イタリアからコロナ逆上陸なら桁違いの強敵か?

2020年03月29日 14:00

中国での流行に端を発した新型コロナウイルスの流行は、学校の一斉休校というショック療法が功を奏したか、なんとか、水際で撃退した。

厳戒体制で人気のないミラノ市街地(3/1撮影、Alberto Trentanni/flickr)

しかし、欧州ではるかに深刻な形で蔓延したウイルスが日本に逆上陸している可能性も一部で取りざたされている。もしもこれが事実だとしよう。「元寇」で言うなれば、博多湾の防塁を突破されてさらなる激戦を繰り広げているといった情勢だ。

この第一波と第二波ではペリー艦隊とマッカーサーの米軍くらいの力の差もあるかもしれない。以下、少し断定的に過ぎるかもしれないが、警告の意味を含めて敢えて断定的に書いてみよう。

欧州でのウイルスの猛威はとてもない。あのオスマン・トルコの大臣の子孫たるジョンソン首相も、十字軍の英雄の子孫たるチャールズ皇太子も、あえなく被弾し負傷。甲冑も大法螺も役に立たずだ。

もちろん、中国での流行したウイルスとイタリアなど欧州で感染拡大するウイルスがどう違うかなど十分に解明されたわけでない。ただし、ミラノで蔓延したほうは、フン族のアッティラがごとく欧州諸国を一気に覆い尽くし、アメリカまで津波に呑み込んでいるのは紛れもない。

アメリカは中国や韓国から持ち込まれる流行にはそれほど動じなかったが、欧州からの来襲には白旗を揚げるしかなかった。

中国は欧州での流行の怖さを知っているので、その逆襲をおそれて鎖国状態になっている。

日本では、東京五輪の延期が決まった途端、感染者数の発表が増えたとか騒いでいる「アベノセイダーズ」の面々もいるが、ここ1週間ふえているのは、欧州などからの帰国者の駆け込みのせいであることはまず間違いない。 アメリカについても同様だ。

欧米からの流入や邦人が帰国するのを止めて2週間程度は要観察期間である。学校を休みにしたのは中国などからの流入への宣戦布告として非常に強い緊張感を日本人に与えてなんとか押さえ込めた。

しかし、学校の休みを予定通り、4月に解除すると文部科学大臣が言ったりしたのは国民の自粛疲れもあって少したるんでいるように見える。

政府は、第一波より100倍も怖い第二波がやってきたという分かりやすいメッセージを国民に出してでも緊張感を高めるべきだ。おそらく、今週のどこかでは、学校の再開を遅らせるというようなことになるのではないかとも言われているが、それも国民へのメッセージとしてはいいと思う。

つまり、前回の学校閉鎖で第一波はしのげたが、ずっと大型の第二波が来るので、延長だということで良いと思う。

イタリアやスペインの医療水準はドイツより高かった

ミラノ発の大流行について、日本人はイタリアやスペインの医療体制が劣悪だからああなったと誤解している。

「どうもEUの圧力で財政緊縮策として医療費削減をやっていたようで、今回のような時に中国と同じく医療の現場の貧困さが露呈します。医療レベルが下がると、たかが「風邪症候群」でも死ぬ人が増えます。ですから、日本では今回のウイルスでも死亡率はずっと低いです。当然です」

などという医者までいるが、これは、平均寿命がスペイン83.2歳、イタリア83.2歳、フランス82.5歳、ドイツ81.0歳だということをご存じのうえでの議論ではなかろう。

「イタリアの新型コロナ感染者をケアする医者と集中治療室」(イタリアの「ANSA通信」から、3月19日)

イタリアは過剰医療で国が持たなくなっているので、ドイツなどを見習って医療水準を少し下げてもいい(オブラートに包めば合理化)のでないかと言われているのであって、イタリアの医療水準が少し以前よりは低下気味だとしても、現在のドイツなどと比べてもともと低いという根拠は何もない。

ドイツがいまのところフランスと比べてまだましなのは、イタリアとの距離があるという点が見過ごされている。特に、ミラノ地方は地中海やモンブラン・トンネルを通じてフランスと直結しており、中間にスイスやオーストリアがあるドイツとは違うのであって、流行の遅れを医療体制に求めるのは根拠が何もない。

一方で、イギリスで感染が爆発してしまったのは、ジョンソン首相の油断もあるが、医療体制が劣悪だからだ。公的保険によって原則無料というのがウリだが、その代わりにサービス内容はかなり低い。だから、新型コロナウイルスに対しても弱いといわれていた予想が当たって、やっぱりというだけだ。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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