新型コロナ:厚労省は狂犬病の集団予防接種に関する見解を早急に示せ

2020年04月01日 06:00

日本では、4月から6月末にかけて、狂犬病の集団予防接種期間に入る。

acworks/写真AC:編集部

狂犬病予防接種をなぜ集団で実施するのかというと、犬の登録と注射済票の交付手続が同時にできるからだ。簡単に言えば、飼い主からすれば市役所に足を運ぶ必要がなくなるので、この時期に集団予防接種会場に集まる。

他方この施策は、新型コロナウイルスに感染している可能性がある、不特定多数の飼い主と獣医師が、最低でも「密接」、「密集」という三密のうちの2つを満たす空間に集まることにもなる。

このような状況下で、厚生労働省が「狂犬病の集団予防接種」について何の見解も示さないのは、大きな問題ではないだろうか。行政は4月が年度初めである。本来であれば、遅くとも3月中旬には方針を発表していなければ、地方自治体としては対応のしようがなかったのだ。実際、厚生労働省の担当者にヒアリングをしたところ、現時点では見解を示す予定はないとのことだった。

もちろん、これまでの情報を読み解く限り、屋外での罹患可能性は低いことが示唆されてはいる。しかし、海外はもとより国内の自治体でも次々と外出自粛の「要請」が公表される中、密集度が高くならざるを得ない「狂犬病の集団予防接種」は、例年どおり4月から6月までと期限を区切ってまで実施すべき緊急性の高い事業だろうか。

 佐倉市では予定どおり実施

さて、私の地元の千葉県佐倉市では、いまのところ集団予防接種は予定通り4月中にまとめて実施される予定だ。

他方、周辺自治体をみると、例えば浦安市や船橋市などでは中止としている。屋外で行われるイベントですら全て中止されている現在、私は適切な判断であると考える。

こういった非常時に、議員が直接担当課に連絡をすると業務の優先順位が狂ってしまう恐れがあるため、私としては議会事務局を通じて佐倉市でもなんとかならないか調整をしている最中だ。

ちなみに、佐倉市でも狂犬病の予防接種は、集団接種によらず動物病院で実施可能だ。ただし冒頭説明したとおり、その場合「注射済票」の交付手続きを受けるために、飼い主あるいは獣医師が市役所まで足を運ぶ必要がある。

また、集団予防接種会場は市内複数個所に設置される。そのため、獣医師が不足している地域でもある程度網羅的に会場設定されることから、それらの地域住民からすれば便利な行事であることは確かだ。しかし、逆に言えば「飼い主」と「獣医師」における、集団予防接種のメリットはそれだけだ。

厚生労働省からすれば、集団予防接種の一斉実施により、接種率の向上をはかることができるというメリットがある。しかし、狂犬病も新型コロナウイルスも、ともに防疫施策が必要な病である。「今そこにある疾病」である新型コロナウイルスと、事実上日本でクリーンとされている狂犬病の予防接種の接種率向上と、どちらが優先される防疫施策だろうか。

私の身の回りには、「できれば見合わせたい」とする多数の市民と獣医師がいる。

行政も、「他の来場者との間隔を十分(2m程)確保」や「高齢者は参加を自粛」などの「要請」というマジックワードで実施を強行するのは、無責任だと考える。そんな要請など、現場で実現できるわけがないことは誰が考えてもわかる。

厚生労働省は、せめて4月から6月までとする期間の延長や、「地域特性上、やむを得ない場合を除き当面中止を検討してもらいたい」などの公式見解を、早急に出すべきだろう。繰り返すが、そうしたところで予防接種ができなくなるわけではない。飼い主からすれば、単に利便性が下がるだけの話なのだ。

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