「反規制改革」の与野党連携

2020年03月29日 11:30

国会で与野党は常に対決していると思われがちがだが、決してそんなことはない。例えば規制改革に関しては、与野党ががっちり手を組む場面にしばしば出くわす。

3月26日参議院農水委員会での徳永エリ議員(国民民主党)の質疑は、その一例だ。

質問する徳永エリ氏と答弁する江藤農水相(参院ネット中継より)

徳永議員は、漁船の乗組人員の基準見直しに関して、「規制改革推進会議はとんでもない!」。「理由なく基準見直しを求めた」と決めつけ(根拠は国交省検討会での担当課長の説明)、規制改革推進会議で某委員(当時)が国交省担当課長の発言を遮った部分をわざわざ読み上げて、強引な進め方を批判してみせた。

これに対し、コメントを求められた農水大臣は、「規制改革推進会議については自分もいろいろこれまであったので、なるほどなと思った」、「発言を遮ることは慎むべきだ」と同調した。

このやりとりに関する限り、“与野党合致”だ。

しかし、当時の議論に参加した私からみれば、これは全く納得できない。

「中規模漁船に海技士2名が必要」との規制は、かつては必要だったが(重油の品質が悪くディーゼル機関のトラブルの生じやすかった)、重油の品質改善などに伴い、合理性が乏しくなっていた。一部関係者は別として、人員確保に苦しむ漁業現場も見直しを切望していた。

規制改革推進会議では、こうした事情を踏まえて、現場をよく知る専門家の意見も聞き、議論を積み重ねてきた。これに対し国交省担当者の説明には難があった。とりわけ、国交省の検討会で、規制改革推進会議が見直しを求めている「理由は不明」と説明したことは、双方の会議委員に対してあまりに不誠実だったと思う。

詳細は、会議議事録に残してある。どちらに分があるかは、もしお時間あれば、皆さんに検証いただきたい。

規制改革推進会議(2018年5月18日)

国交省/近海を操業区域とする中規模の漁船に関する資格制度のあり方に関する検討会第一回(2018年10月23日)

規制改革推進会議(2018年12月21日)

こんな国会でのやりとりをみると、民間人が規制改革に関わるのは、本当にバカバカしいことだと思う。

それでも、誰かが役割を果たさないといけない。官僚や政治家は、どうしても既得権者の利害に敏感になりがちだ。これは、別に批判しているわけではなく、仕事と地位の仕組み上、やむを得ないことだ。だから、規制改革のような領域では、官僚や政治家だけでなく、民間人も関わって、変革のきっかけを作る必要がある。「とんでもない!」と批判されることも、役割の一部だ。

ついでながら、徳永議員の次の質問者は森ゆうこ議員(国民民主党)。森議員は昨年、毎日新聞の誤報に基づき、さんざん私を攻撃した。この日はまた新たな毎日新聞記事に基づき、別の民間人を取り上げた。翌日の参議院予算委員会でも、質問を続けている。

この事案は私はよく知らないが、毎日新聞と森議員は、なぜここまで密接に連携しているのか。本当に不思議だ。連携の構図は、与野党にとどまらないのかもしれない。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
原 英史
政策工房 代表取締役社長

過去の記事

ページの先頭に戻る↑