デジタル活用教育にアクセシビリティ対応を①

2020年03月28日 06:00

新型肺炎の影響で全国の小中学校が休校したが、一部地域では新学期も遅れるだろう。そこで、今こそ遠隔教育を充実させよと原英史さん・吉井勇さんたちが提言している。傾聴に値する提言だが、一点抜け落ちているため、僕はまだ賛同者に名を連ねていない。

提言にはアクセシビリティへの言及がない。

令和元年版「障害者白書」によれば、18歳未満の身体障害児は6万8千人、知的障害児は21万4千人、20歳未満の精神障害者は27万6千人を数える。

知的発達に遅れはないものの学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた通常学級に在籍する児童生徒の割合は、2012年度文部科学省調査で6.5%と推計された。この数値には、LD(学習障害)・ADHD(注意欠陥多動性障害)等に加え、ディスレクシア(難読症)の子どもも含まれている。

先天性色覚異常の発症率は男性の約5%、女性の約0.2%である。そのほかに、外国人世帯や海外駐在から帰国した日本人世帯に、日本語がわからない子どもがおよそ4万4千人いる(2016年度)。

合計すれば、10人に一人以上の割合で何らかの障害をもつ子どもがいる計算になる。30人一クラスであれば3人か4人、と無視できない人数になる。これらの子どもがデジタルを活用した遠隔教育を受けるには、教科書・教材・教育サイト等のアクセシビリティ対応が不可欠である。

文部科学省が開設した「子供の学び応援サイト」には数多くの教材が掲載されている。しかし、画像PDFをそのまま貼り付けたドリルがあるなど、アクセシビリティへの対応は不足している。読み上げ可能なPDFもあるが、「ジュースは,合わせて何Lかを考えます。」が「なんリットル」ではなく、「なんエル」と読み上げられ意味は通じない。

画像PDFのドリル例

「ログインしてシートを印刷する」ことで求める教材もある。これでは、スマートフォンやタブレットを使う子供は、障害がなくても、利用できない。

ログインを求める例

厚意で提供された教材の揚げ足を取るのは不適切だが、アクセシビリティが不足しているのは現実である。障害を持つ子どもたちもデジタル活用教育の利便を享受できるように、提言にアクセシビリティ対応について追記するように求める。

今後数回、デジタル活用教育におけるアクセシビリティ対応について記事を連続して投稿する予定である。

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山田 肇
ICPF理事長、東洋大学名誉教授

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