小和田家系図でチッソ社長の肩書きを隠した週刊誌

2020年03月28日 16:00

Wikipediaより

『愛子天皇はチッソ元社長の夢』衝撃の女性誌報道」という記事を3月23日に掲載して大きな反響をいただいた。『女性自身』2020年3月24・31日合併号のトップ記事で、「『愛子さまを天皇に』は、雅子さま最愛のご家族の願いでもあったはずだ」とリードして、雅子皇后陛下の外祖父で、かつて雅子様がもっとも尊敬する人と仰っていたこともあるという江頭豊氏が、愛子天皇を待望されていたのだから、その願いをかなえてあげるべきなのに、安倍内閣がじゃましてけしからんという記事だった。

そこで、私は自分の曾孫を天皇にして欲しいという民間人の願いを政治がかなえなければならないというのは不見識であり、しかも、その民間人は水俣病のチッソの社長であり、被害者救済の遅れや不十分さの責任をもっとも問われている人であって、いかがなものかと書いた。

そのアゴラ記事の中では書かなかったのだが、実は『女性自身』は4ページにも及ぶ長文の記事の中で、記事の主人公である江頭豊氏がチッソ社長であったことには、まったく触れていないのである。

また、記事に掲載されている小和田家の系図のなかでは、江頭氏の父が海軍中将だったこと、その夫人の父の山屋他人氏が海軍大将だったこと、小和田恆氏が国連大使・国際司法裁判所に勤めていたことは記されているが、江頭豊氏は職業なし扱いだ。

問題の『女性自身』記事掲載の系図(筆者撮影)

まことに奇妙な忖度記事である。誰がどういう意図でこんなばからしい記事を載せようとしたのか不明だが、途中で江頭豊氏がチッソ社長であったことを隠した方がいいという意見が出て消したのでないかと推察される。それなら、記事そのものをやめればいいものを出したので奇妙な記事になってしまった。マスコミの歴史でも汚点というべきだ。

私は先の記事でも書いたように、誰の子だったとか孫だったからといってただちに皇族や天皇としてダメだとは思わない(小室氏の場合は圭さん自身が怪しげな借金問題にかかわっているのだから別である)。ただ、問題のある人物がいた場合に、ある種の距離はとるべきだし、場合によっては、なにか婉曲にでも心を痛めていることについて触れたほうがいいこともあると思う。

オランダの王妃は父親と政治的な見解をともにしないと宣言し、結婚式にも戴冠式にも呼ばなかった。

江頭氏については、公害を出したときの社長でないから構わないという人もいるが、チッソが批判されているのは、公害を出したことだけでなく、真相隠し、被害者に対する救済の遅れ、被害者に対するおぞましい排除行動などもあるわけで、その時期の社長・会長であった江頭氏の責任は大きいのである。

また、小和田恆氏の自宅は、江頭家の敷地内に建てられたものであり、普通の夫人の実家というよりは、まさに家族であり、なかば婿養子に近い立場である。

美智子上皇后が水俣病に格別の関心を持たれ、被害者への配慮をされ、勇気づけられていたことはよく知られていた通りである。

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雅子皇后も愛子様も、雅子様の場合には、体調が万全になられたあとだろうが、この重苦しい問題にどこかできちんと向かい合われるであろうと思うのである。

そうしたことをスルーして、「尊敬する祖父母の言葉を大切にされて」とは被害者はもちろん、皇后陛下や愛子様を困惑させるもの以外の何でもないのではないかと思う。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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