デジタル活用教育にアクセシビリティ対応を⑤

2020年04月01日 06:00

新型肺炎の今こそ遠隔教育を充実させよと原英史さん・吉井勇さんたちが提言している。傾聴に値する提言だが、アクセシビリティ対応への言及が抜け落ちている。

昨年議員立法で成立した『学校教育の情報化の推進に関する法律』は、「学校教育の情報化の推進は、全ての児童生徒が、その家庭の経済的な状況、居住する地域、障害の有無等にかかわらず、等しく、学校教育の情報化の恵沢を享受し、もって教育の機会均等が図られるよう行われなければならない。」と定めている。

新年度から一部の学年・クラスで利用されるようになるデジタル教科書も、障害の有無等にかかわらず学校教育の情報化の恵沢を享受できるようにしなければならない。

一般社団法人教科書協会は、デジタル教科書に文字色・背景色の変更、ふりがな表示、リフロー表示、音声読み上げ(機械音声)の四つの特別支援機能を装備するように求めている。支援機能は障害を持つ子どもたちに役立ち、望ましい対応である。

問題は特別支援機能の設定方法にある。

学校図書の「算数」では、設定ボタンを押して「ふりがな」と「白黒反転」の条件を設定する。この設定方法は教育出版も採用している。

光村図書の「国語」では、サポートボタンを押して設定する。学校図書よりも設定できる条件が多い。日本文教出版も同じインタフェースを用いている。

東京書籍の「社会」では、拡大ボタンを押してから本文をクリックすると、その段落が大きな文字で表示される。

教育委員会が選定する際には教科ごとに出版社が異なるのが普通である。その結果、子供たちのタブレットには支援機能の設定方法が異なる各社のデジタル教科書が搭載されることになる。子どもたちに大きな負担になるし、それを支える教員や保護者も苦労する。

設定方法を統一しなければ、障害児をはじめ多様なこともたちが学校教育の情報化の恵沢を享受するのはむずかしい。

僕は「教育における情報通信(ICT)の利活用促進をめざす議員連盟」という超党派の議員連盟のアドバイザーを務めている。そのルートを通じて文部科学省に問題提起したところ、今後、設定方法の統一を目指すとの返事を得た。子どもの学びに直接関係する教科書出版社は、文部科学省に協力して設定方法の統一を急いでいただきたい。

デジタル教科書は休校期間には家庭でも利用される。原さん・吉井さんたちの提言はアクセシビリティについて言及して欲しい。

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山田 肇
ICPF理事長、東洋大学名誉教授

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