バロンズ:米株相場の戻り、弱気相場のラリーに過ぎず

2020年03月29日 06:00

バロンズ誌、今週のカバーは2兆ドルの景気刺激策が与える米株相場への効果を取り上げる。

(カバー写真:New York National Guard/Flickr)

ダウは3月19日につけた安値から20%超も回復し、一部の定義上では強気相場へ切り返したように見える。それでも、過去最高値を記録した2月12日からは24.2%下落したままだ。問題は、新型コロナウイルスそのもので、米国の感染者数は3月26日に5万5,000人を超え、ウイルスの震源地である中国を抜いた。仮に感染者の伸びが鈍化し自宅待避が解除されたとしても、人々の生活が正常化するには時間が掛かるだろう。

小切手給付や航空会社などの救済案が盛り込まれた約2兆ドルの景気刺激策が27日に下院で可決され、同日にトランプ大統領が署名したが、GDPの押し上げにつながるかは不透明だ。さらに、新型コロナウイルス感染がいつ終息するかも分からない。景気刺激策成立後も、株価が再び下振れする余地があってもおかしくない。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週はカバーと同じく米株市場の見通しを取り上げる。抄訳は、以下の通り。

弱気相場中のラリーは、早急の回復を示さず―Bear-Market Rally Doesn’t Signal Quick Revival for Stocks.

「大きな政府の時代は終わった」——米国がITブーム入りした1996年の一般教書演説で、クリントン大統領はこう宣言した。現代に視点を移すと、失業率が1969年以来の3.5%を記録したかつてない景気拡大期は終わりを告げ、政府はまるで戦時中かのように新型コロナウイルスと闘っている。

しかし、バロンズ誌の経済記者がレポートする通り、2兆ドルの景気刺激策は、Fedによる無制限の量的緩和や信用市場を補強する制度と合わせても、必要な支出を支援しきれないだろう。

金融危機時と今回の違いは、当時が金融市場を発火点とした危機だった一方で、今回は実体経済の閉鎖が金融市場に波及した点だ。とはいえ、公共衛生の危機からの回復は金融危機と変わらず、自然災害やハリケーンのような急速なスピードというより、ゆるやかなペースとなる見通しだ。

それにも関わらず、株式市場は24日から26日の2日間で21.3%も上昇した。3日間の上昇率は、1931年10月8日以来で最大を記録。当時は世界恐慌からの戻り局面にあり、実際に安値から20%取り戻していた。

3月27日にダウは4%下落したが、週足では12.8%高と1938年以来で最高を遂げた。S&P500種株価指数の1日の平均上昇率は5.2%と、1929年11月の記録である3.9%高を超えた。

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(出所:Stockcharts)

市場サイクルを認識する者にとって、足元の上昇は弱気相場の中でのラリーそのもので、激しくなりがちで、額面通り受け取るべきではないボーイングの株価をみても同様で、3月26日に株価は直近の最安値をつけた同23日から90%超も急伸したものの、2月19日の高値からは46.6%下落したままだ。さらに27日には10%安で取引を終えた。

テクニカル分析で著名なルイーズ・ヤマダ氏は、米株相場が再び下値模索の展開に入ると警鐘を鳴らす一人だ。足元の回復は弱気相場ラリーの一環であるだけでなく、1987年のブラックマンデー発生当時のように、急速で激しい落ち込みをみせた場合、市場が回復するまで1年以上の安定的な推移が求められるという。

米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のファウチ所長は、政府というよりウイルスが今後の展開を決定づけると発言した。相場の回復にしても景気刺激策というより、新型コロナウイルスによるパンデミックがいつ終息するかに掛かっていると言えよう。

――こちらで分析しましたように、景気刺激策の効果を否定するつもりはありません。ただ、27日の相場展開はセル・ザ・ファクトそのものといった印象は拭えず。さらに4月3日の米3月雇用統計を皮切りに、新型コロナ感染拡大と外出禁止令の影響が反映された最初の経済指標が次々リリースされます。決算シーズンでは業績見通しの下方修正の他、非常事態とあってメイン・ストリートからの批判をかわすべく、大手米銀のように自社株買いの中止を発表する企業も相次ぐことでしょう。米株の底打ちは、3月以降に持ち越されそうです。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年3月28日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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