリーブ油に似た成分が入っていていてそれがイタリアやスペインでの大流行と関係ないのかとかいう説もあるようだ。

オリーブ油については、このイブプロフェンに似た成分が含まれていて、それが消炎作用があって身体に良いなどと言うことが言われてきたのである。

たとえば、キリンのサイトには「のどに刺激を与える消炎成分をオリーブオイルから発見」と題した記事もある。

エクストラバージン・オリーブオイルのテイスティングをしたのです。

収穫したばかりの極上のエクストラバージン・オリーブオイルを飲んだのですが、そのとたんに驚きました。液体のイブプロフェンを飲み込んだ時とそっくりの、のどが焼け付くようなピリピリした刺激を感じたからです。

もしもエクストラバージン・オリーブオイルに天然の消炎成分が含まれているなら、地中海料理が体にいいのは、オリーブオイルを使った料理で日常的に少量の消炎成分を摂取するからなのかもしれません。地中海料理は、心疾患、一部のがん、アルツハイマーなどの神経変性疾患の発生率を抑えるといわれています。すでに、イブプロフェンの長期的摂取がこうした疾患に効果を発揮するといういくつかの証拠が明らかになっているので、地中海料理に同様の成分が含まれているとすれば、つじつまが合います。

天然の産物に薬用成分が含まれていることは珍しくないし、だからこそ、漢方薬も存在する。となると、オリーブ油が身体に良い要素は多々あるが、そのことは裏返せば、同等の副作用があるのも当然だ。

「イブプロフェンについて治療に当たっている医師への調査の結果、通常の副作用以外に、症状を悪化させるという報告はなかった」というWHOの見解は、つまり、通常の副作用はあるということとも取れる。

いずれにしても、身体に良いと言われる健康食品には、必ず副作用もあるので、それを避けたかったら、偏った食生活はやめた方が無難と言うことでなかろうか。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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